その後 後側の根管も開け 順調に治療は進みました

☟遠心根も開放した

しかし 根尖部の病巣が大きいことで 治療回数はともかく

治療期間が数か月に渡ってしまうことと 

パーフォレーションの完璧な解決が気になり

〇野さんに相談しました

「病巣が無くなるまでには 数か月かかるんですよ

それから パーフォレーションの封鎖を考えると

外科処置をした方がいいのでは…と思うんですよね」

「どういうことですか?」

「一度抜いて 根の治療とパーフォレーションの封鎖を

口腔外でやった後で 元の位置に戻す ということです」

「そんなことできるんですか?」

「ええ うまく行くと思いますよ」

ということで 歯牙再植+パーフォレーション封鎖 を行いました

☟口腔外で根管充填を行いました

☟パーフォレーションも封鎖しました 

根尖から5㎜程のところまで歯根膜が破壊されているのが分かるでしょう

この歯根面には病巣の一部が付着して歯根膜を破壊していたということです

☟歯槽骨内に戻しました

2根ともに根管は充填されパーフォレーションも封鎖されています

これで 3か月待てばOKです

土台を立てて 被せ物を被せたら終了です

 

同じ日の夕方 もう一つ歯牙再植を行うことになりました

新患で来院したのは 

10年ほど前に私どもに勤務していたスタッフの姉

〇木さん(47歳)でした

パーフォレーションではなかったのですが

「左上の7番の歯肉が ちょっと腫れぼったかったので

近所の歯医者さんに行ったんですが 『根っこを開けないといけない』

『かなり時間もかかる』 と言われてしまいましてぇ…」

「あぁ そうですね 病巣がかなり大きいですからね」

「ええ それで 妹に相談したら 

『先生のところに行ったら一回で終われせてくれるよ』 と言われまして…」

「なるほどぉ… 歯牙再植の話を聞いたわけですね」

「はい そうです」

☟歯を抜いたところ

☟抜いた12歳臼歯を洗浄 根尖からガッタパーチャを入れたところ

そして これを 元の位置に戻しました(☟CT画像)

根尖部にあった病巣を取り除いたところが骨欠損となっています

が これは1年半もすると ちゃんと骨が出来てきます

これで3か月待って 土台を立てて 被せたら終わりです

 

歯牙再植の利点は 

・正確な根管充填ができる

・病巣を残らず取り除ける

・歯根面の状態を直視で具に観察できる

・パーフォレーションの手当ても過不足なく出来る

・根管治療が一度で終わる

などのメリットがあり 6歳臼歯を除いては

根管治療がうまく行かない場合には 治療上有効な手段です

上下の6歳臼歯に関しては その歯根形態の故に難しいことが殆んどです