前回は、著者が水に働きかける方法として、なぜセラミックスを選んだのかを見てきました。
赤外線の放射率を高めること。
表面積を大きくすること。
材料を組み合わせ、1000〜1200℃ほどで焼成すること。
では、そうして作られたセラミックスを実際に水へ入れると、著者はどんな変化を見たのでしょうか。
今回は、特許明細書に残された数字から、その後に始まった観察までを追っていきます。
「15〜20個」から「5〜8個」へ
著書では、一般的な水道水について、H₂Oが15〜20個程度集まった状態を一つの目安として説明しています。
そして特許明細書には、
セラミックスを水に対して20%の重量比で入れ、12時間経過すると、H₂Oの集合体が5〜8個程度になった
という内容が記されているといいます。
数字だけを見ると、
15〜20個
↓
5〜8個
です。
かなり大きな違いに見えます。
ただ、ここはそのまま鵜呑みにするのではなく、少し慎重に見た方がよさそうです。
著書の中でも、クラスターの大きさを直接測ることは難しく、こうした数字は大まかな捉え方であることに触れています。
そのためこの記事でも、
「水道水のクラスターは15〜20個で、セラミックスによって5〜8個になった」
と科学的な事実として断定するのではなく、
著者が特許明細書の中で、そのような変化を記していた
という形で見ていきます。
セラミックスを取り出したら、元に戻る?
ここで気になることがあります。
セラミックスを水に入れている間に変化が起きたとしても、取り出したら元に戻るのではないか。
ところが著書には、その後についても記述があります。
12時間以上セラミックスを使った水では、
セラミックスを取り出した後も、数日間以上その状態が続いた
とされています。
さらに、水の中に含まれるさまざまな成分を除いた条件では、
約10年たってもクラスターが小さい状態だったことを確認した
とも書かれています。
もちろん、これも現在の科学的な定説として紹介する話ではありません。
ただ、著者がセラミックスを入れて終わりではなく、
取り出した後はどうなるのか。
時間がたったらどうなるのか。
そこまで追いかけていたことは分かります。
そして、真夏のテニスで妙な話を聞く
ここから話が少し変わります。
30年以上前。
著者の知人が、長野県で親戚対抗のテニス大会をしていました。
真夏のテニスです。
いつもなら10分ほどプレーすると疲れてしまい、その後は休みながら子どもたちを応援していたそうです。
ところが、その年は違いました。
朝から晩までテニスを続けられた。
そんな話を、知人が著者にしたといいます。
著者が「何が起こったの?」と聞くと、
水を飲み、塩を取り、汗をかいたらまた水と塩を取る。
それを繰り返していたという話が返ってきました。
この一つの体験だけで、水に何か特別な効果があったとは言えません。
でも著者は、
「なぜ、いつもと違ったんだろう?」
と引っかかります。
ここで終わらないのが、この本の面白いところです。
だったら、確かめてみよう
著者はその話を聞いたあと、千葉県柏市のスポーツクラブへ向かいます。
そこでトレーナーに相談し、5〜6人の協力を得て、
水を飲む前と後で何が起きるのかを見ることになりました。
水だけを見ていた話が、ここで初めて人の身体へつながっていきます。
そして、エアロバイクを使ったときに、著者が予想していなかった出来事が起きたといいます。
エアロバイクがエラーで止まった
そのスポーツクラブには、脈拍数を140程度まで上げ、その状態を維持するように負荷を調整するエアロバイクがありました。
最初は軽い。
脈拍が上がらなければ、ペダルは少しずつ重くなっていく。
脈拍が140程度になれば、負荷を調整しながら運動を続ける。
そんな仕組みだったそうです。
ところが著書によると、水を飲んだ状態で運動した際、想定したように脈拍が上がらなかった。
機械はさらに負荷を強くする。
それでも上がらない。
そして最後には、
エアロバイクがエラーを起こして止まってしまった。
著者は、この出来事をきっかけに、水についてさらに調べていくことになったと振り返っています。
一つの「違和感」が、次の実験を生む
今回の話で個人的に面白いのは、
「15〜20個が5〜8個になった」
という数字だけではありません。
セラミックスを取り出したらどうなるのか。
何日たったらどうなるのか。
人が飲んだら何が起きるのか。
一つ何かを見つけると、それで結論を出すのではなく、
「じゃあ、次は?」
と進んでいく。
著者の研究は、そんな問いの連続で広がっていきます。
水そのものを見ていたはずが、気づけばスポーツの世界まで来ました。
そしてここから、話はさらに本格的な検証へ入っていきます。
次回は、
スポーツ選手と水。
実際にどんな検証が行われ、何が記録されたのかを追っていきます。

