2023年3月公開作品。

 

本年度のアカデミー賞に11部門でノミネートされている作品です。

 

主演のミシェル・ヨーさんは、ジャッキー・チェンさんの『ポリス・ストーリー3』や『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のボンドガールでお馴染みです。

 

共演のキー・ホイ・クァンさんは、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』や『グーニーズ』の名子役で、現在は51歳となりました。

 

日本映画の『パッセンジャー 過ぎ去り日々』では故・本田美奈子さんと共演もしていました。

 

私の世代には懐かしい顔ぶれの映画です。

 

この先、ネタバレあり、注意!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

この映画は近年のマーベル・シネマティック・ユニバースでも取り上げられているマルチバースの物語です。

 

一歩間違えると、ただの変な映画になりかねないギリギリのバランスの映画に感じました。

 

主人公の娘が全てのマルチバースを支配するジョブ・トゥパキとなり、主人公の前に立ちはだかります。

 

ジョブ・トゥパキは、先日観た『アントマン&ワプス:クアントマニア』に出てくる征服者カーンのような存在でした。

 

彼女のマルチバースにおける全ての自分の可能性を見て、それに失望し、ベーグル型のブラックホールで全ての存在を消し去ろうというのが最終目的でした。

 

一方の主人公は、マルチバースにおける様々な自分を知ることで全てのマルチバースを肯定し、今の自分の選択を受け入れようとします。

 

この正反対の母と娘の対立と和解を描いた作品でした。

 

最終的なテーマとしては目新しさはありませんでしたが、普通にいい話だと思います。

 

ですが個人的に期待していたのは、そんなマルチバースの話よりも、ミシェル・ヨーさんのカンフーアクションでした。

 

こちらは全盛期のジャッキー・チェンさんのアクションを彷彿とさせるような小道具を上手く使ったカンフーアクションで、60歳のミシェル・ヨーさんが年齢を感じさせない動きで存分に楽しませてくれました。

 

序盤にはキー・ホイ・クァンさんのカンフーアクションも見る事が出来、大いに楽しめました。

 

マルチバースの物語で、家族愛を描いていて、アジア人が主役で、性的マイノリティにも気を遣っているという優等生な作品なので、アカデミー賞最多ノミネートもうなずける出来でした。

 

逆に言うと、優等生過ぎて、もう少しマルチバースの設定を広げる余地があったのではないかという気もします。

 

馬鹿なことをするとマルチバースに移動できるというユニークな設定も生かし切れていない気がしました。

 

もっと笑える描写ができたのではという気もします。

 

鑑賞前は長く原題のままの題名に、本作の日本担当の宣伝マンはやる気あるのかと思いましたが、本編鑑賞後はこの題名でも仕方ないかと思い直しました。

 

それでも長く覚えにくい題名だと思いますし、この題名では日本ではヒットしにくいのでないかとも思います。

 

なにか良い邦題が無かったのでしょうか……。

 

色々と文句を言いましたが、マルチバースという設定に抵抗がなければ、無難に楽しめる作品だと思います。

 

私は入場料金分は楽しませてもらいました。