大谷翔平選手の元通訳が、大谷選手の口座から1600万ドル以上を盗んだ「銀行詐欺」容疑で訴追されました。

 

大谷選手が渡米したさい、MLBの給料などを管理するために必要だった銀行口座の開設に通訳として関わった(この時に大谷選手の個人情報・口座の情報を手に入れた)水原容疑者は、2021年9月から違法なスポーツ賭博をはじめ、多額の損失を出したところで、大谷選手の銀行口座の連絡先――電話番号やメールアドレスを自分のものと入れ替えた。

 

銀行の担当者に“大谷選手と偽って”送金を指示した容疑者の音声記録が残っているそうです。

 

捜査当局は容疑者の携帯端末を押収したほか、大谷選手からデジタル機器や個人情報へのアクセス権の提供を受けました(もちろん事情聴取も)

 

捜査当局の会見で担当者は「大谷選手は1600万ドル以上の巨額詐欺の被害者だった。スポーツ賭博を許可した形跡も、賭博について知っていた形跡も、個人口座からの送金を許可した形跡も見つからなかった」と断言しています。

 

会見を見た私が驚き、安堵したのは「賭けの配当金が通訳の口座に振り込まれた」事実でした。

 

違法なスポーツ賭博の借金は大谷選手の口座から支払われているのに、儲けた金は水原通訳の口座に振り込まれている。

 

これは、アメリカや日本でささやかれた「元通訳が大谷選手の身代わりになった」“憶測”を否定する根拠となりえます。

 

英語が完璧ではない日本人と、日本語ができないアメリカ人の間に入った水原容疑者が、通訳の仕事で得られた情報を悪用し、嘘をつき、自分に都合の良いように物事をすすめた。

 

今回の事件を説明すると、こうなるのでしょう。

 

 

以前、通訳が解雇された時に書いたブログで、私は日本人とアメリカ人の受け取り方の違い――大谷選手を高校時代から見てきた日本人は彼に関するエピソードを知っているから「そんなことをする若者じゃない」と思うが、アメリカ人は人となりを知らないから関与を疑うと予想しました。

しかし、実際は日本人のなかにも大谷選手の関与を疑う人は少なからずいて、アメリカの記事を疑問も注釈もはさまずに(裏取りもせずに)引用し、勝手な憶測をさも真実のように語る“自称”専門家・ご意見番がたくさん登場しました。

 

人の悪口は、それが憶測でも、真実から遠く離れていても、少数の熱狂的な「いいね」を得られる。

承認欲求の権化にとっては甘い蜜。やめられずに繰り返す、悪口依存症の人もいたでしょう。

 

逆に「人をほめる」行為は難しくて、内容が正しくなければ違和感を覚えるし、ほめているつもりでも相手は嫌という、最悪のケースも存在します。

 

それでも私は、人の悪口を言うよりも、良いところを正しくほめられる人間でありたいと願います。