MAMコレクション さわひらき
(2024/3/30)

 さわひらき「hako」(2007)。
 暗い展示室に入ると、大きな机の上に砂が敷き詰められていて、そこに置かれた5つのスクリーンに映像が投影されている。(砂場に積み上げた本の上にプロジェクターがある)。
 砂場の上には本が積んであったり花瓶が置いてあったりする。これは作品の着想の元となった箱庭を表している。


 



 この作品はアーティストファイル2008(国立新美術館)で見たことがあり、自分にとってはさわひらきの中で最も好きな作品である。
 当時の展示はスクリーンがひとまわり大きくて床に点在していたが、今回は箱庭の要素が加わり、小さいスクリーンで机の上にコンパクトにまとまっている。

 どこか懐かしい感じの映像。そしてさびしい。月をバックに回る、海辺の観覧車のシルエット。音もなく、遠くに次から次へと花火が乱れ上がる。映像は無音だが、オルゴールのような音楽が部屋に聞こえていて、これも郷愁を誘う。
 なんかせつない、記憶の奥底のイメージのような場面。

 


 作り物のような、灯台のある風景。非現実的な光に照らされた海に向かって、道が伸びている。


 古い日本家屋。壁には影のような絵が描かれている。しばらく見ていると、絵の中が動き出す。老人が動物と歩いているような絵だった。

 しばらく見ていると、6つのスクリーンがいっせいに白くなる瞬間がある。白い画面には壁紙のようなものが映っている。


 時計の振り子が揺れるだけの映像。振り子がぶんぶん触れて時間が早回しで進んでいるようだが、時計のさす時刻は現在時刻とあっているようだ。
 やっぱり「hako」は好きだ。


 


 机の脚の下、足元に白い丸い光がある。かがんで見ると、丸い光の奥に映像が見える。茎に葉がついたものが、鳥のように羽ばたいているように見える。さわひらきらしい映像。



 「hako」以外にも作品がある。
 絵画も描くのか。ぐるぐる同心円を重ねたような描き方だが、羊の顔は上手。金の丸は月だろうか。



 バレリーナがくるくる回る。少女がたくさんの瞬間に分裂し、残像のようなものだけがたえず動いている。


 

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