Facebookより

 

Chihiro Sato-Schuh

 

【ロシアの方が自由だった】

 

テレグラムの代表パヴェル・デュロフがパリの空港で逮捕されたというニュースで、世界中大騒ぎになっていた。自家用ジェットでアゼルバイジャンから帰る途中で、パリで夕ごはんを食べようと思って降りたところを逮捕されたというのだ。逮捕の理由は、テレグラムのユーザーが犯罪にメッセンジャーを使っていて、テレグラムがユーザーの個人情報を提供して犯罪捜査に協力しないからということだった。だから、デュロフが犯罪に協力したことになるというのだ。それでデュロフは、テロ行為や詐欺、麻薬取引や幼児ポルノなどの犯罪に責任があるという容疑で逮捕された。

 

テレグラムは、あくまでも言論の自由、表現の自由を守るという立場で、メッセンジャーの内容も個人情報も一切提供してこなかった。2014年には、ウクライナで起きた暴力的なクーデター、マイダン革命の首謀者がテレグラムを使って参加者を組織していたというので、ロシアの警察が来て、首謀者の情報を提供するように要請してきた。それでデュロフは、「お客さんを裏切るわけにはいかない」と言って拒否した。そのことで彼は、もうロシアにはいられないと思い、国外に脱出して、アメリカに行った。

 

そのときはデュロフも、普通に西側で言われているように、ロシアはもともとソ連で共産主義的な国だから、西側にはあるような自由がないのだと思っていたようだ。ところが、アメリカに行ってみたら、彼はもっと激しくつけ狙われるようになった。FBIに追いかけ回されたり、路上で暴漢に襲われたりもした。事実ははっきりしないけれど、諜報機関が差し向けた可能性もある。その他にもいろんな組織の人たちが、テレグラムのデータに入り込むコードを知りたがって、追いかけ回してきたそうだ。

 

それでデュロフは、アメリカも自由の国ではなかったと知って、いろいろな国を転々としたあげく、ドバイへ行った。アラブ首長国連邦では、難しい手続きもなく起業できる上、自由にできるのだそうだ。彼はアラブ首長国連邦の国籍を取ってドバイで仕事をしていたけれど、数年前にフランス国籍も取った。それで今、フランス人として、パリで逮捕されたというのだ。

 

ロシア在住のドイツ人ジャーナリスト、トーマス・レーパーによれば、すでに数カ月前から、テレグラムのプログラマーや暗号通貨の担当者たちが、逮捕され始めていたそうだ。テレグラムの技術者たちはいろんな国にいて、オンラインで連絡を取り合って仕事をしている。彼らがたがいに交わしているチャットでは、逮捕の情報がまわっていて、大騒ぎになっていた。西側の国にいる人は危険だから、なるべく早くロシアに移動した方がいいということが言われていたそうだ。フランスで逮捕されても、逮捕者はそのままアメリカに送られたりしているのだそうで、どうもアメリカの諜報機関が各国の司法に司令を出しているらしいということだった。

 

アメリカの諜報機関は、すでに90年代、インターネットで誰でも情報が発信できるようになる時代を予期して、ネット情報を操作できるような仕組みを作ろうとしていたそうだ。それまでは、テレビ、新聞、ラジオなどが情報収集のすべてだったから、そうしたメディアを抑えてしまえば、情報を操作するのは容易だった。まったくの作り話でも、メディアのすべてに同じことを報道させれば、人々は真実だと思って信じ込んだのだ。だけど、インターネットで誰でも情報を発信でき、すべての情報を得ることができるようになると、そうもいかなくなってくる。それで、そういう状況になっても、人々がどういう情報を入手するかを操作できるような仕組みを作ろうとしていたのだ。

 

有名な話だけれど、1991年の湾岸戦争のときには、クウェートに侵攻したイラク兵が、未熟児を保育器から放り出して殺すような暴虐をふるっているという話が語られ、それがNATO軍のイラク侵攻を人々が支持する大きな理由になった。ところで、この話は実はアメリカの広告代理店が演出したもので、まったくの作り話だったことが後でわかった。クウェートの産院の看護師だというナイラという女性が、アメリカの議会でこの話を涙ながらに語ったのだけれど、この女性は実はアメリカのクウェート大使館の外交官の娘で、クウェートに行ってもいなかった。広告代理店に指示された通りに、作り話を語っただけだったのだ。

 

当時はSNSなどなかったから、こうした事実はほとんど確かめようもなかった。多くの人がSNSを使うようになった今ならば、半日もすれば、この女性が実は誰なのかとか、言われているクウェートの産院が本当にあるのかとか、現地の状況はどうなのかとかいった情報が集まってくる。そして、これが何の根拠もない作り話だということが、たちまちのうちにわかってしまうだろう。

 

2022年にウクライナの戦争が始まったときも、私たちは同様のことを見てきた。西側のメディアで一斉に、ロシアがウクライナに侵攻してきて、キエフを空爆していると報道されていたけれど、キエフのウェブキャムはまったく平和そのものだったから、そういう情報を見ていた人たちは、メディアが嘘をついているのを知っていた。キエフに住んでいるジャーナリストが、ロシア軍など来ていないのを動画で見せたりもしていた。

 

ところで、西側ではこうしたネット情報をブロックするために、グーグルやメタなどのSNSで投稿を削除し始めた。ある言葉にアルゴリズムがかかっていて、そうした情報のアクセス数を自動的に減らしたり、ブロックしたりするようになっている。アカウントを制限したり、削除したりもしていた。西側諸国で人気があるロシアのニュースサイトなどは、ヨーロッパで禁止になり、アクセスできないようにブロックがかけられたりした。ロシアからの情報はすべてロシア政府が作ったプロパガンダだという宣伝が行われて、そうした情報を信じないようにというキャンペーンが行われていた。

 

こと戦争になると、人の命がかかっていることだから、正当化するには、相手の国がよほど残虐な悪党だというような印象を与えなければならない。そのために、情報を厳重に操作する必要があるのだ。大多数の人々が、戦争を正当化する嘘を信じ込むようにしなければならないからだ。SNSを操作するのは、そのためだ。だから、アメリカの諜報機関は、インターネットが普及し始めた90年代から、すでに対策を始めてきたのだ。その対策の重要な部分として作られたのが、グーグルとメタだったそうだ。

 

その中で、テレグラムは検閲を一切行わないSNSとして、世界中の人々がいわば避難所として使うようになっていった。2020年の頃から、SNSの情報操作が激しくなり、アカウントを削除されたり、投稿を消されたりといったことを多くの人が経験するようになった。パンデミックについての真実を追及するグループは、グループを丸ごと消されたりもした。それで、多くの人々がテレグラムに移動していった。抗議デモの連絡も、情報を消されてしまうので、テレグラムを使うようになった。そうやってメタを使っていた多くのユーザーが、テレグラムに移っていったのだ。

 

世界中の多くの人にとって、テレグラムが貴重な情報ソースになっている。タッカー・カールソンのインタビューで、パヴェル・デュロフはアメリカの諜報機関に追いかけ回された話などを語っていたけれど、テレグラムを中立のプラットフォームとして守り続けることは、よほどの覚悟がいることなのがわかる。

 

2022年に始まったウクライナの戦争では、西側主流メディアはロシアが一方的に侵攻してきたと報道していたけれど、テレグラムを通じて現地からの情報が入ってくると、事実はまったく違っていることがわかった。戦場になっていたドンバス地方は、8年前からずっとウクライナ軍に攻撃されてきていたし、住民はウクライナから独立して、ロシアに併合されることを望んでいた。ドンバスの住民はロシア軍の侵攻を歓迎して迎えていたのだ。ドンバスでは、独立しようとするドンバスの自衛軍とウクライナ政府軍が8年前から戦っていて、ロシア軍はそこにドンバスの自衛軍を支援しに来ていたのだ。そうしたことが、現場の市民や自衛軍の兵士たちの口から繰り返し語られ、さまざまな映像がそうした事実を示していた。

 

パヴェル・デュロフのテレグラムとイーロン・マスクのXは、言論の自由、報道の自由が確保されている、今では貴重なプラットフォームになっている。アメリカ諜報機関が知られたくない真実の情報を伝えているジャーナリストたちは、主流メディアを追われていき、テレグラムやXを通して情報を拡散するようになった。タッカー・カールソンやスコット・リッターもそうした人たちだ。

 

だから、デュロフ逮捕のニュースは、言論の自由を大事にする世界中の人々に大きなショックを与えた。ロシア政府はテロ組織の捜査に協力しなかったからといって、逮捕命令を出したりはしなかったけれど、自由・平等・博愛の国フランスでデュロフが逮捕されたのだ。タッカー・カールソンとイーロン・マスクは、真っ先にフランス政府を批判するメッセージを出していた。ロシアではすぐにフランス大使館前で抗議デモが行われ、「デュロフを解放せよ」というハッシュタグ付きのTシャツが作られたりもした。

 

ロシアのニュースサイトRTのアンケートでは、デュロフの逮捕について、「これ以上のテレグラムの宣伝は他にない」というのが60%で第一位になっていた。このことで、テレグラムが西側の情報操作に抵抗しているSNSだということを世界中が知ることになったわけだし、テレグラムが外から容易にハッキングできないような高度な作りになっているということもだ。そしてまた、これによって、ヨーロッパの方がロシアよりもよほど言論の自由がないということが、はっきり示されることになった。

 

逮捕されたことで、デュロフは一気にジュリアン・アサンジと同じような世界的な英雄になってしまったようだ。SNSでは、デュロフの写真や動画が拡散され、世界中の人々がデュロフの情報を追っていた。デュロフを支持する世界中のITエンジニアたちは、抗議のためにフランス政府機関にサイバー攻撃をかけていたりもしたそうだ。

 

戦争についての真実は、アメリカ諜報機関が最も恐れるもので、だからデュロフもアサンジも逮捕される理由は似ている。ちょうどロバート・ケネディ・ジュニアがトランプ支援を公表して、ウクライナの戦争の真実を語っていた翌日に、パリでデュロフが逮捕されるなんて、偶然とも思えない。いよいよ追い詰められて、強硬手段に出ているということなのかもしれないけれど、すでにグローバル支配が崩壊していく方向に流れが変わっているから、これも逆効果に終わるような気がする。

 

とにかく今、テレグラムに世界中の意識が集まって、言論の自由のために戦わなければという熱い思いになっている。西側の方が自由だと思っていた人たちも、ロシアか西側諸国かという問題ではないことに気づくだろう。そして、共通の敵の姿が見えてきて、世界中の人々が結束していく流れになるのかもしれない。分断させようという試みが、逆に結束するきっかけになるのだ。世界は今、そういう方向に動いているように思える。

 

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画像は、デュロフを解放せよという抗議デモ。

ロシアで作られているTシャツ

 

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報道しない自由そのものの日本マスゴミ

 

 

え?

 

 

だよね!!!!

 

 

 

「最も難しいのは、自分自身と向き合うことだ。革命だ!」

「民衆に力を!」と叫ぶのは、自分を見つめ直し、自分のなかにある本当のものと、そうでないものを見つけることより簡単だ。それが一番難しい。

~ ジョン・レノン