2023年6月公開作品。
金沢を舞台にした、カレーがテーマの映画です。
石川県は人口十万人あたりのカレー店の数が日本一だそうでして、それでカレーがテーマのこの映画の舞台に選ばれたらしいです。
この先、ネタバレ有り、注意!!!!!
謎のウィルスが蔓延した世界が舞台です。
そのウィルスにカレーのスパイスが効果があるとの風説が広まったため、スパイスが買い占められ入手困難になるという事態が発生、そんな世界で巻き起こる出来事です。
コロナウィルスによる混乱と重なる部分はあるものの、それでもカレーが不足するという設定は説得力に欠ける気がしました。
私はそういう世界なんだなと割り切って観ることは出来ましたが。
主人公の高校生を演じるのは中川翼さん。
実写版『耳をすませば』で天沢聖司役を演じていた方です。
この主人公、若干キャラクターが弱い気がしました。
その分、主人公の幼なじみの高校生を演じる速瀬愛さんやその友人を演じる茅島みずきさんなどの三人の女子高生は個性
がハッキリしていて良かったです。
主人公よりもこの三人が物語を動かしている感じでした。
カレーがテーマですので、何種類かのカレーの作り方を劇中でも説明してくれますので、カレーに興味のある方は一見の価値くらいはあるかと思います。
ですが、カレーとは関係ないエピソードに時間を割いている部分があるのは残念でした。
幼なじみの芸能活動をしている高校生が元カレから付き合っていた時に撮影した画像をネット上に公開されて、一気に悪評が広まるエピソードは、自業自得だろうと思いましたし、そもそもカレーとは何の関係もないエピソードです。
主人公にはなぜかLGBTという設定があり、野球部の男子の先輩に恋しています。
この設定もカレーとは全く関係なく、今の時代に配慮したのかもしれませんが、物語にもほとんど影響しない設定なので、普通に同級生の女の子との恋愛話にした方が良かった気がします。
劇中の世界で、スパイスが不足したことで騒動になっているのは日本だけと言及されていますが、インドとかはどうして騒動にならないのだろうかと疑問に感じました。
金沢が舞台ということで金沢の風景が全編に映し出されるので、石川県在住の私にはそれだけでも十分に楽しめました。
金沢出身の女優、田中美里さんが友情出演で出ています。
友情出演ではありますが、主人公の母親役で出番は多くあります。
邦画ですが、脚本がアラン・スミシー名義になっていました。
アラン・スミシーとはアメリカ映画の脚本で何らかのトラブルがあり、脚本家が名前を出すのを拒否したときに使われる仮の名前です。
今作でこの名義が使用されていたと言うことは、何らかのトラブルがあったのでしょうか。
この映画の脚本はそこまで壊滅的では無かったように思えるのですが。
実際、観ていて退屈するような映画では無く、最後まで楽しめましたので、入場料金分は楽しめたと思います。
カレーがテーマですが、高校生が主人公の青春物語でもあります。
予告編を観て興味をそそられた方は観ても損はしないと思います。
低予算の映画ですが、退屈のしない娯楽作にはなっていると思います。