文化放送「吉田照美 飛べ!サルバドール!」7月18日

~「原子力委員会がもんじゅ直下の破砕帯を現地調査 
         活断層なら廃炉となるがどうなる?」

アーサー・ビナードさんのコメント

データが取れてないと言うこともあり
今日明日に判断が下されるわけじゃないが
確実に廃炉となる可能性も出て来た
破砕帯が危ないからもんじゅはやっちゃダメとなると評価できると思う

これまで安全審査をしていた「安全中黒保安員」という組織より
今の原子力委員会は活断層調査をきちんとやっている印象があり
敦賀では活断層と認定したし
専門家として仕事しているなと見えるのだが
全面的賞賛をするのは早く警戒もしなくちゃ行けないと思う


一歩引いて 俯瞰して原子力村の動きを捉えると
原子力委員会という組織になりきちんと地質調査を行うようになったが
その地質調査も原子力村の中でどういうふうに使われるのか


原子力村と言う組織は突き詰めていくと
責任回避・責任逃避・責任そのものをごまかす巨大な装置
責任を活断層に押し付けるという言い方もできる

僕らは厳しい視線を注いで監視せねばならないが
もんじゅに破砕帯があることはわかっていた

もんじゅに限らず各原発敷地内に断層があった
最初からわかっていて問題なしいう判断を下して作った
それを問わなければいけない
破砕帯があるから危ないというのではなく
何故わかっていて作ったのか
もんじゅを経済的視点で見ると1兆円以上の税金がドブに捨てられている

それにもんじゅでは1万件を超える点検漏れがあった

漏れという次元ではない 点検そのものがザルだった

原子力研究開発機構がやっていって
これは解体しないといけない


1万件の点検だだ漏れだけで稼働はできない 動かせない
そもそももんじゅは動かしては事故り 動かしてはナトリウム漏れ
動かしてはとんでもない事故を起こしているから動かせない

エネルギー政策の枠の中でやるのは不可能だし
作ってから20年以上たって老朽化もしている

活断層があってもなくてももんじゅは破綻している

廃炉の決定を下したら大変なことになる
燃料サイクルが破綻してしまう
廃炉を先延ばしして 死因をごまかして
廃炉の原因をどうするかで全体の高速増殖炉計画の運命が決まる

原因を活断層にすればここに建てたのがダメだったのだということになり
高速増殖炉計画そのものは傷つかず
結論は先延ばしできるし また違う所に作るという可能性を残し
青森六ヶ所村もごまかし続けるには都合がいい


高速増殖炉計画は外国では何十年も前に撤退している
日本は表向きは外国に頼らないエネルギーを生み出したいからという
きれいごとを並べているが本音はいつでも核兵器が作れる環境を保ちたい


プルトニウムの口実 カモフラージュ

作るけど作らない
核武装してないけど核持ってる
核保有国じゃないけどプルトニウムは佃煮にするほどある
そのカモフラージュとして燃料サイクルプルサーマルが必要


日本が原発をやめると
「安全保障上の問題がある」と米政府は言うがこれはすごい矛盾

原発を辞めるとプルトニウム作りが止まる
ということは安全保障上核保有してない国としてはまともなのに

原発を動かしてこれは「核兵器のためじゃないエネルギーのため」と
言い続けることが安全保障上の口実になるから
これを維持しろ続けろと米から圧力もある


原発やめるとプルトニウム保持の建前がなくなる
建前が安全保障上の問題と言われていて
堂々と核を持っている国はこのプルサーマルなどというバカなことはやらない
建前がいらないからやる必要はない

でも隠れ核保有国はプルサーマルをやらざるを得ない
建前のため僕らの税金が無駄に消えて行く

それを見抜いて市民が終止符を打たないと
原子力村に任せていると
結局また破砕帯・活断層で延命措置が施されることになりかねない


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また来週・・・



「A FRIEND 」谷川 俊太郎 /和田 誠 /アーサー・ビナード