『報道ステーション』が始まるのを今か今かと
垂れ流されるCMに耐えていた
21:52 携帯電話が鳴りました
「はい 三ノ輪歯科です」
「あのぉ…歯医者さんですか?」
「はい そうですよ 痛いですか?」
「はい ちょっと感染しちゃったみたいで…昨日からズキズキしてまして…」
「じゃあ 直ぐお出で下さい」
「いや それが…11:00まで仕事なんです 私が責任者なのでそれまでは抜けられないんです…」
「あっ そうですかぁ 何時になってもいいですから お出で下さい 私どもの診療所に着いたら『着いたよー』って電話して下さい 5分で行きますから」
「ああ 有難いです そうさせてもらいます」
23:51 再び携帯電話が鳴りました
「先ほど電話させて頂きました竹〇ですが…」
「あっ 着きましたか?」
「はい いま歯医者さんの前に…」
「分かりました 今お風呂から出たところなので…身体を拭いて直ぐ行きます」
☟上顎は総入れ歯、向かって右下の一番後ろの歯が患歯です
「いやぁ すごい状況ですねぇ…かなり痛そうですから とりあえず麻酔を打ちましょう 」
「ずっと歯医者さんには行っていたんですが…ここ数日でイキナリ痛くなっちゃって」
「そうですかぁ…とりあえず抜歯しましょう」
「えっ! 抜歯ですか?」
「はい この歯は10年前に抜いておかなきゃいけなかった歯ですよ」
「えええええ! そうなんですか?」
「はい レントゲン写真をじっくりとご覧ください この歯の根を避けるように骨が溶けていますよね?」
「これ 骨が溶けているんですか?」
「えっ? そんなことも分からないんですか?」
「ずっと歯医者さんに任せていたもんですから…先生! 私は歯周病になってるんですよね?」
「は? そんなことも分かってないんですか?」
「いや いつも行ってる歯医者さんが歯周病だと言っていましたから…」
「あのねぇ 竹〇さんは20代から歯周病です!」
「えっ?? そんなに前からですか?」
「そうですよ 歯周病というのはねぇ 20代から現れるんですけどね ある日突然になるものじゃないんですよ
”なる人はなる ならない人はならない” というものなんです」