前話で「人類滅亡は水不足によって引き金が引かれる可能性が最も高い」旨述べた。
そんな破綻寸前の「人類が利用可能な『真水』」というのは、以下の事情によってさらに減らされている。
まず、汚染だ。
伊藤ハム工場の地下水がシアン化合物で汚染されていた例があった様に、都市の地下水というのは常に汚染の危機にさらされている。伊藤ハムの工場では200mもの深さの井戸でも汚染されていた。普通はそこまで深い井戸なら汚染されておらぬものだが、それが汚染されているという事になれば地下水汚染というのは非常に広範囲にわたって発生し得るという事になる。
当然、浅い井戸ではもっと高率で汚染されている。主に、重金属、ヒ素、シアン、塩素系有機化合物(クロロなんたらの類だ)で汚染されている事が多い。メッキ工場(メッキ液にシアン)、半導体工場(洗浄剤を使う)、繊維工場(染料を使う)、農薬工場や塗料・インク工場などの化学工場の跡地では、非常によく土壌や地下水は汚染されている。またほぼ100%汚染が出るのが、ガス工場だ。築地にある生鮮市場を、東京ガスの跡地に移転させようなんて正気の沙汰ではない。
また、重金属などの様に有害性が高いものはせめて気を使われているが、油関係くらいであるとかなりずさんに扱われている。工場からの排水に黒いモノ(石油)が混じって流されている事が多いが、あれが混じればもちろん飲み水や農業用水には使えない。
また日本以外では、ガソリンスタンドなんかを含めて石油のタンクは地下にどーんと埋めてある事が多い。爆発したりする危険を考えて、地上に置かずに地下に埋める事になっているわけだが、それらの石油タンクは80%には漏れがあると言われている。日本の場合は、かつて爆発の危険なんかあまり考えずに地上に置かれていた。よく高いところに置いたりして、ポンプ無しで利用していたものだ。地下に埋めるときは、コンクリートピットを掘ってそこに置くことになっているから、滅多に腐食しないし、法的に定期的な漏れ試験も科されているから、ほとんどは漏れていない。
その他に、ゴミの埋め立て場からの漏れでの汚染があるし、農薬が水を汚染する事もある。農業では、肥料の撒き過ぎで問題が起こったりもしているな。
さらに、人間が汚したのでない場合でも地下水が汚染されている事がある。
20年位前にユニセフがバングラデシュの村で井戸を掘ってやったのだが、数年前に村人がバタバタとほとんど死んでしまった。ヒマラヤ地層はヒ素鉱脈なので、自然のヒ素が井戸水に溶けていたのだ。あまり高濃度ではなかったので、何十年も経ってから影響が出たわけだ。
「汚染」まで行かなくても、飲み水や農業用水に使えない水が結構ある。
たいていの地下水脈というのは、川と同じように最終的に海に注いでいる。だから、枯渇しかけた地下水脈では、海の近くで海水が逆流して真水ではなくなってしまう。真水に海水が2%も混じれば、たいていの作物には使えない。
海の近くでなくても、水に塩分が混じることがある。
これから冬になるが、厳冬地方では冬には道路に塩化カルシウムを撒きまくる。凍結防止のためだ。日米欧ともに撒きまくる。もちろん、その塩分は地下に染み込んだり川に流れ込んだりする。
アメリカで調査した人間が居たが、多くの川の塩分濃度が冬は他の季節の100倍になって、海水の25%(河口並)になってしまっていたという事だ。原因は、凍結防止に撒く塩化カルシウムとしか考えられぬ。
人類が使うことの出来る『真水』は破綻寸前の少なさなのだが、この様に使えるはずの分も使えなくなっている。これは、世界的水不足まで20年も保たぬかもしれない。
では、また会おう。フへへへへへヘヘヘヘヘ!