5月11日ラジオフォーラム 第18回
 小出裕章ジャーナル


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5月11日小出裕章ジャーナル

・・・・小出さんのお話の部分書起し読みやすくまとめ・・・・・・・・・・・・


~沖縄電力だけ原発を持ってないことについて

本当の思惑がどうかということは私には分かりませんけれども
沖縄と言うところは皆さんご承知の通り基地だらけになってしまっているわけで
そういうところに原子力発電所を建てるということは、事実上できないと思います。
原子力発電所が攻撃を受けたときにどんな被害が出るかということは
米国の中では度々計算まで行われていて
核兵器でやられるよりもっと酷い被害が出るということまで
計算しているわけですから
基地のところに原子力発電所を建てるということは
実質的にあり得ないと思います。

基地があるところに原子力発電所は不適切だということは
当然米国としては思っていた筈ですし、今でも思っている筈ですので
沖縄に原子力発電所が建てられることはないと思います。

実際に沖縄電力が原子力発電所を建ててしまうと
一番困るのはやはり沖縄電力だと思います。
沖縄で大きな原子力発電所を建てて、それが止まってしまうならば
やはり電力供給が出来なくなってしまうと思いますので
やはり沖縄のようなところでは
小規模分散型というのが一番電力会社としてもいいと思います。


~原発にオスプレイや飛行機が落ちたらどうなる?

私は壊れると思います。
特にですね、原子力発電所という構造物は
一番外側には原子炉建屋があるし
それから格納容器というものがあるわけですけれども
どんな構造物も天井の部分というのはかなり薄いんです。
壁はですね、コンクリートとでも何でも1メートル2メートルの
厚さの壁を作ることが出来るのですが、天井というのはどこでも薄いです。
というのは構造として持たないのです、ぶ厚くしてしまうと。

原子炉建屋の屋根なんていうのは言ってみればペラペラですので。
横方向から突っ込んでくるものについては
彼らもいや大丈夫だというようなことを言っているわけですけれども
真上から落ちてくるようなものに関しては、
ほとんど無防備だと言っていいと思います。


~沖縄国際大学にヘリが落ちた事件の時 米軍は防護服着て来たのは何故か?

あのヘリコプターはプロペラのところに
ストロンチウム90というあの放射性物質を積んでいました。
6枚のプロペラの羽根があったのですが
その羽根の一つ一つにストロンチウム90という
かなり毒性の高い放射性物質が積んであった。
それが火災で壊れて火災で蒸発したりしまっているわけで
米軍はもちろん放射性物質を積んでいるということは知っていたわけですから
当初から防護服を着て来ましたし
放射能の測定器も持って現場に駆けつけて来ました。

現場は日本というこの国の筈なんですけども
米軍が現場を封鎖しました。
その外側を沖縄県警の警察官が米軍を守るような形で取り囲んで
その回りに人々が、沖縄国際大学の関係者も行ったわけですけども
現場に近づくことすらが出来ないという、そういう状態でした。


~311の時米軍は80キロ逃げたことについて

日本では原子力発電所の事故が起きたら
どちらの方向にどれだけ放射性物質が飛んでいくかということを
計算するためのSPEEDIという計算コードがあったのです。
確か120億円ぐらい投入したと思いますけれど。
何十年かかけて開発した計算コードがありまして
実際にその計算コードは事故の直後から動いていたのです。

ただし、原子力発電所からどれだけの放射性物質が
時々刻々出ているかということが分からなかったがために
あまり正確な計算になりはしなかったのですけれども
それでもずうっとあの計算を続けていて
何月何日何時の時点でどちらの方向が危ないという
データはちゃんと持っていたのです日本の政府は。

ただし、あまり正確でないということで
日本国民には知らせないということにしたのです。
飯館村の方向に行っているっていうのは知っていたんですけれども
日本国民には知らせなかったのです。
ただし、米軍というか米国に知らせていたのですね。

ですから米軍としてはそのSPEEDIのデータも持ちながら
いつ自分たちのほうに放射能が来るかどうかということも
見ながら行動していたわけで
自分たちのほうに放射性物質が飛んで来た途端に
彼らは逃げたということになったわけです。

深刻な事故だということは原子力の専門家であれば誰でも分かっていたわけですし
距離を取るというのが原則なわけですから
とにかく距離を離して逃げようと、彼らは、米国という国は考えたわけですね。
極々当然な判断だったと思います。

日本には日米安全保障条約というのがあるわけですし
日米地位協定というものもあって
日本はその点で言えば完全に主権を奪われたままでもあるわけですね。
ですから、まあ日本というこの国が、米国に付き従うというのは国益だというのを
国家のトップがずうっと言ってきたりしているわけですから
まあ米国ばっかり見ているというのは事実だと思います。


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今こそ“暗闇の思想”を―原発という絶望、松下竜一という希望