2023年8月公開作品。
アメリカのマテル社が発売した着せ替え人形『バービー』を題材にした映画です。
この手の映画はアメリカ映画の得意とする所ですので、ハズレはないと思い観賞してきました。
主人公のバービーを演じるのはマーゴット・ロビーさん。
バービー人形と言う難しい役どころを見事に演じています。
この先、ネタバレ有り、注意!!!!!
とても面白い映画でした。
『オッペンハイマー』との掛け合いが問題になっていましたが、それを理由に観ないというのは勿体ないと思います。
映画は『2001年宇宙の旅』のパロディから始まります。
この冒頭は素晴らしいパロディなのですが、『2001年宇宙の旅』を知らない人が観たら意味不明なシーンかもしれません。
それから舞台はバービーたちが暮らすバービーランドへ。
そこでは様々な種類のバービーたちが、人形の世界で夢のような生活をしていました。
その世界は完全な女性社会で男性(複数のケンと一人のアラン)は女性に服従している存在でした。
ある日、マーゴット・ロビーさん演じるバービーが突如『死』に関することを口に出したところ、身体に異変が起き始めます。
かかとが地面に付くようになり、セルライトが出始めたバービーは『変てこバービー』のところへ相談に。
異変の原因はバービーの持ち主である人間になると聞かされたバービーは、無理矢理付いてきたケンとともに人間界へ行くことになります。
持ち主のサーシャに会ったバービーは、人間界ではバービーは時代遅れの存在と指摘されショックを受けます。
ここまでは予告編で予想できる展開でしたが、ここからは予想外で、そうくるかと楽しませてもらいました。
ケンが人間界で男性社会を知り、バービーランドを男性社会へと作り替えようとするのです。
それを阻止しようと、バービーとサーシャ親子が奮闘します。
バービーを嫌っていたサーシャがバービーに協力的になるプロセスが少々強引に感じられた点は気になりましたが、ファンタジーの話ですので、細かいことは気にせず観賞していました。
もちろんバービーがバービーランドを取り戻すのですが、女性社会に戻ったのでは問題がありますので、男性にも権利が与えられるという展開になっています。
人間界を知ったバービーは人間として生まれ変わる決心をします。
バービーであることを卒業するのです。
サーシャの年齢が思春期であることと重ね合わせると、それくらいの年齢の観客に訴えようとしているのかもしれません。
とはいえ、バービーを手放せないサーシャの母親グロリアの存在もありますので、大人の観客も十分に楽しめる作品になっています。
バービーランドやバービーを発売しているマテル社の描写など、このようなファンタジックな描き方はアメリカ映画ならではの巧さです。
バービーの生みの親ルース・ハンドラーがバービーと話すシーンはちょっと日本映画のような感傷的な描写で、ハリウッド映画らしくなく感じられましたが。
続編が作れないような結末も、ヒットすれば続編を作る昨今の映画を考えると、潔く思いました。
人によってはちょっと切ない気持ちにもなるかもしれない結末ですが、観て良かったと思える作品でした。