シリーズいい話から~

沖縄のホテルロビーで、何気なく開いた新聞の記事の見出しに目が留まりました。

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「運玉義留」
本100冊贈る
那覇市の中央児相
(平成23年1月15日付け琉球新報)
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それは、こんな話です。

1月14日午前6時頃、那覇市首里石嶺町の中央児童相談所の玄関前に、段ボール5箱に詰め込まれた絵本等の児童書100冊余りを警備員が見付けたというのです。

箱のそばには、手紙が置かれていました。

その差出人の名前が、「運玉義留」。

え!?…「運玉義留」って何者?

直ぐそばのフロントの女性に尋ねました。

『この記事にある運玉義留って何ですか?』

「ああ、《ウンタマギル》ですね。沖縄で有名な義賊の事ですよ。」と言い、説明してくれました。

運玉義留は、一言で言えば沖縄版の「ねずみ小僧」の事だそうです。

沖縄の民話に出て来る主人公で、芝居にもなっているとの事…。

農民だった「義留(ギル)」は、あるお屋敷に奉公していました。

ある日、その家の主人から、「百姓は、一生懸命に働いても、せいぜい地頭代(村の頭役)までにしかなれない。」と言われ、『それなら大泥棒になって名を残してやろう。』と、主家を飛び出します。

油喰坊主(アンダクウェボージャー)とコンビを組んで、大名やお金持ちを狙って盗みを働き、金品を貧しい人達に分け与えました。

水の中に潜って、木の管で息をするなど、まるで忍者のような活躍だったそうです。

ところが、大王の寝所に忍び込んだ時、王に気付かれて槍で足を刺されてしまいました。

本拠地の森に逃げ帰ると、村人達が追手からかくまってくれました。

しかし、怪我が重く、死んでしまいます。

それでも村人達は、義賊の運玉義留の亡骸を官憲に引き渡す事なく、自分達で手厚く葬りました。

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ちょっと悲しい物語ですね。

さて、今回の本の贈り物の手紙には、こんな事が書かれていたそうです。

「失業中の身ゆえ、新品を購入し、差し上げる事は叶いませんが、児童書にて子供達の瞳を輝かせて頂ければ幸いです。」

それは今、日本中に次々に現れているタイガーマスクの沖縄版でした。

それを沖縄では誰もが知る義賊に置き換えて寄付をされたのです。

この運玉義留は、何と失業中だと言います。

それにも関わらず、「自分も何かの役に立ちたい。」と思った。

なかなか出来る事ではありません。

素敵な話です!



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