前回で骨の下張り作業も終わり、後は仕上げに入っていきます。
まず本紙に2層目の裏打ちである増し裏打ちを行います。
増し裏をした本紙は※仮張り(かりばり)に張り込んでフラットな状態で乾燥させます。
乾燥後、本紙を仮張りから剥がします。
※仮張り=骨に数層の紙を貼り、表面に柿渋を塗って、耐水性を持たせたパネル。裏打ちした本紙をフラットに乾燥させるために使います。
本紙を仮張りから剥がす。
本紙を下張りパネルに合わせて、貼る位置を決めます。
裏打ち紙の余分な部分を裁ちます。
余分な裏打ち紙を裁つ。
本紙を下張りパネルに貼り込んでいきます。
本紙の裏に生麩糊を塗ります。
全体に水糊(生麩糊を薄く溶いた糊)を塗る。
本紙の下張りパネルへの貼り込みは、絵がずれないように、また波打ったりしないよう慎重に作業を進めます。
本紙の貼り込み。角の部分は将来シワが生じないよう特に慎重に。
本紙が貼られ、襖の形が出来てきました。
今回の襖は両面に絵があったため、表裏とも同じ作業を行いました。4枚の襖で絵は8面になります。
欠失部は地色合わせの色味調整(補彩)をします。小さな欠失部分も同様に補彩していきます。補彩をしたことで欠失部分が目立たなくなり、絵がはっきりと見えてきました。
※地色合わせ 補修した箇所が目立たないように、補彩(ほさい)といって、本紙の紙や絹の色味に合わせて(地色合わせ)彩色をします。線描や周辺の彩色には合わせることはしません。
下張りパネルに貼った本紙。欠失部分に補彩をする。
その後引き手を着け、縁(フチ)を取り付けます。今回は引き手は軽く磨いて再使用。縁も損傷箇所を処置して、漆を塗り直して再使用しました。
引き手の装着。
縁の取り付け。
これで完成です。
所蔵者の元に運び、襖を元通りにはめ込みます。
縁の作業をお願いした職人さんに来ていただき、開閉具合を調整しながらはめ込みました。
襖納品後写真。
襖の修復の報告は今回で終了です。何とも間延びした形のブログになってしまいましたが、最後までご覧頂いた方々にはお礼を申し上げます。
この後もご報告できる事例ができた場合、このブログにアップしていきたいと思っています。
最後になりましたが、ブログでの紹介を快く許可していただいた所蔵者の方に深く御礼を申し上げます。