かれこれ10年ほど前の話ですが、
当時私が働いていたグループには、
常時3名ほどの派遣社員さんに
来ていただいており、
入れ替わりが早かったため、
頻繁に面接に加わっていました。
入れ替わりが早いというのは、
すぐに辞めてしまうということで、
要するに楽な仕事ではありませんでした。
仕事の内容は、
主に電話受けと、時々客先に出向いて、
システムの操作説明を行うといったもので、
お客様は既存の公共団体、
ノルマもなく、ブラックでもグレーでもない、
健全なものだったと思います。
が、いかんせん急ぎのトラブル対応が多く、
ストレスの多い仕事ではありました。
そのため面接では、
トラブル事例を紹介して、
「こんなこともありますが、大丈夫ですか?」と
若干の脅しの意味も込めて、
お伝えするようにしていました。
面接には、
お付き合いのある派遣会社さんを介して
来ていただくため、
こちらは「選ぶ」というより、
「確認する」という程度で、
不採用になることはほぼありませんでした。
それでもやはり緊張感はたっぷりとあり、
「クレーム対応には慣れています」とか
「ストレスには強いです。自信があります」
といった頼もしい受け答えが、
背筋をまっすぐに伸ばして、返されました。
そんな中、
何度も面接に立ち会ううちに、
「この人は早くに辞めてしまいそうだな」ということが、
なんとなく予想できるようになってきました。
それは面接そのものではなく、
エレベーターの中でわかることでした。
面接の後に、職場を簡単に案内するため、
フロアを移動するのですが、
そのエレベーターの中で
たくさん喋る人は、たいてい長くは続かないのです。
「面接は緊張されましたか?」とか
「想像されていたより、社員が多かったですか?」とか
当たり障りのない質問をするのですが、
それに対して、
「すごく緊張しました!私緊張しやすいタイプなんです。
今日は朝からずっと汗が止まらなくて…」
と話が止まらないような人です。
コミュニケーションがとれて
いい人じゃないか、そんな人がなぜ?
と思われるかもしれませんが、
なぜかはわかりませんが、
実際にそうだったのです。
“長く続く人は、控えめで大人しい人だった”
というようなことは、決してありません。
長く続く人の中には、
個性的な人も、おしゃべりが好きな人も、
ズバッとものを言う人もいらっしゃいました。
ただ、初対面のとき、
もの静かな人が多かったのは事実です。
誤解されたら困るのですが、
私が言いたいのは、
“面接のときは、
余計なことを言わないようにしましょう”
というようなことではありません。
たくさん話したから、不採用になったという話ではなく、
たくさん話した人が、ご自分から辞めていったという話ですので、
そこはお間違いのないようにお願いします。
私のまわりではそういうことがあった、
というだけのことです。
共通点を探してみると、よく話す人だった、と。
ここからは本当に余談ですが、
このことから私が考えたのは、
「猫を被る」という手法は、
相手のみならず、自分にも影響を及ぼす
のではないかということでした。
猫を被るのは、相手に自分をよく見せるためですが、
本性を隠しているうちに、
良くも悪くも、自分を型にはめるのが上手になり、
その場に順応してしまうのではないか、と思います。
幸せの形は人それぞれで、
仕事を長く続けることが幸せなのか、
自分に合う仕事を見つけることが幸せなのか、
一概には言えません。
それなので、
猫を被って、自分にまで本音を隠して働くことが、
幸せなのかどうなのかは、何とも言えません。
ですが、
自分を抑え込む癖のある人は、
ほんの少し自分を開放してみると、
違った世界が見えてくるかもしれません。
逆に、思い付いたらすぐ口に出すという人は、
ほんの少し口を開くのを待つようにしてみると、
新たな発見があるかもしれません。
今日はいつにもまして、
取り留めのない話でした。
