歯科技工がブラック業界なのは日本だけ?海外の歯科技工事情を調査してみた! | dental-techniqueのブログ

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元歯科技工士が自らの経験を踏まえて、歯科関係のお話を綴っています。

今回は日本で働く歯科技工士さんの労働条件が大変だと叫ばれているなか、海外ではどうなのかといったところに注目していきたいと思います。

 

特に気になっているのはアメリカです。

 

実力主義のアメリカでは、仕事ができなければすぐにクビを切られるといったことがイメージにありますが、条件次第ではもしかしたら日本で働くよりもいいお給料をもらえるのではないか思っていました。

 

それでは海外での歯科技工士事情をみていきましょう!

 

 

 

アメリカでの歯科技工士事情

 

労働の実情

  • 初任給は時給8ドルで1日8時間労働、手取り12~3万円
  • 土日休み(祝日なし)で23日勤務(会社によっては土日も仕事)
  • 交通費や扶養手当の支給なし
  • 年に数回の昇給査定あり(最大時給20ドルくらい)
  • 月給制変更後は、残業手当なしになることもある
 
上記条件は、アメリカであればどこも同じなようです。
 
これを見たとき、「あれ?日本と変わらなくない?」と思いました。
 
むしろ日本の大手ラボであれば、歯科技工士として必要ではないと判断された人が、営業に配属されたりして何らかの温情をうけることができるのですが、アメリカではやはり急にクビを切られるそうですので、日本よりも生き残りが大変なようです。
 

 

患者さんの第一選択肢はインプラントが多い

 

日本では歯医者さんの方からインプラントをおすすめする場合が多く、その料金を患者さんに伝えると大抵はびっくりされて、歯科医院自体がぼったくり呼ばわりされることがありますが、アメリカでは患者さんの方からインプラントを希望されることが多いようです。

 

更にはどんなにこだわって製作して、後から高い技工料金を請求しても富裕層の方は構わないとのことですので、歯の治療に対しての経済的観念が日本とは違うのかもしれません。

 

 

貧富の差による歯科治療

 

当然みんながみんなインプラントを入れられるような富裕層ばかりではないので、それ以外ではどうしているのかというと、中国や韓国からの輸入された技工物を利用したり、義歯(入れ歯)を使用しているようです。

 

しかしアメリカには歯科技工士になるための国家資格がないため、安い技工物を扱うところに勤務している歯科技工士さんは、相当腕の悪い人がいるとのこと。(日本で国家資格を取るためには、相当な練習を重ねるのでないのはヤバイです)

 

おそらく想像するに、インプラントを入れることができない患者さんは、まともな歯科治療を受けることが期待できない状況にあるように思います。

 

輸入された技工物は安くて問題もなく、何しろ患者さんに説明をしたうえで問題なければ良しとするとして、日本でも推進されている歯科医院さんはありますが、元歯科技工士の立場からするとどんな材料を使っているのか分からないので、正直あまりいいイメージはないですしオススメをしたいとは思いません。

 

 

矯正は儲からない?

 

僕は歯科技工士をしていた時に「矯正」を専門にやっていたわけではないので、実際にどれくらい儲かるのかを知っているわけではないのですが、同級生に「矯正」を専門として独立している人がいたので、おそらくそれを専門にして食べてはいけるレベルなんだと思っています。

 

しかし、アメリカでは「矯正」に関しては意外にも儲からない技工だという情報があります。

 

理由としては、手間がかかる割りに単価が安く、納期も短い場合が多いようで、矯正技工はアメリカではあまり喜んでやるような仕事では無いとのことです。

 

 

まとめ

 

日本人の器用さは海外でも重宝されるようですが、歯科技工士においては海外でも生き残るのは難しいようです。

 

アメリカでも儲かっているのは一握りのようでした。

 

お隣の韓国においては、1998年ころから歯科技工士免許保有者の約70%が転職・廃業していて、深刻な歯科技工士供給不足となっているとのこと。

 

もう何なんでしょうねこの業界・・・

 

そんな中、歯科技工士としてどこの国でも求められる人材に共通しているものが見えてきました。

 

  1. セラミストとしての経験が豊富であり、フルマウスのポーセリンワークができること
  2. インプラント
  3. CAD/CAMデザイン
     

この3つに造詣が深い人はおそらく日本だけでなく、海外でも活躍できることは間違いないようです。

 

全てにおいて網羅することが難しければ、どれか一つでも特化してものにできれば日本でも海外でも歯科技工士としての立場は安泰でしょう。

 

では、また。

 

 

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