あす、消費税増税法案巡って、野田佳彦首相(55)と、
民主党の小沢一郎元代表(70)が、
民主党の輿石幹事長の取りまとめで再会談を行う。
野田首相は、何としても今月21日閉会の今国会で法案を成立させたい。
しかし、自分が執行部として臨んだ2009年の総選挙で、増税をしない、
として与党となった小沢元代表としては、到底のめるものではない。
今週、一度は会談を行って平行線のままだったが、再会談を行って、
事態の打開を図るのか、そうではないようだ。
輿石氏は、党の幹事長として、党代表の野田首相を支える立場だが、
その野田首相を批判する小沢元代表と個人的に懇意にしている。
3人の思惑は、会談を実現させること自体を目的としており、
その点では奇妙に一致している。
そして、内容などどうでもよいことでも。
それがこの会談を開催する意味になる。
野田首相としては、消費増税賛成の自民党の協力を取り付けたい。
その自民党は、小沢元代表やそのシンパと決別するよう求められている。
とはいえ、民主党代表としては、いきなり切るわけにいかない。
「誠意を以って小沢元代表を説得した。でもだめだったから切るしかない。」
という口実を作りたいのが目的とみられる。
一方小沢元代表は、それを見越して、
「このタイミングでの増税は良くない。マニフェスト破りだし、
経済に大打撃を与える。」と言いつつ、真っ向から反対とは言わず、
「党員として、代表に呼ばれたら、何度でも話に応じる。」と言っている。
そうすれば、自分たちを切りにくくなることを見越しているからだ。
そして輿石氏は、その状況を踏まえて、党内融和を保つ責任者として、
二人の会談を実現させている
党内融和のために一肌も二肌も脱いでいる、とアピールできる。
自分がキーパーソンだと自負してか、会談が不調に終わったとしても、
「俺を切るなら切ってみればいい。」という余裕さえ見せているという。
野田首相は、命をかける、と言っているのなら、何が何でも説得し、
それがだめだったのだから、反対すれば処分すると、なぜ言えないのか。
そして小沢元代表も、マニフェストを反故にした、というのなら、
野田総理を逆に説得すべきではないのだろうか。
もっとも、代表相手なので、限定的ではあるが。
両者にとって、それぞれ自分たちの都合のいいようにするために
動いているにすぎないか、
それとも、本気で自分の信念を貫こうとするのか。
後者であれば、党内融和のために動いてきた輿石幹事長のメンツは、
つぶされることになる。
しかし、野田首相、小沢元代表双方とも、
妥協の余地はない=党内融和は困難な状況である。
明日の会談の本当の意味、それは、会談が終わってから、
野田首相がどのような決断を下すかにかかっている。
会談そのものではなく、会談後の動きに注目したい。