このブログは「LILIUM―リリウム 少女純潔歌劇―」と「二輪咲き」のネタバレや、登場人物に対する個人的な見解を書いています。これからDVDを見る方や繭期をこじらせている方は、ご注意ください。
あたしね、怖いの。
どうしてだか分からないけど、あなたとスノウが話していると、どんどん不安になってくる。
黒い塊が、あたしの胸の中に入りこんできて、私の心をけがしていくのよ。
(LILIUM ―少女純潔歌劇― リリーとマリーゴールドより)
田村芽実さんが演じる、マリーゴールド。
吸血種の父親と人間の母親の間に生まれたダンピールである彼女は人間世界で迫害を受け、いらない子として、クランにやってきました。
竜胆「今日は皆さんに、このクランの新しい仲間を紹介します」
紫蘭「ほら、自己紹介するのだ」
「何を黙っておる。早く自己紹介せんか!」
マリーゴールド「どうして……」
紫蘭「どうしてって、お前は今日からこのクランで一緒に過ごすのだ。
仲間に挨拶ぐらいするのは当たり前だ」
マリーゴールド「どうしてそれが当たり前なの?
一緒に暮らすなら自己紹介しなくちゃいけないなんて誰が決めたの?
それはあなたの当たり前であって私の当たり前じゃない。
私の当たり前は…… みんな大嫌いってこと
紫蘭「なんだと」
竜胆「あ、あの… マリーゴールドさんです。皆さん、仲良くしてあげてくださいね」
LILIUM感謝祭「二輪咲き」のマリーゴールドは、新入りです。
このあと、ファルスに噛まれてイニシアチブを掌握されます。
(マリーゴールドの首根っこをつかんで連れてくる竜胆)(紫蘭も続く)
マリーゴールド「何するのよ! 離してよ!」
(マリーゴールドを床に倒す竜胆)
(ファルスが待っている)
ファルス「怖がることはない」
(頭を下げる竜胆と紫蘭)
(マリーゴールド、じりじりと後ずさる)
ファルス「別に、君をとって食おうというわけじゃない。
ただ、このクランの正式な仲間になるためには、儀式を受けてもらわなくちゃならない」
マリーゴールド「儀式……」
ファルス「そうだ。永遠に覚めることのない、繭期を迎えるための儀式だ」
(マリーゴールドを噛むファルス)(マリーゴールドの絶叫)
竜胆「吸血種が同族に噛まれれば、噛んだ者に対して絶対服従となるイニシアチブが生じる」
ファルス「これでお前も、イニシアチブの虜だ。さあ、立ち上がるんだ」
(立ち上がり、ファルスの元にひざまずくマリーゴールド)
ファルス「安心して、ここにいる限り、君の幸せは僕が叶えてあげる。
我が永遠の友、マリーゴールド。ようこそクランへ」
このシーンでわかることは、ファルスに噛まれるタイミング。
クランにやってきた吸血種の少年少女は、かなり早い時期に「儀式」を受けて、ファルスにイニシアチブを握られてしまいます。
それは、シルベチカ(小田さくらさん)も例外ではありません。
「二輪咲き」で語られた、シルベチカとリコリス、2人で1人の関係性。
「私にとってはチェリー、キャメリアより、あなたのほうが大切だから」
「二輪咲き」のシルベチカは、クランに来る前からの幼なじみ=親友のチェリーがキャメリアを好きなことに気づいていて、応援しています。
「キャメリアは、私のものよ」
逆に、リコリスはキャメリアに対する独占欲が第一で、シルベチカがチェリーと話すのを邪魔していました。
つまり、シルベチカは繭期――思春期における「友情」の象徴であり、リコリスは「恋愛」の象徴。二輪咲きは、同じ花瓶(シルベチカの体)に入った2本の花(シルベチカとリコリス)が、どちらも美しく咲いている(それぞれの思惑で動きつつ、支え合っている)様子を表しています。
(私が予想する)時系列は、以下の通り。
①シルベチカ、幼なじみのチェリーと一緒にクランにやってくる。
②シルベチカ、ファルスに噛まれてイニシアチブを握られる。
③シルベチカとチェリー、クランでキャメリアと出会う。
④シルベチカ、チェリーの《キャメリアに対する》恋心に気づく。
④シルベチカ、《キャメリアのことが》好きになりはじめる。
⑥キャメリアが好きなシルベチカ⇒リコリス誕生!
⑦リコリス、キャメリアと仲良くなる(シルベチカはリリーを応援)
⑧シルベチカ、予知夢を見るようになる。(二輪咲き)
⑧リコリス、クランが箱庭に過ぎないことを知る。(二輪咲き)
⑨シルベチカ(リコリス)、薬を飲むことを拒否し、塔から身を投げる。
⑩リリー、失踪したシルベチカを捜す。(LILIUM)
塔から身を投げた時のシルベチカは、リコリスで間違いないでしょう。
ファルスにイニシアチブを握られたシルベチカでは、塔から身を投げることも、薬を拒否することもできません。
ファルスがシルベチカを噛んだ時に、まだ生まれていなかったリコリス(クランに来たばかりのシルベチカは、キャメリアと出会っていない)は、ファルスのイニシアチブの外にいました。
シルベチカとリコリスは(二輪咲きで見られたような)話し合いを重ね、最終的に、このような決断を下したのではないかと想います。
LILIUMの冒頭で、劇中歌【Forget-me-not~私を忘れないで~】を歌うシルベチカは、塔から身を投げた直後という設定でした。
肉体は滅んでも、魂のようなものは残っているということでしょう。
一つの花瓶に入っていた二輪咲きの花――シルベチカとリコリスは、花瓶が割れたことで、それぞれ別の行動をとるようになった。
そんな仮説を立ててから、久しぶりに「LILIUM」のDVDを見返しました。
まずは、「LILIUMにおけるリコリス」について考えてみましょう。
リコリスはキャメリアの側にいて、見守っていたと考えるのが自然です。
DVDを持っている方は、チャプターリストから【永遠に咲きつづける花】を選んでください。リリーとスノウ、マリーゴールドのシーンが終わった後に、キャメリアとシルベチカ(リコリス)が登場します。
キャメリア「あれ? 僕は、どうしてここにいるんだ?」
チェリー「キャメリア。ちょっとあんた、また女子寮に入ってる」
キャメリア「なあチェリー」
チェリー「何よ」
キャメリア「僕は、どうしてここにいるんだ」
チェリー「まさか、あんたまで繭期をこじらせているんじゃないでしょうね」
キャメリア「うう……」
(うずくまるキャメリア)
チェリー「どうしたのよ! 具合悪いの? クスリのむ?」
(キャメリアを支えるチェリー)
(2人の背後に、シルベチカが現れる)
リコリス「キャメリア。私を忘れないで」
キャメリア「僕は、何か大切なことを忘れているような気がする。
でも、それを思い出そうとすると、苦しくなるんだ」
ここで私は、「二輪咲き」の冒頭のシーンを思い出しました。
チェリー「ああっ! いた!」
シルベチカ「こんにちは」
チェリー「こんにちはじゃないわよ」
リリー「今日、お昼、一緒に食べようって約束したでしょ?」
シルベチカ「ねえ、チェリー、リリー」
チェリー「何よ」
シルベチカ「あたし、どうしてここにいるの?」
チェリー&リリー「はあ?」
シルベチカ「どうして、あたし、こんなところに……」
チェリー「どうしてって言われても」
リリー「はっはーん。さては、また繭期の具合がよろしくないようね」
LILIUMのキャメリアと二輪咲きのシルベチカは同じ体験をしています。
これを「偶然」と言ってしまっては、あまりにも味気ない。
シルベチカの体を失い、二輪咲きから一輪挿しになった――自由を手に入れたリコリス(亡霊?)が、キャメリアを女子寮に導いていた。
そう考えると、LILIUMにおけるキャメリアの物語に、納得がいくのです。
①女子寮に足しげく通うキャメリア。
②キャメリアが「何か大切なことを忘れていること」に気づく。
③キャメリアがシルベチカを思い出す。
④キャメリアとシルベチカによる劇中歌【あなたを愛した記憶】
⑤キャメリア、ファルスのイニシアチブで全てを忘れる。
⑥キャメリア、リリーに(ファルスと同化したイニシアチブで)殺される。
ファルスにイニシアチブを握られたキャメリアが、【あなたを愛した記憶】を取り戻すには、イニシアチブの外にいるリコリスの助けが必要です。
また、二輪咲きでキャメリアに「もし2人が一緒にいられないようなことがあっても、1つだけ約束してほしいことがあるの」「私を忘れないで」と言っていたリコリスにとって、キャメリアがシルベチカを思い出すことは悲願であり、【あなたを愛した記憶】は、約束が果たされた瞬間でした。
TRUMPの精神世界がどうなっているのかは存じ上げませんが、望みを果たした亡霊は、成仏するのが一般的です。
シルベチカ(リコリス)と【あなたを愛した記憶】を歌った後、キャメリアは再びファルスのイニシアチブに管理され、悲劇的な最期を遂げます。
リコリスがいなくなった証拠と言えるでしょう。
続いては、「LILIUM」におけるシルベチカについて考えます。
繭期――思春期における「友情」の象徴だったシルベチカは、予知夢が現実のものとなり、リコリスと別の道を歩きはじめました。
リコリスの心残りが「恋人」のキャメリアならば、シルベチカにとっての心残りは「幼なじみ」で「親友」のチェリーか、劇中歌【或る庭師の物語】の相手、リリーということになります。リコリスがキャメリアに寄り添ったように、シルベチカは、チェリーかリリーに近づくのが自然……でした。
しかし、リコリスとシルベチカには、決定的な違いがあります。
それは、ファルスのイニシアチブの内と外、どちらにいたかということ。
シルベチカの「中の人」だったリコリスが、ファルスのイニシアチブの外にいたということは、イニシアチブは、シルベチカの体ではなく、魂を対象にしていることになります。
つまり、シルベチカは、塔から身を投げて(体を失って)も、ファルスの呪縛からは永遠に逃れられない。
シルベチカが、死んだ後もファルスのイニシアチブの内にいた場合、シルベチカ自身が、シルベチカの存在――過去を忘れてしまっている可能性があるのです。
自分自身が何者で、何をしてきて、何をしようとしていたのか。
全てを忘れてしまった「LILIUM」のシルベチカ(亡霊?)に残ったのは、「二輪咲き」で見ていた夢に代表される『予知能力』と、『友達を大切にしたい』という強い思いだけだったというのが、私の見解です。
(シルベチカだったことを忘れているので、友達=〇〇ではありません)
DVDを持っている方は、チャプターリストから【リリーとマリーゴールド】を選んでください。シルベチカを捜しているリリーが(シルベチカのことを覚えている)スノウと話した後、マリーゴールドがある忠告をします。
マリーゴールド「あの子に近寄っちゃダメよ」
リリー「マリーゴールド」
マリーゴールド「だってあの子、きっとあなたを不幸にするわ」
リリー「大丈夫なの?」
マリーゴールド「大丈夫って、何が?」
リリー「だって、最近、繭期の状態が良くないって」
(中略)
リリー「もう少し休んだほうがいいよ」
マリーゴールド「ねえ、リリー」
リリー「何?」
マリーゴールド「どうしてあたしのこと心配してくれるの?」
リリー「どうしてって…… 友達だもの、心配くらいするよ」
マリーゴールド「そんなことを言ってくれるのはあなただけよ」
リリー「マリーゴールド……」
マリーゴールド「あたし、あなたにお願いがあるの」
リリー「お願い?」
マリーゴールド「あの子としゃべらないで」
リリー「えっ?」
(中略)
マリーゴールド「とにかく、スノウとは話さないほうがいいと思うの」
リリー「でも」
マリーゴールド「お願いよリリー! もう、あの子としゃべらないで。じゃないと、あたし……」
リリー「やっぱり、顔色が良くないわ。
私、監督生のところに行って薬もらって――」
(リリーの腕をつかむマリーゴールド)
リリー「マリーゴールド?」
マリーゴールド「あたしね、怖いの。どうしてだか分からないけど、
あなたとスノウが話していると、どんどん不安になってくる。
黒い塊が、あたしの胸の中に入りこんできて、あたしの心をけがしていくのよ」
リリー「ねえ、やっぱり繭期の具合が良くないのよ。部屋に戻って休んだほうが」
マリーゴールド「スノウに近づいたら、あなたが不幸になる」
(リリーを抱きしめるマリーゴールド)
マリーゴールド「あたしは、あなたに幸せになってほしいの」
(リリーを噛もうとするマリーゴールド)
(リリー、マリーゴールドを突き飛ばす)
リリー「ごめんなさい。あれ? 私、どうしちゃったんだろ。体が、勝手に……」
マリーゴールド「リリー、私は!」
ファルス「あぁ~ 貧血が!」
(二人に割って入るファルス)
「二輪咲き」のマリーゴールドにはなくて、「LILIUM」のマリーゴールドにあるものが、2つありました。
1つは髪の毛の長さ。
もう1つが、『予知能力』です。
マリーゴールドの胸の中に入り込んで、その心を穢していく黒い塊。
私は、この黒い塊こそが「塔から身を投げた後、リコリスと別れた」「ファルスのイニシアチブによって自分自身の記憶を失い、さ迷う」LILIUM感謝祭「二輪咲き」のシルベチカだと思っています。
劇中歌【もう泣かないと決めた】で歌われているように、人間の世界で迫害を受け、吸血種が暮らすクランでも虐められていたマリーゴールドにとって、リリーは、たった一人の『大切な友達』でした。
「二輪咲き」のシルベチカは、思春期の友情を象徴する存在です。
その亡霊が、ファルスのイニシアチブによって自分自身に関する記憶を失っていたと仮定すれば、親友のチェリーや友達のリリーではなく、たった一人の大切な友達に執着するマリーゴールドに惹かれ、その胸の中に入り込んできたとしても、不思議な話ではありません。
「ダメよ、ダメよ、絶対ダメよ」
「あの女は、リリーを必ず不幸にするわ」
「あたしが守らなくちゃ」
「あたしは、リリーを幸せにしなくちゃいけないのよ!」
物語が進むにつれて深化していく、マリーゴールドの狂気。
幼なじみの親友チェリーを(リコリスがキャメリアと恋仲になったことで)幸せにできなかった後悔がシルベチカの中にあって、シルベチカとしての記憶を失った後も強迫観念として残っていたとしたら、黒い塊に浸食されたマリーゴールドの、エスカレートする言動にも、説明がつきます。
【Eli Eli Lema Sabachthani?】の間奏(キャスト紹介)で、小田さんと田村さんが対になって歌い、力比べをする場面は、記憶を失ったシルベチカがマリーゴールドに入り込んだ後の、両者の姿ではなかったか?
そう考えると、シルベチカがマリーゴールドと一緒に【葬送組曲 聖痕《スティグマ》】を歌っているのも、違和感なく受け入れられるのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
長文失礼しました。
あたしね、怖いの。
どうしてだか分からないけど、あなたとスノウが話していると、どんどん不安になってくる。
黒い塊が、あたしの胸の中に入りこんできて、私の心をけがしていくのよ。
(LILIUM ―少女純潔歌劇― リリーとマリーゴールドより)
田村芽実さんが演じる、マリーゴールド。
吸血種の父親と人間の母親の間に生まれたダンピールである彼女は人間世界で迫害を受け、いらない子として、クランにやってきました。
竜胆「今日は皆さんに、このクランの新しい仲間を紹介します」
紫蘭「ほら、自己紹介するのだ」
「何を黙っておる。早く自己紹介せんか!」
マリーゴールド「どうして……」
紫蘭「どうしてって、お前は今日からこのクランで一緒に過ごすのだ。
仲間に挨拶ぐらいするのは当たり前だ」
マリーゴールド「どうしてそれが当たり前なの?
一緒に暮らすなら自己紹介しなくちゃいけないなんて誰が決めたの?
それはあなたの当たり前であって私の当たり前じゃない。
私の当たり前は…… みんな大嫌いってこと
紫蘭「なんだと」
竜胆「あ、あの… マリーゴールドさんです。皆さん、仲良くしてあげてくださいね」
LILIUM感謝祭「二輪咲き」のマリーゴールドは、新入りです。
このあと、ファルスに噛まれてイニシアチブを掌握されます。
(マリーゴールドの首根っこをつかんで連れてくる竜胆)(紫蘭も続く)
マリーゴールド「何するのよ! 離してよ!」
(マリーゴールドを床に倒す竜胆)
(ファルスが待っている)
ファルス「怖がることはない」
(頭を下げる竜胆と紫蘭)
(マリーゴールド、じりじりと後ずさる)
ファルス「別に、君をとって食おうというわけじゃない。
ただ、このクランの正式な仲間になるためには、儀式を受けてもらわなくちゃならない」
マリーゴールド「儀式……」
ファルス「そうだ。永遠に覚めることのない、繭期を迎えるための儀式だ」
(マリーゴールドを噛むファルス)(マリーゴールドの絶叫)
竜胆「吸血種が同族に噛まれれば、噛んだ者に対して絶対服従となるイニシアチブが生じる」
ファルス「これでお前も、イニシアチブの虜だ。さあ、立ち上がるんだ」
(立ち上がり、ファルスの元にひざまずくマリーゴールド)
ファルス「安心して、ここにいる限り、君の幸せは僕が叶えてあげる。
我が永遠の友、マリーゴールド。ようこそクランへ」
このシーンでわかることは、ファルスに噛まれるタイミング。
クランにやってきた吸血種の少年少女は、かなり早い時期に「儀式」を受けて、ファルスにイニシアチブを握られてしまいます。
それは、シルベチカ(小田さくらさん)も例外ではありません。
「二輪咲き」で語られた、シルベチカとリコリス、2人で1人の関係性。
「私にとってはチェリー、キャメリアより、あなたのほうが大切だから」
「二輪咲き」のシルベチカは、クランに来る前からの幼なじみ=親友のチェリーがキャメリアを好きなことに気づいていて、応援しています。
「キャメリアは、私のものよ」
逆に、リコリスはキャメリアに対する独占欲が第一で、シルベチカがチェリーと話すのを邪魔していました。
つまり、シルベチカは繭期――思春期における「友情」の象徴であり、リコリスは「恋愛」の象徴。二輪咲きは、同じ花瓶(シルベチカの体)に入った2本の花(シルベチカとリコリス)が、どちらも美しく咲いている(それぞれの思惑で動きつつ、支え合っている)様子を表しています。
(私が予想する)時系列は、以下の通り。
①シルベチカ、幼なじみのチェリーと一緒にクランにやってくる。
②シルベチカ、ファルスに噛まれてイニシアチブを握られる。
③シルベチカとチェリー、クランでキャメリアと出会う。
④シルベチカ、チェリーの《キャメリアに対する》恋心に気づく。
④シルベチカ、《キャメリアのことが》好きになりはじめる。
⑥キャメリアが好きなシルベチカ⇒リコリス誕生!
⑦リコリス、キャメリアと仲良くなる(シルベチカはリリーを応援)
⑧シルベチカ、予知夢を見るようになる。(二輪咲き)
⑧リコリス、クランが箱庭に過ぎないことを知る。(二輪咲き)
⑨シルベチカ(リコリス)、薬を飲むことを拒否し、塔から身を投げる。
⑩リリー、失踪したシルベチカを捜す。(LILIUM)
塔から身を投げた時のシルベチカは、リコリスで間違いないでしょう。
ファルスにイニシアチブを握られたシルベチカでは、塔から身を投げることも、薬を拒否することもできません。
ファルスがシルベチカを噛んだ時に、まだ生まれていなかったリコリス(クランに来たばかりのシルベチカは、キャメリアと出会っていない)は、ファルスのイニシアチブの外にいました。
シルベチカとリコリスは(二輪咲きで見られたような)話し合いを重ね、最終的に、このような決断を下したのではないかと想います。
LILIUMの冒頭で、劇中歌【Forget-me-not~私を忘れないで~】を歌うシルベチカは、塔から身を投げた直後という設定でした。
肉体は滅んでも、魂のようなものは残っているということでしょう。
一つの花瓶に入っていた二輪咲きの花――シルベチカとリコリスは、花瓶が割れたことで、それぞれ別の行動をとるようになった。
そんな仮説を立ててから、久しぶりに「LILIUM」のDVDを見返しました。
まずは、「LILIUMにおけるリコリス」について考えてみましょう。
リコリスはキャメリアの側にいて、見守っていたと考えるのが自然です。
DVDを持っている方は、チャプターリストから【永遠に咲きつづける花】を選んでください。リリーとスノウ、マリーゴールドのシーンが終わった後に、キャメリアとシルベチカ(リコリス)が登場します。
キャメリア「あれ? 僕は、どうしてここにいるんだ?」
チェリー「キャメリア。ちょっとあんた、また女子寮に入ってる」
キャメリア「なあチェリー」
チェリー「何よ」
キャメリア「僕は、どうしてここにいるんだ」
チェリー「まさか、あんたまで繭期をこじらせているんじゃないでしょうね」
キャメリア「うう……」
(うずくまるキャメリア)
チェリー「どうしたのよ! 具合悪いの? クスリのむ?」
(キャメリアを支えるチェリー)
(2人の背後に、シルベチカが現れる)
リコリス「キャメリア。私を忘れないで」
キャメリア「僕は、何か大切なことを忘れているような気がする。
でも、それを思い出そうとすると、苦しくなるんだ」
ここで私は、「二輪咲き」の冒頭のシーンを思い出しました。
チェリー「ああっ! いた!」
シルベチカ「こんにちは」
チェリー「こんにちはじゃないわよ」
リリー「今日、お昼、一緒に食べようって約束したでしょ?」
シルベチカ「ねえ、チェリー、リリー」
チェリー「何よ」
シルベチカ「あたし、どうしてここにいるの?」
チェリー&リリー「はあ?」
シルベチカ「どうして、あたし、こんなところに……」
チェリー「どうしてって言われても」
リリー「はっはーん。さては、また繭期の具合がよろしくないようね」
LILIUMのキャメリアと二輪咲きのシルベチカは同じ体験をしています。
これを「偶然」と言ってしまっては、あまりにも味気ない。
シルベチカの体を失い、二輪咲きから一輪挿しになった――自由を手に入れたリコリス(亡霊?)が、キャメリアを女子寮に導いていた。
そう考えると、LILIUMにおけるキャメリアの物語に、納得がいくのです。
①女子寮に足しげく通うキャメリア。
②キャメリアが「何か大切なことを忘れていること」に気づく。
③キャメリアがシルベチカを思い出す。
④キャメリアとシルベチカによる劇中歌【あなたを愛した記憶】
⑤キャメリア、ファルスのイニシアチブで全てを忘れる。
⑥キャメリア、リリーに(ファルスと同化したイニシアチブで)殺される。
ファルスにイニシアチブを握られたキャメリアが、【あなたを愛した記憶】を取り戻すには、イニシアチブの外にいるリコリスの助けが必要です。
また、二輪咲きでキャメリアに「もし2人が一緒にいられないようなことがあっても、1つだけ約束してほしいことがあるの」「私を忘れないで」と言っていたリコリスにとって、キャメリアがシルベチカを思い出すことは悲願であり、【あなたを愛した記憶】は、約束が果たされた瞬間でした。
TRUMPの精神世界がどうなっているのかは存じ上げませんが、望みを果たした亡霊は、成仏するのが一般的です。
シルベチカ(リコリス)と【あなたを愛した記憶】を歌った後、キャメリアは再びファルスのイニシアチブに管理され、悲劇的な最期を遂げます。
リコリスがいなくなった証拠と言えるでしょう。
続いては、「LILIUM」におけるシルベチカについて考えます。
繭期――思春期における「友情」の象徴だったシルベチカは、予知夢が現実のものとなり、リコリスと別の道を歩きはじめました。
リコリスの心残りが「恋人」のキャメリアならば、シルベチカにとっての心残りは「幼なじみ」で「親友」のチェリーか、劇中歌【或る庭師の物語】の相手、リリーということになります。リコリスがキャメリアに寄り添ったように、シルベチカは、チェリーかリリーに近づくのが自然……でした。
しかし、リコリスとシルベチカには、決定的な違いがあります。
それは、ファルスのイニシアチブの内と外、どちらにいたかということ。
シルベチカの「中の人」だったリコリスが、ファルスのイニシアチブの外にいたということは、イニシアチブは、シルベチカの体ではなく、魂を対象にしていることになります。
つまり、シルベチカは、塔から身を投げて(体を失って)も、ファルスの呪縛からは永遠に逃れられない。
シルベチカが、死んだ後もファルスのイニシアチブの内にいた場合、シルベチカ自身が、シルベチカの存在――過去を忘れてしまっている可能性があるのです。
自分自身が何者で、何をしてきて、何をしようとしていたのか。
全てを忘れてしまった「LILIUM」のシルベチカ(亡霊?)に残ったのは、「二輪咲き」で見ていた夢に代表される『予知能力』と、『友達を大切にしたい』という強い思いだけだったというのが、私の見解です。
(シルベチカだったことを忘れているので、友達=〇〇ではありません)
DVDを持っている方は、チャプターリストから【リリーとマリーゴールド】を選んでください。シルベチカを捜しているリリーが(シルベチカのことを覚えている)スノウと話した後、マリーゴールドがある忠告をします。
マリーゴールド「あの子に近寄っちゃダメよ」
リリー「マリーゴールド」
マリーゴールド「だってあの子、きっとあなたを不幸にするわ」
リリー「大丈夫なの?」
マリーゴールド「大丈夫って、何が?」
リリー「だって、最近、繭期の状態が良くないって」
(中略)
リリー「もう少し休んだほうがいいよ」
マリーゴールド「ねえ、リリー」
リリー「何?」
マリーゴールド「どうしてあたしのこと心配してくれるの?」
リリー「どうしてって…… 友達だもの、心配くらいするよ」
マリーゴールド「そんなことを言ってくれるのはあなただけよ」
リリー「マリーゴールド……」
マリーゴールド「あたし、あなたにお願いがあるの」
リリー「お願い?」
マリーゴールド「あの子としゃべらないで」
リリー「えっ?」
(中略)
マリーゴールド「とにかく、スノウとは話さないほうがいいと思うの」
リリー「でも」
マリーゴールド「お願いよリリー! もう、あの子としゃべらないで。じゃないと、あたし……」
リリー「やっぱり、顔色が良くないわ。
私、監督生のところに行って薬もらって――」
(リリーの腕をつかむマリーゴールド)
リリー「マリーゴールド?」
マリーゴールド「あたしね、怖いの。どうしてだか分からないけど、
あなたとスノウが話していると、どんどん不安になってくる。
黒い塊が、あたしの胸の中に入りこんできて、あたしの心をけがしていくのよ」
リリー「ねえ、やっぱり繭期の具合が良くないのよ。部屋に戻って休んだほうが」
マリーゴールド「スノウに近づいたら、あなたが不幸になる」
(リリーを抱きしめるマリーゴールド)
マリーゴールド「あたしは、あなたに幸せになってほしいの」
(リリーを噛もうとするマリーゴールド)
(リリー、マリーゴールドを突き飛ばす)
リリー「ごめんなさい。あれ? 私、どうしちゃったんだろ。体が、勝手に……」
マリーゴールド「リリー、私は!」
ファルス「あぁ~ 貧血が!」
(二人に割って入るファルス)
「二輪咲き」のマリーゴールドにはなくて、「LILIUM」のマリーゴールドにあるものが、2つありました。
1つは髪の毛の長さ。
もう1つが、『予知能力』です。
マリーゴールドの胸の中に入り込んで、その心を穢していく黒い塊。
私は、この黒い塊こそが「塔から身を投げた後、リコリスと別れた」「ファルスのイニシアチブによって自分自身の記憶を失い、さ迷う」LILIUM感謝祭「二輪咲き」のシルベチカだと思っています。
劇中歌【もう泣かないと決めた】で歌われているように、人間の世界で迫害を受け、吸血種が暮らすクランでも虐められていたマリーゴールドにとって、リリーは、たった一人の『大切な友達』でした。
「二輪咲き」のシルベチカは、思春期の友情を象徴する存在です。
その亡霊が、ファルスのイニシアチブによって自分自身に関する記憶を失っていたと仮定すれば、親友のチェリーや友達のリリーではなく、たった一人の大切な友達に執着するマリーゴールドに惹かれ、その胸の中に入り込んできたとしても、不思議な話ではありません。
「ダメよ、ダメよ、絶対ダメよ」
「あの女は、リリーを必ず不幸にするわ」
「あたしが守らなくちゃ」
「あたしは、リリーを幸せにしなくちゃいけないのよ!」
物語が進むにつれて深化していく、マリーゴールドの狂気。
幼なじみの親友チェリーを(リコリスがキャメリアと恋仲になったことで)幸せにできなかった後悔がシルベチカの中にあって、シルベチカとしての記憶を失った後も強迫観念として残っていたとしたら、黒い塊に浸食されたマリーゴールドの、エスカレートする言動にも、説明がつきます。
【Eli Eli Lema Sabachthani?】の間奏(キャスト紹介)で、小田さんと田村さんが対になって歌い、力比べをする場面は、記憶を失ったシルベチカがマリーゴールドに入り込んだ後の、両者の姿ではなかったか?
そう考えると、シルベチカがマリーゴールドと一緒に【葬送組曲 聖痕《スティグマ》】を歌っているのも、違和感なく受け入れられるのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
長文失礼しました。