2023年10月公開作品。
ビートたけしさん原作の恋愛小説を、二宮和也さんと波瑠さんの出演で映画化。
この先ネタバレ有り、注意!!!!!
二宮和也さん演じるインテリアデザイナーの水島悟と波瑠さん演じる美春みゆきの恋愛物語です。
美春は携帯電話を所有していないというのが、この物語の特色。
そのため二人は『ピアノ』という名の喫茶店で毎週木曜日と日時を決めてデートします。
ところがある日、美春が『ピアノ』に姿を見せなくなって……。
物語自体はどこかで見たことあるような設定で、目新しさはほとんどありません。
それでも演じる役者さんたちの好演で、退屈することなく最後まで物語に引き込まれました。
二宮和也さんの優しい雰囲気が、この映画の主人公に合っていました。
美春が「携帯電話を持っていない」と告げてからが映画の本題なのですが、その場面まで三分の一くらい費やしています。
ですが、この物語にはこれくらいのペースの展開が心地よく感じられました。
恋の行方をじっくりと描く中盤も、二人のデートを追体験しているような感覚で見ることができました。
後半、美春と連絡が取れなくなったとき、水島が必死で行方を追う展開になると思っていたのですが、そのような事はせず落ち込みながらもすんなり諦めたのは予想外でした。
美春の身に何が起きたのかが判明する終盤、その真実は意外にあっさりと判明します。
その真実はここでは記しませんが、割とありきたりな展開ではありました。
ハッピーエンドともいえない、悲恋とも言えない、それでも鑑賞後に幸福に満たされる、そんな結末でした。
私は泣きませんでしたが、涙もろい方でしたら泣ける映画だと思います。
心に残る佳作でした。
が、気になる点もいくつかあります。
所々、唐突にぶつ切れる違和感のある素人っぽいカット割りがありました。
特に焼き鳥屋の場面はそれが頻繁にあるので、目がチカチカしました。
何か意図がある演出だったのかもしれませんが、私には受け入れがたいカット割りでした。
終盤、美春の日記が重要アイテムとして登場するのですが、これも唐突に感じました。
日記を書いている場面が伏線としてあるべきではなかったかと思います。
水島の二人の親友も若干くどく感じられました。
題名にもある『アナログ』という設定も上手く生かし切れていない気もしました。
と、気になる点もありますが、良い映画だと思います。
心地よい気持ちで映画館を後にする事が出来ました。