2023年9月公開作品。

 

20世紀末に連載された、かわぐちかいじさんの漫画を実写映画化。

 

Amazonスタジオが初めて手がけた日本映画です。

 

この先ネタバレ有り、注意!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全32巻もの大長編の原作ですので、この映画では原作の序盤しか描かれていません。

 

海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」の沈没から物語は始まります。

 

艦長の海江田以下76名の乗組員は全員が死亡とされていましたが、それに疑問を持ったのが潜水艦「たつなみ」の艦長・深町。

 

実は海江田たちは生存しており、秘密裏に製造された日本初の原子力潜水艦「シーバット」の乗組員として配属されていた。

 

という出だしに映画の三分の一くらいを費やしており、物語が本題に入る海江田の反乱までが長く感じられました。

 

この辺りはもっとテンポ良く進めても良かったのではとも思いました。

 

海江田が「独立国やまと」を宣言するまでが中盤。

 

後半は米軍第七艦隊と「やまと」の戦闘が展開されます。

 

潜水艦の戦闘シーンは安っぽくなることも無く、無難に描かれていました。

 

先にも記しましたが大長編の原作ですので、物語は途中で終わります。

 

本作がヒットすれば、続編が作られるものと思われます。

 

映像的には良い意味でも悪い意味でも無難な出来映えでした。

 

個人的にはもっと映画的な迫力のある映像を観たかった気もします。

 

物語的には時折挿入される無駄なシーンが気になりました。

 

潜水艦「たつなみ」内の食堂での会話や、休憩中の乗組員が彼女がいるいないなどたわいもない話をしている場面など、必要なかったのではないかと思えるシーンが時折ありましたし、上戸彩さん演じるニュースキャスターなども今後の続編では重要なのかもしれませんが本作では全く存在意義を感じられませんでした。

 

日本政府の会議のシーンが戦闘シーンなどの合間に挿入されますが、これも大して進展がない話し合いなのであまり面白くもありません。

 

総理大臣役の笹野高史さんや内閣参謀参与役の橋爪功さんは個人的にはとぼけた老人のイメージが強いので、本作のようなシリアスな物語には合っていないように思えました。

 

戦闘シーンでは海江田の戦闘の仕方が、相手の行動に頼り切った他力本願の戦術ばかりなのも気になりました。

 

相手が海江田の読み通りに行動しなかったらそれでおしまいという、一か八かの賭けが多すぎます。

 

『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーのような戦術を観てみたかったです。

 

これは原作がこうなので仕方が無いのですが。

 

もし続編が作られることになればロシア軍なども登場することになるのですが、果たしてこの辺りをきちんと描けるのでしょうか。

 

今後、米軍が『やまと』に振り回される展開になるのですが、アメリカ資本のAmazonがこの物語の製作によく賛同したものだと思います。

 

おそらく本作は数ヶ月後にはAmazonプライムで無料配信されるのではないかと思われます。

 

映画館で観なければならないほどの迫力のある映像にはなっていないように感じられましたが、テレビで観る分には十分楽しめると思います。

 

もちろん映画館で観ても入場料金分は十分に楽しめるだけの無難な作品には仕上がっています。

 

色々と書きましたが、普通に楽しめる作品ではありました。