3時間ほどしてダンナ様が帰ってきた。
その頃にはひと言、ふた言なら口にできるようになっていた。
それが精一杯。
疲れてしまうのだ。

ダイジョウブ

それだけ。
あとは微かにうなづく程度。
でも不思議なほどに聴力だけはしっかりしている。
どこかで聞いたことがある。人間は死ぬ直前まで聴力は残っていると。だから反応はなくても声かけする事には意味があると。
その通りだと思った。
そして耳から入ってくる情報もきちんと理解できる。
だから脳血管疾患ではないと思っていた。
最近寝てないし、食べて無かったし、疲れたんだろうなとくらいにしか思わなかった。

なので救急車を頑なに拒み、朝を待って病院に連れて行ってもらうことになった。

床に倒れ、動けなくなりました。
受話器からはダンナ様の声が微かに聞こえる。
トイレに行っていた息子が音に驚いて駆けつけてくれた。

「ママ」

と呼ぶ声も聞こえる。
でも動けない。
まぶたも開けることができない。
話せない。
電池が切れてしまったオモチャのようだ。

ダイジョウブ

このひと言が伝えられない。
涙だけは止まることなく流れている。

息子が泣きながら私の体を揺するが、応えることができない。
そのうち固定電話が鳴った。
実家の母だった。

私の携帯と、固定電話と息子でアヤシイ3者通話をしている。
大丈夫だと伝えたかったけれど、やっぱりできない。

とりあえず出張先から会社の車を使ってダンナ様が帰って来るということになった。
病気になり、自分の病気を理解しようとネットで闘病記を読んでみたり、本を読んでみたりしていますが、なかなかピンとくるものが無いのも正直なところです。
知りたいことに後一歩なんだけどなぁと歯がゆい思いもすることも。
とくに集中力が思うように持続し無い状況での読書はかなりストレスフル(笑)
まあそれでも嫌いでは無いので休み休み読んでいます。

最近読んだこの本、とてもよかったです。
回復過程で見られる状態に変化について書かれている本はなかなかなかったのですが、わかりやすく書かれて入れていて、ああ、なるほどな。と覆わせてくれる内容でした。

自分がどれほど深刻な状態だったのか、そこからここまで回復することができているということを客観的に見ることもできました。
あと一歩、でもこの最後の一歩が一番ツラいということもこの本から学びました。
確かにここ最近感じる異常なほどの億劫感。
これはうつ病の最後のハードルなんだそうです。
ここまでは波はあれどトントン拍子で回復してきましたが、ここまで来ると回復スピードも落ちる上に、動けるはずなのに動けない矛盾と戦わなければならない。
ある意味、うつ病治療の中で一番辛い時期かもしれないとも言っています。

出会えて良かった1冊です。

その痛みは「うつ病」かもしれません―ストレス神話をくつがえす新しい考え方/草思社
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