来月17日に発売される、つばきファクトリーのNEWシングルから、「涙のヒロイン降板劇」のミュージックビデオが公開されました。
山崎あおいさんが描く女性目線の歌詞と、少ない音数で聴かせるオシャレでクールな曲(Shusuiさん・Josef Melinさんの共作)、初恋サンライズでもおなじみ、杉山弘樹さんのディレクションという陣容がハマって、心地よい4分23秒を過ごさせていただきました。
ありがとうございます。
今作が初めてのMV撮影となる、新メンバーの4人は、振り付けの工夫もあって違和感なく溶け込めていましたし、先輩になった8人も、しっかりと「お姉さん」をされている。
シティポップxファンクという組み合わせは、ヲジサンには懐かしく、若い方には新しい。つばきファクトリー以外のハロプロファンにも興味を持ってもらえる作品に仕上がったのではないでしょうか?
この曲のテーマは、ついにフラれて、なんもかんも嫌になった主人公が、悲劇の池に浮かんだまま一週間ほど過ごしたあとで(暴飲暴食したりお肌の手入れをおこたったあとで)一念発起して「私が私のこと愛せなくちゃダメ」「惨めな役は似合わない」「卑屈なフリでサボらない」「癪なスポットライト躱して/幸せになれること、つかもうぜ(Baby)華やかなNEXTストーリー」と、涙のヒロインを“自ら”降板して、立ち直るところにあります。
× 涙の→ヒロイン降板劇
○ 涙のヒロイン→降板劇
2番の歌詞「君が苦手だった香水 奥にしまってたけど」には、フラれる前の主人公のいじらしさが表れていて、
つばきファクトリーの楽曲の、後日談のようにも感じました。
「つばきファクトリー」というグループは、結成から時を重ねるとともに楽曲の世界観を広げてきた――少しずつ大人になったイメージがあります。
夜の観覧車デート(まだ告白されていない)にドキドキしたり、
「誰にでも話せるような思い出作りはしたくない」と、浴衣を着ずに臨んだ花火大会で空振りに終わるなど、青春を歌ってきた つばきファクトリーが、
絡まった感情(嫉妬/相手の浮気を疑っている)ごと抱きしめらてみたいと願うようになり、
ついに今回、失恋から立ち直る大人の女性を歌った。
新メンバーが入るタイミングで「ひよこではなく、ニワトリになった」つばきファクトリーの新曲は、この10年のハロー!プロジェクトの変化を感じさせるものでもありました。
昨夜のSNSで、見事トレンド入りした「涙のヒロイン降板劇」
2週間後に初めての日本武道館公演を控えるグループにとって、追い風になりそうなMVが作られたことは、素直にうれしいです。
しかし、この曲に手応えを感じた事務所が、今後もこの路線でいくと決断したら、それはそれで悩ましい。
等身大のラブソングは、つばきファクトリーが(ハロプロのなかで)輝くための武器でしたから、「涙のヒロイン降板劇」が話題になってほしいという気持ちと同じぐらい、今後も「低音火傷」のような曲を歌っていただきたいという気持ちがあります。