2022年10月公開作品。

 

柊あおいさんの漫画が原作。

 

1995年にスタジオジブリによってアニメ映画化されたのが、有名な作品です。

 

今回の実写版は原作の内容と、その十年後の出来事が同時進行で描かれています。

 

この先、ネタバレあり、注意!!!!!

 

ジブリ版が大好きでDVD も持っているのですが、今作はジブリ版の物語とは繋がりません。

 

一番、明確に違うのは、天沢聖司の夢がバイオリン制作では無く、チェリストに変更されていること。

 

ジブリ版では印象的だった『カントリーロード』では無く『翼をください』に変更されていること。

 

他にも、月島雫が初めて書いた小説を読むのが、地球屋のおじいさんではなく、聖司に変更されているなどの変更点があります。

 

一番、気になったのが時系列の変更。

 

聖司の方が先に雫のことを好きになった事実を告白するや、プロポーズをするのが十年後の出来事に変更されています。

 

後にも書きますが、これが結果的に物語を停滞させているのが気になりました。

 

ジブリ版が好きだった私としては、あれから十年後の物語がどのように展開されていくのかが楽しみで鑑賞したのですが、その期待は見事に裏切られました。

 

十年後の月島雫の物語は、映画の中盤まで夢も叶えられず、仕事も上手くいかずで停滞気味。

 

中盤で、雫と聖司がようやく再会してから、物語が進み出すのかと思いきや、聖司の事を好きなイタリア美女が登場して雫と聖司の仲を壊そうとしたりと、むしろ後退している様に感じられました。

 

雫の物語(人生)が前に進むのは、ラストに聖司がプロポーズしてから。

 

つまり、ようやく十年後の物語が動き始めたところでエンドロールが流れるのです。

 

エンドロールの背景にはジブリ版を思い出させる映像が流れます。

 

ここが一番、気持ちよく見ることが出来ました。

 

私が本当に見たかったのはその先の物語なのにとの気持ちもあります。

 

このエンディングでは、結局、ジブリ版からほとんど前に物語が進んでいない気がします。

 

おそらくあの原稿の題名からして、雫は入選して夢を叶えるのだろうと思わせるラストでしたが。

 

あと、個人的に気になったのが、雫が手書きの応募原稿を鉛筆で書いていたこと。

 

公募小説の手書き原稿は、鉛筆書きは厳禁、万年質やボールペンなどインクで書いた物しか受け付けてくれないはずです。

 

少なくとも私が手書きで応募していた時はそうでしたので、書き損じた時の修正に苦労したことを思い出します。

 

それと、落選しても現実には落選通知のハガキが届くことなど無く、何の連絡も来ません。

 

細かい事ですが、その点は気になりました。

 

と、ド素人が言いたいことを色々と書きましたが、最後まで退屈せずに見れる作品だったので、入場料は損した気はしないです。

 

猫のムーンなんて、どうやって撮影したんだろうと思うくらい、いい演技をしていました。

 

ただ、ジブリ版にあった夢を追う人への応援歌としての側面よりも、恋愛物語の要素が大きく上回っていたのが、個人的には思っていたのと違うと感じる点でした。

 

そういう人はジブリ版を見れば済む話なのですが、それを言ったら元も子もないですね。