・良い人だし、気を使ってくれるんだけど、一緒にいると疲れる。

 

・一緒にいると自分や周りが信じられなくなる。

 

・自分が孤立しているように感じる。

 

周りにそのような人はいないでしょうか。

 

もしいる場合は、その人は「マニピュレーター」と呼ばれる人格を持った人かもしれません。

 

社会人になると色々な人に出会いますが、一番出会ってはいけないタイプが「マニピュレーター」と呼ばれる人たちです。

 

 

 

マニピュレータ― = 操作する人

 

特徴は、アメリカの心理学者ジョージ・サイモン著『他人を支配したがる人たち:身近にいる「マニピュレーター」の脅威』に詳しく書かれています。

 

『人を追い詰め、その心を操り支配しようとするもの ー 「マニピュレーター」は、聖書に書かれた「羊の皮をまとうオオカミ」にじつによく似ている。人当たりも良く、うわべはとても穏やかなのだが、その素顔は悪知恵にあふれ、相手に対して容赦がない。ずる賢いうえに手口は巧妙、人の弱点に付け込んでは抜け目なくたちまわり、支配的な立場をわがものにしている』

※「他人を支配したがる人たち 」P7より抜粋

 

 

 

僕がこの本を読んだきっかけは、職場でなぜか孤立しているような感覚がして、ある人と接しているときにその感覚が強くなるからでした。

 

次第に社内の立場が悪化し、精神的に追い詰められ、ミスが増えていきました。

 

僕の場合は克服できましたが、人によってはうつになったり、転職を余儀なくされたりすることもあります。

 

そのくらい危険な存在ですが、マニピュレーターは周囲に溶け込むのが非常にうまく、むしろ好印象を持たれていることもあります。

 

そのため、どのような人がマニピュレーターとして気を付けるべきなのか、その見極めがきわめて大事になります。

 

 

 

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目次

 

Ⅰ 僕はこうして操られました

 

Ⅱ マニピュレータ―の見極め方

 

Ⅲ マニピュレーターの攻撃の特徴

 

Ⅳ 対処方法はあるのか

 

V マニピュレーターに対してやってはいけないこと

 

Ⅵ まとめ:悔しさや怒りをバネにして這い上がろう

 

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僕はこうして操られました

 

ここからは実体験をもとに記載していきます。

 

 

①マニピュレーターとの出会い:よき理解者の時期

 

ぼくがそのマニピュレーターさんと会ったのは、5年前に今の職場に転職したときでした。

 

その人は3つくらい年上の先輩でした。

 

上司や同僚からの評価は、優しくて仕事のできる人。

 

見た目も、ややぽっちゃりしおり、表情も柔らかく、いかにも良い人な雰囲気でした。

 

最初は、転職したての僕にとても親切にしてくれました。

 

わからないことや不安なことは何でもその先輩に聞いていました。

 

次第に、プライベートな悩みや相談もするようになりました。

 

 

②仲良くなった後:プチマウントの時期

 

僕はその先輩にかなり依存していました。

 

そのため、先輩がちょっとしたことで不機嫌になると、とても気になってしまうようになりました。

 

しだいに、わからないことを聞くと、今までの優しい口調とは違って

 

「バカですね」

 

「営業センスないですね」

 

みたいな厳しいことをちょいちょい言われるようになりました。

 

それを聞いた僕は

 

「先輩が言っているのだから自分はバカなんだろう」

 

「営業センスないんだろう」

 

と落ち込み、また先輩に頼るのでした。

 

 

③周りの人間に疑いを持たせる:孤立させる時期

 

先輩からは、

 

「あの人は実は昔パワハラしていて」

 

「あの人にはこんなバカな失敗がある」

 

「あの人が君のこと悪く言っていた」

 

という話をちょいちょい聞かされていました。

 

それを聞いた僕は、

 

「この会社の人はあまり信用できない」

 

と思うようになり、先輩以外の人に相談をすることが少なくなりました。

 

 

④攻撃開始:罪悪感をいだかせる時期

 

しだいに、僕に対する先輩に口調があからさまにきつくなりました。

 

「君のせいで仕事が増えた」

 

「迷惑している」

 

一番こたえたのは、その先輩の親が病気をしたときに

 

「君の仕事が遅いせいで残業になって、親のお見舞いにいけなかった」

 

と言われたことです。

 

今でも思い出すと嫌な気持ちになります。

 

このように、反論しようのないプライベートな問題を出されることも増えました。

 

僕のいたらなさで迷惑している、というスタンスなので、僕はどんどん罪悪感を募らせていき、なんとか先輩の役に立って挽回したい、と考えるようになりました。

 

 

⑤マニピュレーターなしでは仕事ができない:服従の完成

 

④のような心理状態をたどり、先輩の口調が厳しくなればなるほど、僕は「もっと先輩のために頑張らなくちゃ」と思うようになりました。

 

しかし、いくら頑張って先輩の仕事を肩代わりしても、

 

「ここがダメ。何回言ったらわかるの?」

 

「君のミスのせいで取引先が怒ってるよ」

 

と、頑張れば頑張るほど叱責されダメ出しされます。

 

しかも、上司がいる前では優しくなり、他の同僚にも優しく接しているので、周囲はその人のことを「新人に優しく指導している」と思っていたことでしょう。

 

僕は徐々にミスが増え、周りからの評価は落ち、自分も周囲を信じられなくなる、という絶望的な状況に追い込まれました。

 

 

 

 

「ただの被害妄想」ではない

 

ここまで読んで

 

「そんなのただの被害妄想」

 

「メンタルが弱いだけ」

 

「努力が足りない」

 

と思う人もいるかもしれません。

 

実際、転職したての僕はミスも多く、実績も上げられず、迷惑をかけていたことは事実だと思います。

 

しかし、ミスを指摘し改善させるなら、チームから孤立させたり、過度に罪悪感を抱かせる必要はありません。

 

過度に罪悪感を抱かせ、萎縮させたらチーム全体のパフォーマンスは下がります。

 

しかしマニピュレーターは、自分ひとりが得をする状況をつくりあげることが目的なので、会社やチームのパフォーマンスなど問題にしていないのです。

 

 

 

マニピュレータ―の見極め方

 

最初に会った時から、なんとなくマウントされているような感じがしていたので、違和感はありました。

 

僕が感じた違和感は次の通りです。

 

 

①ターゲット(僕)以外の人には非常に丁寧に接する。

 

特に、自分より地位の高い人にはきわめて従順な態度をとる。

 

そのため、上からの評価は高い場合がある。

 

 

②自分を上げて相手を下げる会話がほとんど。

 

しかし、注意しないと自分が下げられていることが分かりにくい。

 

相手を下げる会話は、冗談めいた会話中にちりばめられる。

 

 

 

③自分が言ったことと行動に一貫性がない。

 

「ここをこうしなきゃダメだろ」と人には言うが、自分はやらない。

 

そこを指摘すると、たくみに話題を変える、もしくは自己正当化を図る。

 

 

 

④ターゲット(僕)に、周りの人へ疑いを持たせるような話をしてくる。

 

例:「〇〇さんが、君のここがダメたところだ、と言っていたよ」

 

こうすることで、ターゲットが周囲と人間関係を構築することを防ぎ、孤立させる。

 

 

 

⑤権威のある人と近い関係にある、ということを常にアピール。

 

自分に歯向かうと痛い目にあうぞ、という暗黙の意思表示。

 

 

 

⑥小さな嘘を、本当の話に交えながら話してくる。

 

 

 

 

⑦良識のある人なら絶対に言わないような大胆な嘘を平気でつく

 

そのため、大半の良識のある人は、それが嘘であることに気づかない。

 

というか、そんな嘘をつく人間が世の中にいるという概念がない。

 

 

 

⑥と⑦に関しては、「なにかおかしいぞ」と感づいてからでないと見極めは難しいです。

 

 

 

 

マニピュレーターの攻撃の特徴

 

 

①自分は被害者・迷惑をこうむっている、という一貫した姿勢。

 

僕は「罪悪感マネジメント」と名付けています。

 

「君のせいでチームが迷惑している」

 

「あなたのミスのせいで時間が奪われる」

 

など。

 

この攻撃は、周囲の目を気にする傾向のある人には多大な効果を発揮します。

 

 

 

②ターゲットの孤立化を図る

 

マニピュレータ―は、

 

ターゲット vs  マニピュレーターと周囲の人間

 

という「1対多」の状況をつくり出し、ターゲットを追い詰めます。

 

詳しく手法を述べます。

 

 

 

・第3者に代理攻撃させる

 

マニピュレーターは、直接的な攻撃をするより、「信者」みたいな第3者を使って攻撃をさせることが多いです。

 

僕の女性の同僚が「信者」ポジションで、彼女はマニピュレーターを信用しきっていたので、マニピュレーター本人を代弁するかのように僕にあれこれ言ってきました。

 

 

・第3者の意見として攻撃する

 

「〇〇さんが君のしたことで怒ってるよ」

 

みたいな感じで、第3者をひきあいに出してあれこれ言ってきます。

 

こう言われると、言われたほうは○○さんのほうに不快な感情を抱くようになります。

 

結果として、マニピュレーターは安全な立場をとり続けることになります。

 

 

 

 

③優しい時と、激しく怒るときをたくみに使い分ける。

 

女性を依存させるDV男の論理です。

 

暴力的に接した後はコロッと態度を変えて優しくする、本当に悪かったと謝る。

 

相手は「私が悪かったんだ」とマニピュレーターの攻撃を受け入れてしまいます。

 

 

 

マニピュレータ―の目的はなに?

 

マニピュレータ―は、集団の中で努力せずに権威性を得られる方法を常に探しています。

 

また、ターゲットとの関係性において「常に自分が上」であることを最大の目的にしています。

 

とにかく権威欲が強い。

 

自分が努力して実力を高め、チームの中で上位の立場に立つ、という思考はありません。

 

ひたすらに相手を下げて、相対的に「自分が上」ならそれで良い。

 

そのほうが自分が楽だからです。

 

攻撃を正当化して、「あなたのためを思ってやっている」みたいな態度をとりますが、それは嘘です。

 

彼らに良心はありません。

 

 

 

 

 

対処方法はあるのか

 

①まず正体を見破ること

 

正体を見破らないと、「この人は僕のためにこんなきついことを言ってくれているんだ」と一生思わされて、人生を狂わされるハメになります。

 

自分の中の違和感を素直に見つめて、

 

「この人は実は自分の得しか考えていないんじゃないか」

 

「自分はそこまで悪くないのではないか」

 

と、まずは自分を信じることが第一歩です。

 

 

②依存を断ち切る

 

マニピュレーターにターゲットにされると、マニピュレーターに依存しなければ生きていけないようなマインドが知らないうちに形成されます。

 

正体に気づいたなら、

 

「この人の言っていることは間違っている」

 

「僕の考えが正しい」と、勇気をもって精神的に距離をとることが大事です。

 

物理的な距離をとることが難しくても、精神的な距離をとるだけでだいぶ状況は改善されます。

 

 

③攻撃に反応しない

 

孤立化、第3者の使用、プチマウンティングなどの攻撃をされても、それに反応しないようにします。

 

攻撃に対して、保身に走ったり、反論したりすると、マニピュレーターの思うつぼです。

 

それをネタにさらに窮地に追いやられます。

 

無視しろということではなく、受け流すということです。

 

それには、感情的にならないように普段の生活習慣を改め、自己規律を持つことが何より大事です。

 

また、明確な目標をたて、それに集中することで、攻撃が気にならなくなってきます。

 

僕は正体を見破ってからは、なるべくマニピュレーターの行動や言葉に反応しないようにしました。

 

しだいに、「こいつには利用価値がない」と思ったのか、攻撃は徐々に弱まりました。

 

しかし、そこに至る過程で本当につらい思いをしました。

 

自己啓発に出会わず、良い習慣を取り入れていかなかったら、耐えられなかったと思います。

 

 

 

④良心がない人間が存在することを認める

 

ターゲットにされやすい人は、マニピュレーターの攻撃に対して何か意味を見出そうとする傾向があります。

 

良心を持った大人であればこんなことをするはずがない、きっと何か自分側にも原因があるんだ、と。

 

しかし、その思考は間違いです。

 

マニピュレーターは、攻撃したいから攻撃しているのです。

 

『攻撃行動を示すのは、当人もまたなんらかの被害者だからだと教えられた。だから、直観では攻撃の事実を認めながらも、なぜ攻撃されるのかその理由が思い浮かばず、たんに人を圧倒したい、支配したいというぐらいの理由で、自分が標的にされるという考えを簡単に受け入れることはできなくなっている』

※「他人を支配したがる人たち」P31より抜粋

 

 

 

マニピュレーターに対してやってはいけないこと

 

マニピュレーターに対して、対抗しようとすることは悪手です。

 

・攻撃に対する反論

 

・孤立化から逃れようと自分の味方づくりに躍起になる

 

・自分のほうが権威のある人と近いというアピール

 

 

これらは全て無駄なのでやめましょう。

 

反論しても、マニピュレーターの話術のほうが数段上なのでかないません。

 

味方づくりも、マニピュレーターのほうが巧妙なので、逆手にとってさらに孤立させられます。

 

対抗しようとすると、無駄なエネルギーや時間を割いてしまうので何一つ良いことがありません。

 

同僚や上司からの評価も下がります。

 

そんなことをするエネルギーや時間があったら、自分の目標に向かって努力を積み重ねたほうが良いです。

 

「結果で黙らせる」このメンタリティです。

 

 

 

扇動される第三者もおそろしい

 

僕は攻撃に耐え、反応せず、自分のやるべきことにフォーカスしたおかげで、ターゲットから外れることができました。

 

その過程で気づいたことがあります。

 

それは、マニピュレーター自体も悪いですが、一緒になって攻撃してきた第三者も同じくらい悪いのではないか、ということです。

 

「信者」みたいな女性の同僚のことを書きましたが、彼女もなんとなく「この人は変だ」と思っていたと思います。

 

しかし、自分がターゲットにされたくないから、矛先をそらすために僕を攻撃していたふしがあります。

 

周囲の人間も、見て見ないふりをしていました。

 

僕はそれが許せないというか、恐ろしいです。

 

結局誰も助けてはくれないし、自分を守れるのは自分しかいない。

 

 

 

まとめ:悔しさや怒りをバネにして這い上がろう

 

ここまでネガティブなことを書いてきましたが、良かったこともあります。

 

もともと僕は自信がなく、他責で、依存心が強い人間でした。

 

しかし、それこそがマニピュレーターにターゲットにされた理由で、僕が悪かったということもできます。

 

ターゲットにされたことで、抵抗してみたり、色々意味のない無駄なあがきをしてみたりしましたが、最終的には「自分を高める」「成果を出す」という目標にフォーカスすることができました。

 

おかげで、日々の良い習慣、食事や睡眠の大切さ、普段のふるまいの大切さ、自責思考の大切さを知ることができました。

 

マニピュレーターにターゲットにされていなければ、僕はずっと他責で怠惰な人間だったと思います。

 

その意味では感謝しています。

 

 

今、僕と同じように苦しんでいる人も沢山いるのではないかと思います。

 

その人たちに言いたいのは、マニピュレーター達の行為は、いつか白日の下にさらされる、ということです。

 

ゆがんだ攻撃性や陰湿な嫌がらせは、徐々に周囲に認知されていきます。

 

そしてどこかのタイミングで自滅する。

 

それがいつになるかはわかりませんが、そこまで耐えられたならば、きっと以前の自分とは違う強い人間になっているはずです。

 

マニピュレーターと同じ土俵で闘ってはいけません。

 

自分の人生に集中しましょう。

 

それが彼らに対抗する最良の手段だと思います。

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

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紹介した書籍