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Secret Meeting for Secretaries

大学秘書として働く女性限定のコミュニティー

休日のショッピングセンターは
多くの家族連れで賑わっていて、


私の数メートル先でも、
お父さんお母さん
3歳ぐらいの女の子と、
ベビーカーに乗った赤ちゃんが、
4人仲良くお買い物の真っ最中でした。


お父さんとお母さんが商品棚に向かって
「これにしようか」「あ、こっちのほうが安い」
と品物を選んでいるあいだ、


後ろで女の子は“お姉さん”らしく、
ベビーカーを前後に動かしていました。


小さな女の子が、いっしょうけんめいに
赤ちゃんをあやす様子は微笑ましく、
いいお姉ちゃんだなあ…


と思ったその時、



勢い余ったベビーカーの前輪が浮いて
そのまま背もたれから倒れてしまいました。


赤ちゃんは火の付いたように泣き出し、
驚いてお父さんとお母さんが振り返った時、



私にはその女の子の気持ちが
はっきりと見えました。


それは“怯え”でした。


赤ちゃんを倒してしまったこと。
お父さんとお母さんに怒られるだろうこと。


女の子の背中が固まっているのがわかりました。


『何やってるの!』

お母さんの怒鳴り声を想像して、
私の心臓も止まったようでした。







次の瞬間、


お母さんは、女の子の前にひざをつき、
力いっぱい女の子を抱きしめました。


「だいじょうぶよ。もうだいじょうぶ。
びっくりしたね」


そう何度も繰り返しながら。



女の子は石の魔法が解けたように
赤ちゃんにも負けない強さで泣き出し、


後ろではお父さんが赤ちゃんを抱きかかえ、
「よしよし」と声をかけていました。


すっかり女の子に感情移入していた私は、
安堵のあまり泣き出しそうになるのを
必死でこらえていました。



いい家族を見たなあ。
いつか私に子どもができたら、
私もあんなお母さんになりたいなあ。


そう思ったのは10年以上前のことで、
そしてその夢はまだかなっていませんが、
ずっと大事な記憶として仕舞っています。