9時過ぎに倉敷貨物ターミナルを出庫して午前2往復、午後1往復の運転が
予定されているキハ205、まず、最初の1往復を撮るべく向かったのは
倉敷市と水島の中間付近にある浦田駅前後の地平区間だった。
…… ……
「1日フリーきっぷ」を購入、くじ引きなどを楽しんでいると、まもなく
8:20発の三菱自工前ゆきの改札が始まった。
水島臨海鉄道水島本線・倉敷市駅
「ヒマワリ」塗装のMRT300形単行である。平日の朝晩ラッシュ時の
列車はキハもMRTも2両編成となり“運転士”の名札のまま、車掌さんが
乗務、黒い革製の車掌カバンから乗車券の束を取り出して、車内精算...
何だか懐かしいシーンが展開されるのだが、土休日ダイヤでは沿線の
イベントがない限りはMRTの単行、ワンマン運転となる。とはいえ、
倉敷市駅発着時点では立ち客が入る程度の乗車率なのは毎度のこと。
ほどなく路線のほぼ中間地点、浦田駅に到着である。ただ、
「浦田駅周辺で撮りたい」ではない。
むしろ、「浦田くらいしか撮れるところがない」というのがホンネである。
12 kmあまりの水島本線、球場前-福井、浦田駅を出て弥生駅との中間地点から
水島駅を経て三菱自工前駅の少し手前まで、大半の区間は高架上を走る。
地平を走る区間、つまり撮影チャンスのある区間自体が3箇所しかないのである。
水島臨海鉄道水島本線・浦田-福井
だから、浦田駅周辺もこれほど頻繁にキハを撮りに通っていれば、
すでにネタ切れ状態。これまでに撮ったことない構図というのも残り
少なくなってきた。しかも、午前中には2往復、合計4回の撮影機会が
あるはずだが、全線でも30分ほど、路線中間付近にある浦田駅なら
ほぼ30分間隔でキハがやって来てしまう。
<徒歩鉄>としては、その間に次の撮影地に移らなくてはならず...
ということで“消去法”的な発想で選択したのは浦田駅すぐ北側の江永歩道橋。
階段の途中から撮るのが一般的だが、あえて歩道に下りて。
水島臨海鉄道水島本線・浦田-福井
午前中は、天気予報に反して青空がひろがったのだった。住宅街の
真ん中だけに背後の電柱・電線がキハと交錯して、ちょっと鬱陶しいが、
夏らしい青空と白い雲。その下をゆく国鉄一般型気動車色のキハ20形。
自分としては気に入っている1枚である。MRTよりもちょっとだけ車長が
短いキハ、1枚上の写真、MRTで試し撮りするとき、カツカツになるように
したのが、キハでは、ほど良い画角になって...。
水島臨海鉄道水島本線・浦田-福井(後追い)
そして、定番のこの構図も、この日は歩道橋の下から。
目の高さが違うだけだが、それでも普段とは違った撮り方と言うことで。
でも、ちょっとこの構図...
MRTでの試し撮りで気になったのは、キハの顔の部分である。
ディーゼル動車は国鉄時代から、運用途中での分割併合がその大きな特徴だった。
そのため、片方に幌、反対側を幌枠だけにすることになっている。
尤も、臨鉄は運用途上での分割併合はないのだが、それでも下り方に幌が
付いている。そう、サイドがちに陽が当たると貫通扉部分に幌の影が
目立ってしまうのだ。
う~ん、どうしよーー?!
水島臨海鉄道水島本線・福井-浦田
半ば、諦め半分で撮ったのがこの1枚だった。
こう見ると、確かに幌の影は出てしまったが、それほど気になる
レベルではないか...
<速報版>でトップ写真に使ったように、この1枚、自分としては
撮ってから見直してみて、十分に納得できる1枚となったのである。
と、1枚目のキハを撮り終えて、大急ぎで浦田駅に戻った...
といっても徒歩1分。キハが水島で折り返して来る前に、倉敷市ゆきのMRT。
…… ……
やって来たのは終点1つ手前の球場前駅である。
いまでは四十瀬の運動公園の東端にある地上駅の球場前駅だが、
昔は現在の西富井駅との中間付近、築堤に上がり切った位置、運動公園西端の
国道429号との立体交差の付近に駅があったと言われている。
(1982年に現在地移転)
ちょうどその付近、車窓を見ていても、線路脇に不自然に広い空間がある。
いまでは雑草に覆われた築堤だが、獣道のようにその広い場所に上れるように
なっていて、定番の撮影スポットとなっている。
水島臨海鉄道水島本線・球場前-西富井
まずは、自分が球場前まで乗ってきたMRTが倉敷市駅で折り返して
水島ゆきとして通過。このポイントでの撮影は、背後のマンションを
どうかわすかがポイントになるのだが...
さて、MRTは築堤から続く長い高架をゆっくりと進んで、左にカーブ、
西富井駅に到着する。西富井駅は上下列車の行き違いができる。
このMRTの到着を待っていよいよキハがこちらに向かってくるのである。
水島臨海鉄道水島本線・西富井-球場前
その西富井駅はこの写真で左側に隠れている。キハの隣に西富井駅の
場内信号機が確認できる。ちなみに、付近にはJT(日本たばこ産業)の
引き込み線跡がいまも確認できる。こう見てみると、なかなかの勾配である。
水島臨海鉄道水島本線・西富井-球場前
そして、国道429号線をオーバークロスするキハ。
前面カブリツキまでボックスシートが並んでいるのがキハ20形の特徴でもある。
貫通扉部分で立って前方を見ているのは車掌さん。球場前駅は出入り口が
列車の前方、倉敷市寄りに位置している。ホームに下りての集札業務のため。
それにしても、青空の色も飛ばず、キハの側面にもしっかり光が回って。
こちらも、自分のレベルでは十分納得の1枚だった。
いよいよ。このキハが10分少々で折り返してくる。球場前駅からのカーブと急勾配を
上ってやって来る姿を撮りたいのである。“回れ右!!”してカメラを構えた。
水島臨海鉄道水島本線・球場前-西富井
この地点、どう撮っても背後は倉敷市中心部に近い住宅街。
背後のマンションのかわし方も含めて、撮ってみると撮ってみたでなかなか...
う~ん、こちらはちょっと改善の余地ありか!?
ただ、撃沈とは言わせない。徐々に雲が増え始めた空だが、
でも、残り僅かな運転となったキハの姿をしっかりと収めることができた。
このキハが西富井駅で交換するMRTの倉敷市ゆきに乗るのは時間的に無理。
少年野球の試合が白熱している球場の様子を見ながら、ホーム端のベンチで
缶ジュースを飲み干しつつ、20分後の後続列車を待ったのだった。