「冷た!!」僕が人と接触したら必ず言われる言葉だ、それくらい僕の末端冷え性は重症だ、物心がついた時からこうだったのでこれが普通だと思っていたが学校という社会に出て自分が異常だと認識した、「骨付き冷凍肉」これが僕のあだ名だった、改善する為に色々試した、温熱マットで温めてみたり、養命酒を飲んでみたり、漢方を飲んでみたり…、どれもこれも全く効果が無かった、死体のように冷たい僕の手足が温もる事はなかった、あと二日で五月である、春の陽気に包まれても僕の手足は氷のように冷たい、同情した嫁が僕にホッカイロをプレゼントしてくれた、僕にとっては贅沢品である、知ってはいたが使ったことが無い、中の鉄粉を空気と混ぜて化学反応を起こさせないといけないらしい、僕は薄暗い部屋の中でホッカイロを一所懸命シコシコと振った、その後ろ姿を見た嫁が何かと勘違いして、何も言わずそっと扉を閉めた。