namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~ (東京ドーム最終公...
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昨日は夜9時からのNHKスペシャル『安室奈美恵 最後の告白』をオンタイムで観ていたので、
『いだてん』感想・解説記事が書けませんでした。
とりあえず安室ちゃん番組は想像以上に充実した内容で面白かったです。
平成の音楽シーンの変遷が、50分という枠内でバランスよく詰め込まれていました。
個人的にはCDの売上減退と反比例するようにライブ売上が上昇し、
そのライブ全盛の時代の先鞭をつけたのが、やはり安室ちゃんだったということを初めて知りました。
本放送を見逃した方は再放送を是非。
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てなわけで『いだてん』の第三回。
昭和パートは言及するのが面倒くさいので省略です。
(四三、師範学校を目指す)
海軍兵学校入学の夢破れた四三ですが、師範学校の存在を知らされて
その入学案内(?)に嘉納治五郎の名前を見つけます。
そして兄貴には「子供の頃抱っこされたというのは父の嘘」と告白します。
兄貴は「そんなことはとっくにお見通しだ!」と返します。
実のところ抱っこ云々は言い訳で、子供時代のワダカマリ・胸のつかえを振り払いたいという思いが
蘇って家長たる兄貴に進学を改めて願い出るというシーンです。
弟のやる気が復活したのを見てとった兄貴が、激励の言葉とともに快く師範学校受験を許可します。
このように登場人物の心情を、台詞で説明せず演技全体で表現するという
ドラマの基本ができているドラマには久方出会えていなかったので、とても嬉しかったですね。
言葉を発しているのは四三と兄貴だけですが、
二人の会話を耳にした母親の姿を適時挟む演出も同様に良かったと思います。
(熊本発東京行きの列車と言えば)
そして無事に師範学校に合格した四三は、家族や近所の人に盛大に見送られて東京へ行きます。
列車は熊本から東京へ行く鈍行。
そうなったら『三四郎』の世界ということで、美禰子さんっぽい人も車内に。
さすがに“先生”っぽい人を出して富士山見ながら「亡びるね」と言う下りはカットされていましたが。
まずタカダカ東京に出るだけなのに、大げさすぎる見送りをする家族。
兄貴がハナミズ垂らしながら激励する姿は多少ヒきましたが、
当時において家族が東京に出るというのはそれくらいの大事件でしたから違和感はありません。
明治期の東京は単なる国の首都を越えた特殊な街であり、司馬遼太郎は『街道をゆく』のなかで
「明治時代、東京が文明の配電盤だったという設定が理解できねば、なんのことだかわからない」
と書き残しているように、近代文明を地方へと波及させていくための巨大装置が東京の役割でした。
そんな東京に行くというのは、特別な資格を持った一握りの優秀な人間に与えられた特権であり、
だからこそ田舎の人は自分の生活を犠牲にしてでも、子供に十分な教育を施して
東京へ行かせることに必死になります。
そんな田舎の人の夢が実現した場面ですから、兄貴があれだけ感極まるのは普通のこと。
そして東京に出る当の本人は優秀であることが自分にとっては普通であるが故に、
かえって家族の喜び様に戸惑ってしまう所も丁寧に描写されていました。
(東京は恐ろしか~)
四三が初めて東京に出たら、典型的な御上りさんとして舐められてしまいます。
具体的には路面電車にのってはしゃいでいるうちに、スリに遭うだとか、
浅草に出て遊女に誘われる(要するに「売春に手を出しそうになる」こと)とか。
なんとかして寮に顔を出すも、舎監にキレられる。
しばらくして東京での現況を実家に手紙で報告するのでありました。
時を同じくして、別の場所では天狗クラブが大暴れしていました。
明治期の御上りさんの象徴としての赤ゲットについては、恥ずかしながら知りませんでした。
そして明治期の東京のガラの悪さ(治安の悪さ)についても、日常風景として上手く描いています。
こういう現代とは違う日常をさり気なく描写しているところが、本作の良いところと改めて思います。
さて舎監がキレた理由は『冒険世界』(スポーツ新聞に近い文芸誌)を持っていたということ。
これについては明治期の小説の地位について、過去記事で言及しているのでそれをお読みください。
またハッキリとは言及されていませんでしたが、授業中に明らかに四三の熊本弁が
先生を含めた皆からバカにされている描写もありました。
当時の東京における田舎者の扱いはそんな感じだったでしょう。今も変わらないかもしれませんが。
そんな四三の東京生活は、今までどおりに走って学校へ通うというもの。
その走って通学が路面電車より速く、まさに疾風のごとき。
重要なのがその状況報告の手紙を読み上げるのが、家長である兄貴であり
家族はそれを取り囲んで聞いているという演出。
当時としての等身大の家族を描いてくれて、本当に歓喜です。
今まで家長そっちのけで妹が手紙を一人で読む場面とか見させられ続けていましたから・・・
天狗クラブについては、現代にも残る体育会系の連中の雰囲気を良くも悪くも生み出した団体
ということがよ~くわかりました。
番組後の紀行に「TNG」のユニフォームがありましたが、ガチであれあったんですね・・・
それどころか『魁!男塾』の直進行軍をガチでやっていたという、衝撃の事実まで。
事実は小説よりも奇なりとは言いますが、まさかこれほどとは。
ちなみに三島弥彦の親父である三島通庸ですが、
福島事件を引き起こした張本人として悪名の方が有名な人物です。
(最初の帰省、その他)
熊本に帰省して裸をスヤさんに見られる毎回定期。
彼女が見合いすると聞いて何気にショックを受けますが、決意を新たにまた東京へ。
そんな彼らを乗せた列車に、スヤさんは自転車で追っかけていくというベタ演出(注:絶賛)。
東京に着いた四三はマラソン競技に出会います。
鉄道シーンはテッちゃんとしてもうれしい映像で一杯でした。
おそらくは肥薩線を借りての撮影だったのでしょうが、コンプラなんてそっちのけ、
具体的には窓から顔も手も出して絶叫するわ、SLを自転車で全力で追いかけるわなんて、
PTAからの苦情を恐れずによくやり遂げたと思います。(本心です)
そう遠くも無い昔までは、あんな光景が普通だったんだよ。
友達の美川の吉原行きがバレて罰を受ける場面も良かったですね。
当時の学生にとっての吉原(赤線、売春街)との距離もあんなものです。
『塩狩峠』等、当時を描いた小説では学生が吉原に誘われるシーンは割と多いです。
これもPTAの苦情を恐れずによくやり遂げたと思います。
他には無声映画の様子や、劇場内でタバコをふかしている場面もですし、
廃刀令が出されてからも、地位の高い人は帯刀(剣)が事実上認められていたとか、
(三島の姑さんが怒り心頭で仕込み杖を握っていたシーンです)
本当に明治期の何気ない日常描写については、本作は素晴らしいの一言に尽きます。
そんな四三がついにマラソンに出会って・・・というところで次回。
本当にテンポよくお話が進んで、観ていて心地よい作品です。
この調子で続いてくれ・・・(切実)
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