フロンティアの消滅 | deluxeの徒然雑草紀行

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ブログのテーマによる振れ幅が大きすぎるので、自分の読みたい記事テーマを決めておいた方がいいかも。
シリアスな社会批評の直後に「ガンダムLOVE」な記事を平気で載せたりしますから(w

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↑この前、購入した本です。

ただし、この記事はその感想ではありません。


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購入した先は「未来屋書店 」というイオンモール等に展開している本屋さん。

そして未来屋書店はイオン が100%出資している会社でもあります。


あまり目立たないニュースとして、

この10月から未来屋書店で購入する本が

イオン株主キャッシュバックの対象となりました。


ちなみに株主キャッシュバックとは、

イオンで購入した商品・サービスに対して所有する株主に応じた割合で

年に2回現金で返還できる、という株主優待サービスのことです。

筆者の場合は3%がキャッシュバック割合となり、

上記の本を購入した場合は74円が後日筆者の手元に戻ってきます。


これを単なるサービス対象が拡大しただけ、ととらえる事はやや軽薄です。

このサービスは事実上、本を割引販売していることに等しいからです。


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ご存知のとおり、現在、日本で流通している本は全国どこでも値段が一緒です。

これは「再販制度」といって

文化物一般の商品は文化的多様性を担保するために

出版社を保護する必要があるから

市場の需給原理を通じた価格決定に任せることはそぐわない、

として書籍・CD・新聞等に対しては、

企業側の指定価格で流通させることができる、というモノです。


ただご注意いただきたいのは「指定価格で流通させることができるのであって、

供給側と流通側との間に価格維持を義務付ける制度ではありません。

要するに流通側は割引販売をしても特に法的な問題はないのです。


ですが、今までの日本で本を割引販売することはタブーとされていました。

供給側(=出版社等)は高い値段で商品を販売されることを当然望みますし、

流通側(=本屋さん等)は供給側に対して心証を悪くされたくないですから、

両者の思惑が一致する形で再販制度は事実上の価格固定制度として機能し、

書籍やCDが安売りされることはほとんどありませんでした。


しかし最近になって2つの予想外な事態が発生します。


一つは新古書/中古品店の台頭です。

再販制度は中古品が対象外なので、

新品の書籍やCDが発売後まもなく再販価格より安売りされる事態が起きます。

消費者は正直ですから、同じものなら安い方を選択するようになるわけです。


もう一つはAmazonの登場です。

Amazonは海外の企業ですから、日本の商習慣の発想から自由に商売をします。

ですから一時期、発売直後の書籍全てにAmazonポイント10%を付与する、

という事実上の1割値引き販売をしました。

これは新規顧客を獲得するための手段として使われたので、

現在ではこのサービスは終了しています。

ですがAmazonはかなりの顧客を開拓し、

ネット販売の敷居を大幅に低くして既存の書店から多くの売り上げを奪いました。


こうなると既存の流通側は以上の2つの新流通企業に対抗せねばなりません。

とはいっても再販から離脱ということも、いままでのしがらみもあるから難しい・・・

こんな事情から再販価格で販売するけども後日にキャッシュバックしよう!

というサービスが登場した背景にあるのでしょう。


特に日本の2大流通企業の一角であるAEONがこの戦略を採用した意味は

かなり大きいと筆者は判断しています。

もはや書籍等も法律の保護で守られるような時代が終焉し、

市場の洗礼を受けた価格決定システムに嫌が応にも対処せねばならない時代が

到来した、その一歩になったと考えるからです。


筆者の場合、年に数万円は書籍にお金を使う以上、

今後は未来屋書店で本を購入する機会が大幅に増えるでしょう。

音楽についてはすでに価格破壊 が進んでいますが、

今後数年で書籍についても価格破壊が進むのではないでしょうか。