会社のとある先輩からLINEメッセージが来た。
彼女からは入社以来数年にわたり嫌がらせを受けてきた。
その誤解も少しずつ解け、発病する少し前くらいまで二人でランチを取るほどまで仲は改善していた。

彼女は非常に嫉妬深いという特性を持っているが、基本的には優しい人間性を持っている。
ただその嫉妬深さから、人を不必要に傷つける。
彼女本人も無意識の行動が多いため、自分の行動が他人を傷つけているという自覚がない。

そんな彼女はとあることをきっかけにパニック障害に悩むこととなる。
噂では聞いていたが、少しずつ仲を修繕していく中で彼女がカミングアウトした。
というのも二人でしていた話の内容が彼女のパニックを誘発させた。
隠し通せるものでもない。
彼女も人知れず苦しんでいる人間の一人なんだ。

そんな彼女からのLINEメッセージに対し、返信をするべきか否か非常に悩んでいる。
今、私が家族以外で連絡をとっている人は二人だけだ。
大学時代からの親友と、公私ともに付き合いのある会社の唯一信頼できる先輩。
似たような環境に身を置く彼女に返信をためらうのは、他でも無い口の軽さだ。
おそらく念を押せば口にしないだろう。
今までもそうだった。
彼女を試すためにトラップをかけたことがあったが、彼女が口外した形跡はなかった。
しかし状況が状況なために、「大丈夫です」とも「辛いです」とも言い難い。

おそらく急な休職、休職期間の長さから職場では周知の事実であることは間違いないにせよ、安易に連絡を取り合うべきではないと思う。
とはいえ無視するのもどうかと思う自分もいる。

結局は優柔不断なのだ。

一つ言えるのが、メッセージが来たのが調子が良い時で良かった。
春らしい1日だった。
朝、イマイチな調子のまま息子と家を出たが、人間というものは動き出すと動けるものだ。
もう大丈夫なんじゃないかと思ってしまうほどだ。
つい昨日までベッドから出ることができず、メソメソしていたくせに何を言っているのかと思う。

約束通りカフェで朝食をとり、息子が電車に乗るのを店内から見送り、しばらく一人でボーっと外を行き交う人たちを見ていた。

中学生くらいの子から大人まで、みんな眉間に皺が寄っているのではないかというくらい、表情筋が硬い。
疲れている証拠だ。
いつからこんなになってしまったんだろう。
場所柄なのか。

そんな時、自分が座っている席の一つ挟んだ向こうの席におそらく視覚に障害がある方なのだろう、お店の人に沿われて入店してきた。

「○○さん、おはようございます。いつもの物でよろしいですか?」
「はい。お願いします。いつもありがとう。」

という会話が聞こえてきた。
なんだか心が暖かくなった。
忙しいであろう時間帯であっても、嫌な顔一つせず、まるで待ち受けていたように温かく受け入れる店側の対応に、素直にありがとうと言える関係。
冷え切っている日本の社会の中に、まだこんなに暖かい場所もあるんだなと思った。

その後、2月にダンナ様が気が向いたら行ってみると良いと言って入会したスポーツクラブに行ってみた。
まだ片手で数えられるほどしか足を運んでいない。
なんとなくヨガをやりたかったから。
行って無理だったらお風呂だけ入って帰ってこよう位の気持ちで行った。

ヨガは昔から時間があるときにやっていた。
落ち着くあのゆったりとした時間がたまらなく好きなのだ。
うつにはヨガのあの深い呼吸が良いと聞いたことも一因しているのかもしれない。

スタジオに入ると、平日の昼間だけあり、おばあちゃま世代の女性ばかりだった。
そのせいか内容も優しい基本の基本といったものだった。
今の私にはちょうど良い内容とも言える。
久しぶりにやったヨガは、ごく強度の低い内容であったにもかかわらずヘトヘトになった。
でもひとつの発見もあった。
毎日のようにスポーツジムに足を運ぶおばあちゃま世代は皆前向きだ。
スポーツジムをおしゃべりの場として、趣味として使っているので皆あけっぴろげだ。
初めて見かける私にも忌憚なく声をかけてくれる。
昔は、そんなおばあちゃま世代の利用者が邪魔で仕方なかったのに、今はそんな人たちに助けられている自分がいる。

全身を伸ばしたいだけ伸ばした今日、スキッりした気分だ。
・・・けど、明日大丈夫かな。
ダンナ様に「無理だけはするな」と念を押されていただけに、これで調子を崩したら怒られちゃうな。

困った・・・。
全ての女性がそうとは言い難いが、多くの女性は群れを作り、その群れの中で序列を作りたがる。
現在のママ友の世界で言えば、ママカーストと言われているものだ。

ダンナ様のお勤め先
居住区のレベル
マンションの階層
広さ
方角
乗っている車
両親の最終学歴
実家の状況

ありとあらゆるものをトータルで品定めされ、序列が形成される。

上位のものは下位のものを見下し、下位のものは上位のものに対する嫉妬心を明からさまにする。

ただ両者が交わる場ではお互いを褒めちぎる。
慇懃無礼とはこの事だと身を以て知ることができる。
しかし決してイジメではない。
だから厄介なのだ。

一番辛いのは、どちらに属するにせよ馴染めない場合だ。
彼女らは必ずと言って良いほど同意を求める。

「あなたもそう思うでしょ?」
「おたくも同じでしょ?」

頷いたり同意をしたら最後、自分が言ったことになってしまうことすらある。
特にある特定の人物に対しての誹謗中傷だったりした場合は特に注意が必要である。

息子の学校が私立ということが大きいのかもしれないが、特にこのママカーストは顕著なように感じる。

単にお金を持っているといういわゆる成金は下位に属するらしい。
必要なのは、家柄、学歴、職業であり、お金を持っているのは当然なのだ。

子供にとっても辛い場になりかねない。
長期休暇の海外は当たり前。
格安ツアープランを使う家庭はあまりいない。
大抵は個人プランの長期滞在型だ。
海外の割安の航空会社を使うのも稀だ。
LCCなんて言葉は存在しない。
海外の航空会社の場合、シンガポール航空、デルタ、エミレーツ等のビジネスのサービスに定評のある会社ばかり。
長期休暇後にはお土産が飛び交う。
ハワイ、アメリカ本土、ヨーロッパ、カリブ…世界のリゾート地のお土産がわんさか集まる。
大抵はクラスメイト全員分を買い、配る。

去年の長期休暇中、我が家はシンガポールに行ったのだが、同時期にやはりシンガポールに渡航したクラスメイトがいた。
我が家は背伸びしてプレミアムエコノミーだ(笑)
「ぼくはマリーナベイサンズに泊まったんだけど、君は?あそこのプールは最高だったよ」
「ボクはセントーサにずっといたよ」
これが小3の会話だ。

中には海外に行ったことのない子も当然いる。
子供は残酷なもので、「今度パパ、ママにお願いしてみなよ~」と言うらしい。
そしてお勧めのホテル、航空会社についてレクチャーするらしい。

当然ママ達は、英語教育に力を入れている学校なのに海外に連れて行ってあげないなんて可愛そうなどと言い出す。
大きなお世話だ。

朝の通学時間帯には、世界の名車がずらりと並ぶ。
国産車であっても多くは700万以上のいわゆる高級車ばかり。
その中に混ざる軽自動車や、某メーカーのハイブリッドカー。
並ぶ度にに虚しくなると言うママ友もいる。
軽自動車を乗っているからと侮るなかれ、それは彼女の車であり、別にでっかい車をお持ちなのだ。

これから自分の子供を私立に進学させようと思ってる人がいたら、こんなママカーストに耐えられるかどうか、今一度考えることをお勧めする。
小中ともに父母会は存在する学校が大半だ。
とある名門私立は、母の会と称する会合が都内名門ホテルのレストランで毎月開催される。
覚悟したほうが良い。
私立は入ってからが大変だ。
毎月結婚式にお呼ばれするようなものだ。
ユ◯クロなど間違っても着て行ってはダメだ。

孤立を覚悟して、ストレスフルなお一人様を決め込むか、自分を押し殺してストレスフルな会に属するか。
どちらにしてもストレスフルには変わりない。
どんなに気を許すことが出来そうな相手であっても、気を許してはならない、それがママ友の世界であることを痛感した。

この限られた小さな世界の序列は、私のうつの引き金のひとつになっていることは間違いない。