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つづき

(2021/7/10)
 


 アンナ・ボギギアン「シルクロード」。エジプト出身で、展示を行う場所の歴史を掘り下げ、ある産業や物(今回は絹糸)と世界との関わりの歴史、みたいなことを調べて作品にする人のようだ。今回はシルクロードがテーマ。
 絹糸が天井から雨のように多数下がり、切り抜かれたパネルに描かれた絵が下がっている。昔のシルクロード、ラクダに荷物を運ばせる人たち、と思うと、富岡製糸場みたいな明治の話になり、女工とか蚕とか出てくる。豊田織機つながりで自動車の絵も。
 絵の一部にはもしゃもしゃと絹糸が絡まる。見た目にダイナミックなインスタレーションで、具象画要素もあり、これはなかなか面白い。

 

 




 アンナ・ボギギアンはイスタンブールビエンナーレ2015で見ていたことに後で気づいた。そこで見たのは今回より数倍ダイナミックな大作だった。イスタンブールでは塩の交易をテーマにしており、巨大な帆のような布に絵が描かれているのだが、それより、ボートの残骸や盛られた塩・岩塩などリアルな物を配した空間(その中をさまようことができる)で印象に残った。(下記記事)

 


 カルメン・ヘレラ。1915年、ハバナ生まれ。106歳!今回の展覧会の中でも最年長の作家。
 作品が初めて売れたのが2004年、89歳の時で、そのあと再評価が進み今ではMoMAでも収蔵されている。

 出品作品はどれも同じような絵に見えるが、古いものは1959年、新しいものは2017-2018年と、約60年の幅がある。



 こういうハードエッジでフラットな、色面と形だけの絵を描く人は時々いるがどれも同じに見えて好きでない。(こういうタイプの絵の代表がエルズワース・ケリーだが、カルメン・ヘレラはケリーと同時期の50年代からこういう絵を描いていた、ということで今になって評価されているらしい。)
 シェイプドキャンバスもある。そして立体にもなる。

 こういうミニマルな作品は好きでないので、さっと見て通り過ぎた。


 展覧会中盤はミニマルアートの系譜の作品が多く、ややつまらない。
 リリ・デュジュリー(ベルギー)。鉄の板と棒は固定されていなくて絶妙なバランスで立っているらしい。


 ヌヌンWS(インドネシア)


 宮本和子。日本の作家だが知らない。70年代、釘と糸でオプアートみたいなのを作っていた。見る角度によって複雑に見えかたが変わる。

 

 

つづく