消しゴムは僕にとってトラウマの象徴である、中学2年生まで僕は明朗闊達なクラスの人気者だった、心の闇など一切持たない元気で明るいアッパー少年だったのだが…、英語の授業に付いて行けなかった僕は筆箱から消しゴムを取り出し四つ角にシャーペンの芯を刺してフラフラと危うい不安定な四つ足フィギアを作って、前の席に座っていた藤本さんにそれを見て貰った、藤本さんは侮蔑と軽蔑の眼差しで僕に一言「きしょ」と言い放って授業に戻った、今まで感じた事のない不安、怒り、孤独、悲しみ、絶望感、形容しがたい闇の感情に飲み込まれて、僕は壊れた、たった一言「きしょ」と言う言葉が僕の人生を180度変えたのだ、その日から対人恐怖症、女性恐怖症、不安神経症…、とにかくメンタルが病んでしまって闇の住人になってしまった、「言葉の暴力」とは言ったもので、人間たった一言で人生が裏返ってしまうものなのだ。