さて、年に1度のブログ投稿日がやってまいりました。

こんな無名の底辺カスにもお声がけくださるドクガク先生のやさしさに感謝しきりでございます。

 

さて、今年のテーマは「知財業界での教育」とのことですので、自分のキャリア含めてお話できればと思います。

 

<事務所勤務期>

自分は、弁理士試験合格後、第二新卒で特許事務所に就職しました。

商標only(外内・内外中心)の事務所で、最初はひたすらコレポンレターの作成(和訳・英訳含む)をやりました。基礎的な指導も研修も特になく、書く→赤ペン→直す→赤ペンの繰り返しではあったものの、コレポンレターの基本は身についたのではないかと思います。

 

本格的な実務に入る前に、諸事情によりその事務所を退職しましたが、いろいろな意味で(まあ察してください)、勉強になったと思っています。

 

 

<企業勤務期>

上記事務所退職当時は「もう事務所無理怖い無理」状態だったこともあり、企業(メーカー)の知財・法務部門に転職しました。

自分にほぼ社会人経験がないことを察した上司の計らいで、外部の新入社員研修にも参加させてもらえました。ここでやっと「社会人としての最低限の常識」を身につけることができたのではないかと思います。これ以外にも、知財協の研修や他の外部研修にも積極的に参加させてもらえました。「若手を育てよう」とする風土が(当時は)あったのだと思います。

 

自分、ドがつく文系なのですが、「文理関係なく、興味があるなら特許もやってみろ」という上司の方針の下、技術者の方に技術教育を受けながら、ちょいちょい特許実務もやらせてもらえました。つっても一から明細書を作るのではなく、事務所の弁理士先生との打ち合わせの同席、明細書チェック、審査官面談への同行、外国出願担当等でしたが、これのおかげで「特許(技術)アレルギー」を発症することなく今に至っているのではないかと思います。

 

知財実務以外にも、契約やら訴訟対応やらなんやら幅広い業務に携わらせてもらえました。20半ばの小娘によくもまあ、あれだけの経験を積ませてくれたなあ、と。当時の上司には感謝しかありません。

 

<独立期>

その後、いろいろあって(ここでは書けない)、独立。

ぶっちゃけ明細書まともに1件も書いたことない状態での独立でした。わはー、怖いですね、恐ろしいですね。しかも、いままでやったことのないジャンルの依頼ばかりで何が何だか。とにかく関連すると思われる書籍や公報を読み込み、分からないところは素直に依頼者に聞き、考え、悩み、調べ、聞くの繰り返し。とにかく毎日ががむしゃらでした。

 

ただ、上述したように、企業時代に「特許(技術)アレルギー」を発症しなかったおかげか、「新しいことを知る」ことがとにかく楽しかったことを覚えています。理解できると面白い、面白いから更に知ろうとする、いい循環ができていたのではないかと思います。

そんなわけで、独立後はほぼ独学で(+弁理士会の研修等)、今に至るという感じです。

 

こう来し方を見てみると、割とぐちゃッとしたいい加減な人生だなあという感想しかないですが、企業知財部時代に教育にお金と時間をかけてもらえたことと、特許だろうと契約だろうとなんでもやってみろやの経験を積ませてもらえたことが、今の自分を形成しているのではないかと思います。ぶっちゃけ当時は結構きつかったですが、無茶は若いうちしかできませんからね。

 

さて、今は教育系の動画を提供して下さる先生方が増えており、自分が新人だったころ20年近く前!)と比較して、個人での学習機会は格段に増えたと思います。

ただ、やはり個人での学習って限界があって(誤解なきように、個人学習を否定しているわけではなく、むしろ積極的に活用すべきというスタンスです)、改めて自分のキャリアを振り返ると、企業や事務所の人材教育って、やっぱり重要なんだよなあ~と思っています。

うちは人を雇わないスタンスなので、教育に時間と金と労力をかけている企業や事務所には尊敬の念しかありません。

 

さ、長々と書いても仕方ないので、下らぬ話はこの辺で。来年もよろしくお願いします。