前回はサクションテーブルを自作する所までお話ししました。今回は実際にそれを使った作業についてお話しします。
写真1はセロハンテープの接着剤痕です。この接着剤痕は40年近く経過した状態です。テープは剥がれてしまっていますが、接着剤が残って、すでに茶色くなって硬化しています。さらに紙作品の裏面にまで浸透して、茶色い変色が分かります(写真4参照)。 そこでサクションテーブルの出番です。
写真1 紙作品に残ったテープ痕
このやり方は、溶剤を使って接着剤を緩めて、吸い取り紙に吸着させる方法です。溶剤は浸透性が高いので、緩んだ接着剤が回りに広がって染みにならないように、吸引しながら処置を行います。
まずは組み立てたサクションテーブルに吸い取り紙を置きます(写真2、3)。その上に、裏返しにした写真1の紙作品を乗せます。その時に、接着剤痕部分をテーブル中央の吸引器材の位置に合わせます。接着剤痕よりも大きい穴を開けたマイラーフィルムを乗せて準備完了です(写真4)。
※緩んだ接着剤痕が直接吸い取り紙に吸着させるために、紙作品は裏返しにしています。
写真2 自家製サクションテーブル

写真3 テーブルに吸い取り紙を置く

写真4 写真1の裏面。裏面にまで接着剤痕が浸透しているのが分かる。マイラーフィルムでカバーする。
接着剤痕に溶剤を塗布します(写真5)。今回はアセトンを使いました。テープの種類や接着剤痕の状態によって、除去に有効な溶剤は異なります。そのため、試してから使う溶剤を決めます。
写真5 溶剤を塗布する
溶剤が回りに広がらないように、サクションテーブルのスイッチを入れ、上からも吸い取り紙をあてがって溶剤を吸引します(写真6)。これを数回繰り返しながら作業を進めます。下に敷いた吸い取り紙に、溶剤で緩んだ接着剤が吸着しました(写真7)。

写真6 吸い取り紙を上からあてがい、溶剤を吸引

写真7 吸い取り紙に吸着した接着剤痕
今回の接着剤痕は長い時間が経っていたので、完全に除去するまでは難しかったのですが、ここまで軽減することができました(写真8)。
写真8 写真1の処置後
サクションテーブルを使っての接着剤痕除去の方法は、紙だけの作品には有効的ですが、パネルやボードの作品では厚みがあるため吸引できません。そのため、作品の状態によって処置方法を選択します。その上で作品への負担や影響が最小限に抑えて、処置を行うことが重要です。
とは言え、このやっかいなテープ痕も軽減はできますので、何かの折にご相談頂ければと思っています。
次回、古糊と寒糊煮についてお話しします。