最初にお断りしておきますが 今回はあまり面白くないと思います
しかし 勉強にはなると思います
上下左右の歯列のうち真ん中から6番目より後ろにあるのが大臼歯で
現代人は6歳臼歯、12歳臼歯、親知らず(智歯)という並びになっています
退化傾向にある親知らずですが ちゃんと生えていて上下の対咬関係も問題ない
患者も数百人に一人くらいはいるでしょう
しかし多くの患者にとっては煩わしい状態で存在しています
その理由は食生活の影響で 我々の顎が小さくなっているにも拘らず
歯自体の大きさが変わらないためスペース不足となっているからです
さて、歯として機能していない(咬合していない)だけならそのまま置いておいてもいいのですが
他に悪影響を及ぼす可能性が高い場合には抜歯することになります
①隣在歯に悪影響がある
②腫れを繰り返す
③疼痛がある
④大きな虫歯がある
⑤頬や歯肉を噛んでしまう
⑥矯正治療上の理由
抜歯には もちろん保険が適用されます
特に下顎の場合には下歯槽神経との位置関係次第ではとても危険なことがありますのでCTを撮ってこれを確認しておきたい場合もあります 因みにCTも保険算定可能です
算定(治療費)は難易度によって段階がありますが この評価は歯科医師に委ねられているので 残念ながら患者が口を挟む余地はありません
下顎骨性水平埋伏歯や下顎完全埋伏歯を抜いた時 或いは状況によっては通常の鎮痛剤の他に座薬も処方する方が好ましいです
私は「イヤじゃなかったら使ってみてね」と言って5錠程度の座薬を処方することは多いです 痛みの程度次第ではとても助かります
下顎では抜歯後(何れも翌日からですが)腫れる 口が(半分しか)開かない 顎下のリンパ腺が腫れて飲み込むときに痛い というようなことは 個人差はあるにしても 例外なく起こりますから 仕事との兼ね合いで抜くタイミングを決めた方がいいですよ
まぁ 急性症状が出ちゃった時は腹をくくるしかないですけどね
基本的に(虫歯以外の)急性症状があるときには 薬とスケーリングで炎症が消退するのを待ってから抜歯するのが定石ですが 私は殆んどの場合 腫れている状態でも抜歯を強行します というのは 深夜の急患を20年受け入れてきて「昼間歯医者に行ったんですけど 腫れも痛みも辛いので何とかして…」という患者が多いからなんです
抜かなくても暫くは腫れ痛みと闘わなければならないのなら 抜いちゃえば同じ闘いでも治癒方向へ向かうわけですからね
抜歯した後に起こり得る不都合なことに次の二つがあります
*抜歯後出血
抜歯したら必ず縫合しなければいけないわけではありませんが 体質的に出血傾向にある人や炎症が大きい状態で抜歯した場合 或いは傷口が大きくなってしまった場合にはキッチリと縫合しておかないとダラダラと出血が続くことも十分考えられます ちゃんと縫合し直したらそれで解決です
*抜歯窩感染
抜歯後の露出した骨面に細菌が住みついてしまうこともあります 抜歯してから数日経っても痛みが取れてこない場合には 先ずこれが疑われます
対応は抜歯窩の洗浄(稀に掻把することもあります)し骨面に抗生物質の練り物をなすりつけ 抗生物質を2日も飲んだら治癒してきます
これは歯科医師向けのアドバイスですが 下歯槽神経に引っかかちゃう危険性がある場合には根尖を残す という選択をすべきこともあるでしょう