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伝世舎のブログ

日々是好日

作品の解体

 さて、襖の修復第2回目です。


 前回、修復前の調査を行いました。それが終われば解体作業に入ります。
 調査したところ、本紙には経年の汚れ、シミ、破れなどが数多くあり、とても劣化していて慎重
な修復が必要であることが分かりました。


 解体作業をご覧に入れる前に、襖の構造をお話しします。
 襖の構造は図のようにかなり重層構造を持っています。骨(木の骨組)に何層もの和紙を工程ごと
に違う方法で貼っていきます。これを「下張り」 といいます。
 これはパネル構造自体に強度を持たせる、骨を補強して歪みが出ないようにする、骨と本紙の
伸縮の差を吸収し、裂けの損傷をくい止めるなどの、本紙の伸縮に対しての緩衝材としての役割をします。四季による温湿度の変化を下張り部分で吸収し、本紙を傷めないための昔からの知恵です
 骨の上に8層の紙を貼り(骨縛り、同貼り、蓑掛け、蓑縛り、下袋、上袋)、最後に本紙を貼り込
みます。そのため大量の紙が必要になります。


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 襖の構造が分かったところで解体のお話です。
 まず、縁木(フチ)を外し、引き手も外します。


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縁木の解体


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引き手の取り外し


 縁木と引き手、骨は再使用しますので、なるべく傷を付けないように慎重に行います。
 それが終わると、本紙を骨から剥がす作業になります。
 ここは特に慎重さが必要です。


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本紙の分離


 本紙を取り除いた状態です。
 昔の下張りには、反古紙(書き損じ等の不要になった紙)が使用されているものが多いのです
が、この下張りは真っさらな紙が使われていました。


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本紙を剥がした状態


 これにはまだ下張りの紙がありますので、これも剥がします。


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使っている糊は生麩糊なので水を与えると剥がせます


 細かくちぎれた紙も取り除いて、骨だけにします。この骨は再使用します。
 骨の四隅に板が付けてあるのは、昭和の頃によくあった骨の特徴です。最近はまずこのようにはし
ません。しっかりとしたいい骨でした。
 骨と下張りの状態を見ますと、当時としてもしっかりとした作業がされていることが分かりまし
た。


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骨だけの状態


 これで解体は完了です。この後は本紙の修復と、襖の下張りの準備に入ります。

 次回、お楽しみに。

作品の状態調査


 この度、個人蔵の襖の修復を依頼されました。その方のご厚意により、修復行程を載せることができるようになり、今後何回かに渡り工程をご紹介していきます。
 ある程度作業がまとまったときに掲載しますので、ご紹介する工程と現在進行中の工程は一致しておりません。あしからず。


 一般に襖は唐紙などが貼られていますが、このお宅の襖には絵が描かれています。いわゆる「襖絵」です。唐紙の場合は新たに紙を貼り替えればいいのですが、今回は絵の修復がメインになります。
 依頼されたのは襖8面。小襖4面です。一度にはとても無理なので、まず襖4面、小襖2面をお預かりしました。
 襖というものは必ず両面があります。次回お預かりする襖4面と小襖4面は、裏面が唐紙等ですのでまだいいのですが、今回お預かりした襖は両面とも絵が描かれています。4面と言っても8枚の絵の修復になります。幅約90cm、縦約180cmですから修復するスペース確保も大変です。


 まず最初に行う作業は、作品の状態調査です。調査によって現状を確認し、修復方針を決定します。
 ここで必要なことは、寸法、本紙の状態、傷や破れの確認、今回は襖なので下張りの状態、骨や縁の状態なども調査します。今回は骨と縁を再使用することにしました。
 調査の前に写真撮影です。この写真をプリントアウトして、傷の状態などを書き込みます。また、損傷部分をアップで撮っておきます。


伝世舎のブログ-襖1

撮影風景


 撮影が終わると、細かいところの調査です。どの部分に傷があるか、破れの状態はどうか細かく調べていきます。調査した項目は調査票に作品の損傷状態を書き込んでいきます。


伝世舎のブログ-襖2
全体を見ながら調査票に記載


伝世舎のブログ-襖3

細かい部分も記載していく


 後々確認をしながら作業を進めていきますので、慎重に進めます。
 これで調査方針を決めたらいよいよ解体に進みます。


 次回は調査結果および襖に関しての構造や用語について説明します。
 こうご期待を。


年度末の地獄のスケジュールも何とか終わり、忙しい中花見も無事こなし、やっと一息ついています。
ブログネタもなかなかないのですが、そんなときには他人の褌。
とは言え、ちゃんと三浦が関わった(というか書いた)ブログの紹介です。
しばらく前に報告を載せましたが、その続編です。


東北芸術工科大学 美術史・文化財保存修復学科のブログです。
被災地域文化財資料等のレスキューと保存修復 ~東洋絵画修復ゼミの活動~ 報告2


http://blog.tuad.ac.jp/bibun/?p=207


昨年12月20日~22日にかけて開催した、企画展の報告を載せました。
ぜひ、ご覧ください。