はああああああムキー

 

■1泊100万円超で「お城」に宿泊〈自治体、富裕層頼みビジネス〉

 

 

 1泊100万円超でお城に泊まり、殿様気分を味わえる「城泊」(しろはく)に取り組む自治体が増えています。"一日城主になれます〟〝時代を超える旅体験を〟などと国宝や重要文化財を「稼げる資源」とする事業。一握りの富裕層のために税金を使う施策です。

 

 大洲城(愛媛県大洲市)の城泊は1泊132万円(2人利用)。甲冑(かっちゅう)や衣装を身につけて「入城」し、本物の火縄銃の祝砲で出迎えられます。重要文化財の櫓(やぐら)での殿様御膳(とのさまごぜん)の食事、県史跡の二の丸に設置された仮設風呂での入浴など豪華なもてなしが続き、天守の1階に宿泊します。

 

●税金2.3億円投じ

 丸亀城(香川県丸亀市)の城泊は1泊126万5000円(2人利用)。JR丸亀駅から人力車で「入城」し、太鼓の演奏で迎えられます。重要文化財の天守を貸し切り、飲み物でくつろぎ、三の丸にある「延寿「閣別館」で夕食をとり、就寝します。同市はこの事業に約2億3000万円を投じ城内に寝室や浴室、トイレなどを整備しました。

 

 長崎県の平戸城では再建された懐柔櫓(かいじゅうやぐら)に3面ガラス張りの浴室やキッチン、トイレなどを設置し、1泊1組66万円(食事別)。今年7月からは福山城(広島県福山市)も城泊を始め、1泊2食付きで132万円(2人利用)です。鉄筋コンクリートの櫓に泊まるもので、同市は2000万円を費やし、御湯殿に浴場を設置しました。着物の着付けやもてなし料理を楽しみ、天守最上階のナイトラウンジでくつろぎます。

 観光庁は2020年度以後、14地域の城泊の相談に応じており、今後、各地に広がる可能性があります。

 

●価値ないがしろ

 政府は、観光地や観光産業の「稼ぐ力」を強調しています。17年に安倍晋三政権が策定した観光立国政策は、観光をもっぱらビジネスとして位置付け、岸田文雄政権は「消費額」を重視。高級ホテルや高価な食材による料理などを推奨し、富裕層向けの観光推進を強調しています。

 

 多くの人に手の届かない一部の富裕層ばかりをターゲットにした政策で、日本の魅力を発信する観光になりえるのでしょうか。

 

元NHK解説主幹で文化財報道に長年携わった毛利和雄氏は「本来、城の天守や櫓は人が寝泊まする施設ではない」と指摘。「新自由主義政策のもと、地域の人々の意識や生活に溶け込み共有されてきた文化財の歴史的価値がないがしろにされる。文化財を『稼ぐための資源』とするのは行き過ぎだ」と批判します。

 

 毛利氏は「城内に洗面所を備えたトイレカーを持ち込み、本来なかった仮設風呂を設置したのでは〝優れた宿泊空間〟とは言えない。重要文化財や国宝は火気厳禁のため、食事も火を使えず風情がない」と強調。「日本には重要な歴史的遺産や美しい自然景観、独自の食材を使った料理など、地域に根差した観光財産は無数にある。その活性化に貢献する観光こそ必要だ」と強調します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・