2024年2月公開作品(石川県は先行公開していますが、石川県以外の地域では2月9日から公開です)。

 

今年に入ってから初めて劇場で鑑賞した映画です。

 

1月は観たいと思う映画がありませんでした。

 

『アクアマン/失われた王国』は前作が面白かったので気にはなりましたが、DCエクステンデッド・ユニバースの最終作ということで、今後製作される作品との繋がりがなさそうということで興味が薄れてしまいました。

 

『ゴールデンカムイ』は予告編で観たいと思わせる要素が無かったので、話題作ではありますがスルーしました。

 

で、今作も実はあまり興味はありませんでした。

 

石川県の人間ではありますが、本作の舞台となる加賀市にはあまり縁がありませんし、作品的にも『スィングガールズ』や『フラガール』のストーリーを流用した作品であろうと予測し興味が持てませんでした。

 

ですが、本作の売り上げの一部が能登半島地震の義援金になるとのことなので観ることにしました。

 

題名にもある『レディ加賀』はアーティストの『Lady Gaga』をもじったダジャレですが、実は加賀温泉郷をPRするために旅館の女将で結成された実在するユニット『レディ・カガ』から着想を得ています。

 

とはいえ、その『レディ・カガ』自体が石川県民以外には知名度がほとんど無い状態ですので、本作の題名も意味不明なダジャレに感じる方も多いのでは無いでしょうか。

 

作中で結成された『レディ加賀』はタップダンスを踊りますが、実在の『レディ・カガ』はそのようなことは一切しません。

 

この映画は完全なフィクションなのですが、この映画を観た観客が実在する『レディ・カガ』を勘違いするのではないかと心配になってしまいます。

 

この先ネタバレ有り、注意!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観賞前の予想では『フラガール』の二番煎じと思ったのですが、そのような要素もありますが、悪い意味で予想とは少し違いました。

 

むしろ『フラガール』のストーリーラインをそのまま当てはめた方がマシな映画になったのでは無いかと思います。

 

正直、個人的には難のある映画でした。

 

冒頭、いきなり小芝風花さん演じる主人公のタップダンスから始まります。

 

これには唖然としました。

 

本作のクライマックスになると思われた主人公のタップダンスを冒頭で見せられると、クライマックスで披露されるであろうタップシーンでの爽快感が半減するのが明らかだからです。

 

主人公がタップダンサーということで、何も出来ない主人公が特訓でタップダンスを踊れるようになるという物語であろうという私の予想は冒頭から裏切られました。

 

その後、『女将が、女将が!』との意味深な電話で急遽実家である加賀温泉郷の旅館に帰郷する主人公(この電話の真相が終盤まで放置される展開もどうかと思いました)。

 

その後、泥酔した主人公の嘔吐シーンの後に『レディ加賀』のタイトルを出すというセンスの無さ。

 

この映画が少なくとも傑作にはならないことが、冒頭を観ただけで明らかになりました。

 

この後も自分勝手で感情移入できる要素が一切無い主人公に不快な気分で映画を観る事になりました。

 

前半は主人公の女将修行がメインとなり、物語半ばでようやく『レディ加賀』が結成されタップダンスをしようという話が出てきます。

 

ある登場人物の思いつきから『レディ加賀』は結成されるのですが、この展開もいささか強引に感じました。

 

イベントでタップダンスを披露するために急遽加賀温泉郷の若女将とその候補生で結成された『レディ加賀』。

 

主人公以外タップダンスは素人ですので、主人公以外のキャラクターの成長物語としての引きつける要素がようやく出てきた感じです。

 

特訓の末、いよいよ本番となるのですが、その前にイベントの実行費を持ち逃げされるというトラブルが発生。

 

さらに本番の舞台でも、音響トラブルやダンスを失敗したり、突然の強風で舞台が壊れたりと立て続けにトラブルが発生します。

 

色々なトラブルを連発させて観客を楽しませようという意図は分かるのですが、それらが全て空回りしているように感じました。

 

クライマックスは純粋にタップダンスの特訓の成果を完璧な状態で披露して欲しかったです。

 

余計なトラブルのおかげで、タップダンスのシーンを素直に楽しめなくなってしまったのが残念です。

 

肝心のタップシーンも、タップ音や音楽で誤魔化している感じがするのも勿体ないです。

 

『フラガール』にあった蒼井優さんの圧倒的なフラダンスシーンのような映画的なカタルシスがこの映画にはありませんでした。

 

そもそも主人公はタップダンサーなので、クライマックスでソロでタップダンスを披露しても特別な感動が湧かないのです(小芝風花さんのタップダンスが良いだけに余計に勿体ないです)。

 

この映画の監督や脚本家は娯楽映画というものを理解していないのではないでしょうか。

 

作中、やたらと加賀市をアピールする小道具やロケ地が登場しますが、これも地元の人は嬉しいでしょうが、それ以外の地域の人間はごり押し感に辟易する気がします。

 

この映画を観て加賀市に行きたいと思う観客がいるのでしょうか。

 

と、かなり酷評しましたが、それでも最後まで退屈せずに観られたのも事実です。

 

少なくとも暇つぶしくらいにはなる作品ですので、義援金を払うつもりで観に行かれてもよいのではないでしょうか。