一見、歴史物語や壮大な社会叙事詩を描いているようで、
実は登場人物の個人的なエピソード集ばかり書いている、
というのは安っぽい少女マンガに多いパターンです。
だからと言って、作者が女性であることに原因があるとは結論付けられません。
以前の記事 で筆者が絶賛した「翔ぶが如く」の脚本は小山内美江子さんですし。
ともかくも、断言するのは心苦しいですが、
そういう軽薄なお話は一部昼ドラマぐらいに留めておいてほしいものです。
舞台設定がすごいと、骨太のドラマを期待してしまうことは当然ですし。
ちなみに先の一連の記事で書いているような“軽薄”の代表格は
この(↓)映画ではないでしょうか。
- タイタニック [DVD]/レオナルド・ディカプリオ,ケイト・ウィンスレット,ビリー・ゼーン
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筆者が映画館に足を運んだ際、ものすごい期待していたにもかかわらず、
途中から「観るんじゃなかった・・・」と後悔したことを今でも覚えています。
「タイタニック号の沈没」という歴史的重大事を扱う以上、
タイタニック号内部で繰り広げられていた当時の社会情勢の縮図を
これでもか! と見せつけてくれるものと思っていたからです。
しかし実際は・・・こんな馬鹿臭いイチャ×2話を創るにあたって、
舞台を「タイタニック」にしなければならない理由が未だに思い浮かびません。
筆者はTHE空気読めない人間
ですから、当時の「タイタニック」信者に向かって
「あの映画は育ちが良いお嬢様が持つ
『下々の者に汚されたい願望』を満たしていく過程を描いたモノに過ぎない」
と言って憚りませんでした。
映像はすごい綺麗でしたし、CG技術も当時の最高水準でしたが、
そもそもの時代考証が?の部分も多かったですね。
筆者のような歴史好きには常識ですが、
当時のタイタニックの煙突全4本の内で煙が上っていたのは3本だけ
というのがありますが、映画ではしっかり4本とも煙が・・・
かなり早いシーンでしたので、この時点で筆者は不安を感じました。
これ以上書くとまた「タイタニック」大好きな方々から顰蹙を買ってしまうので自粛。
さて、あの「タイタニック」のテーマは何だったのでしょうか?
例えば「シンデレラ」のお話は
心がきれいであり続ければ必ずいつかは報われる~、
みたいな事を訴えているわけですが、「タイタニック」は?
「人を愛することは例え一瞬でも美しい」でしょうか?
じゃぁ、何でわざわざ「タイタニック」を舞台にしなければならないのでしょうか?
仮に「」内のテーマが主眼だったとしたら、
あまりにも安っぽい(=深みが無い)作品であることを自認しているのでは?
短い恋が悲劇的に終結する、という外見的な事例だけ見ると、
「ロミオとジュリエット」に似ていそうですが、
シェイクスピアと比較するのはあまりにも失礼なほど内容が薄いですよね?
付け加えて、歴史的大事件を扱っているのだから、
当時の社会情勢への鋭い考察や描写がされている、
と期待していた筆者が間違っていたのでしょうか?
ちなみにこの作品は当時のアカデミー賞を総なめ。
以来、筆者のアカデミー賞に対する評価は著しく低下しました。
文化・芸術作品というのはそれなりの内容が伴わないといけないのに・・・
そういえばこの作品って何だか世間から忘れ去られた感がありますよね。
これって熱しやすく冷めやすい現代の世相を鋭く示しているのかも(w