第十条~シェイドブレイド戦記  AZ58 アイリス戦役 | 劇部屋24シアターズ

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劇部屋24のオリジナル作品「月羽妖夢伝」制作近況や
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第十条~シェイドブレイド戦記  AZ58 アイリス戦役
トバリ>
ここはラムダ大陸
肥沃した大地と草原が広がる巨大な大陸である。
アキラ>
大陸には二つの大国があって、
その覇権を狙ってしのぎを削っていた。
アヤメ>
一つはルーン王国。
この土地に古くから住む王家が
伝統と秩序を重んじ、治める国である。
トバリ>
もう一つはガルーダ帝国 近年ここに移住し。
略奪と侵略とで力を伸ばしてきた国だった。
アキラ>
多数あった国がこの両国に統合されてなお、
なおもこの地で覇権を争う戦争が起きたのだ。
アヤメ>
戦争が起きてから、10年経過したある日のこと。
ガルーダ帝国がその
技術力を駆使して作り上げた「臼砲」が
ルーン王国の、伝統的かつ堅牢と賞賛された城壁を
木っ端微塵に破壊する事件が起きた。
トバリ>
そのとき、両国の均衡は崩れた。
アキラ>
圧倒的優勢となったガルーダ帝国に、
ルーン王国は一時的な停戦を提示。
多額の賠償金と向こう20年の食料の無償供給を
引き換えに、ルーン王国には平和が訪れた。
アヤメ>
民に無益な折衝を強いるのは「悪」である。
王朝は声明を発表した。
トバリ>
裕福な国から反転、貧困の国へ。
ルーン王宮はかつての繁栄の姿を
失ってしまうのだった
アキラ>
時は AZ 58年。
話はかりそめの平和を謳歌する
ルーン王国騎士団の1日から幕を開ける
アヤメ>
ところはルーン王宮戦闘訓練所
そこには剣を振るう戦士たちの訓練の場所。
トバリ>
赤と黒の制服に見を包む者たちが汗を流していた。
アキラ>
そのうちの一人の戦士トバリは細見の探検を手に、
隊長アキラに飛びかかって行っていた
トバリ>ヤアアア!
アキラ>まだだ!あまいっ
トバリ>グアっ!グアアアッ!
アキラ>そこまでだトバリ
トバリ>まだですまだです
アキラ>伊勢泊まり今日の訓練でお前は3度死んだ!
自分の命を粗末にするものではない
トバリ>く、くそ・・・
アキラ>泣くな!今日の悔しさは、明日への生命だ!
いいか!その感情は、いまは大切にとっておけ
トバリ>隊長!
アキラ>笑 今日の訓練はここまでだ。よく休むないぞ
トバリ>ありがとうございます!
アキラ>下がってよし
トバリ>戦闘訓練場を出て、宿舎に戻ろうとすると、
そこに血まみれの魔物が倒れているのがわかる。
1:やったぜ!トドメの斬撃がよく効いたな
2:何言ってんのよ?私のアシスト魔法が凄かったからでしょ
1:いいや!俺だ!
2:いいえ!私よ!
トバリ>アツくなってんな
その光景に思わず笑みを浮かべる
彼らが退治したモンスターは訓練場の中で飼われている、
訓練用のものだ。
どこで飼育されているのかなどは明かされていないが・・・
種族は限られてはいるものの、
体力が強靭なもの、力が強いもの。知恵を使ってくるもの
など多種多様のところが、王宮の戦士たちにとっては
都合の良い練習台となっていた。
ふと、そんな魔物を始末している係員に出会う。
黙々と作業する彼女は紫色の衣をまとっており、
その手さばきからは熟練の腕が見えた。
アヤメ>あ・・・
トバリ>待って!
アヤメ>・・・・
トバリ>いっちゃった・・・もうっ!
アヤメ>その時、私は無我夢中で走り去っていた。
剣士が強そうだったからではない。
単純に、城の人間の目に触れたからだ。
私たち忍の役目は、人の目を盗んで、
諜報活動や謀略などを行う、裏の手の人間だ。
そのため、ありもしない噂をされることもあったが、
それが裏のステータスだとおしえられたこともあり、
逆にみずからの「ほまれ」に感じている点もあった。
アヤメ>仲間の所に戻り、物色したものを改める。
お頭の判断により分け前が決定されるのだが、
今日の私の分け前は白銅貨10枚だった。
アヤメ>寄合が終わり、任務終了。制服を脱ぐ時間になる。
その時胸がドギマギする感覚に襲われる。
私の姿は見られなかっただろうか、
顔はバレてはいなかっただろうか。
平静を装い、覆面をして裏口から出る。
トバリ>その時、僕は王宮の裏通りに
フードをかぶって様子をうかがっていた。
裏通りは物乞いが多く、通行人にねだることが多いと
有名な場所。治安が悪いともいう。
トバリ>そんなボクがここにいる理由。
それは僕のお目当ての人に会うためだ。
トバリ>あ、出てきた。
トバリ>あ、あのう・・・
アヤメ>その時私は人影が近づいてきたことに気付いていた。
どうせ、また 物乞いのうちの一人だろう。
そう言って、無視を決め込み、立ち去ろうとしていた
トバリ>あ、あれ・・・ちょっと待って。
僕は彼女が歩みを早めたことで小走りになっていた。
今日は彼女にどうしても会わなきゃいけないことがある・・・!
急ぎ足で彼女を追うボク。
アヤメ>しつこい。なんなんだ?ありゃ・・・
苛立ちながら、負けじと 私は、その足を早める
少し行ったところに曲がり角がある。
私はそこで決着をつけることにした
トバリ>その時僕は全速力で走っていた。
なんて早いんだクソ!!その時だった。
アヤメ>何の用だ?
トバリ>!?
アヤメ>何の用だと言っている。
それとも、私に殺されたいのか?
トバリ>ぼ、僕は、これ・・・これのために・・・
アヤメ>・・・!?
トバリ>君のだろ?これ、城の所に落ちてたから、
君に届けようと思って
アヤメ>ありがとう。でも、どうして・・・そんなこと
トバリ>どうして??だって、これは君のだろう?
拾ったら返さなきゃ。それが当たり前じゃないか
アヤメ>(笑)そんな・・・違いますよ。
私たちは一人はあって人ではないのです
だから、今回のも捨ててよかったんですよ
トバリ>そんな・・・!?それ、絶対おかしいよ!
だって一緒に城の中で勤めているボクたちが、
声すらも交わさないなんて・・・
敵でもないのに、それっておかしいじゃないか
アヤメ>(笑)おかしいのは あなたのほうだ。
トバリどの。私のようなものとの接し方は
学んだ方がよろしい。所詮、わたしとあなたは、
意思など通じぬ間柄。
トバリ>わ、分かったよ・・・そういうものなのか・・・・
でも!諦めないぞ!僕は、君に、興味を持った!
与えられた任務に、粛々と接する真面目な君に
心なしか心を動かされてるんだと思う。
できればまた会ってはもらえないか
アヤメ>・・・
私は無言でそこを立ち去った、
覆面の奥には軽い笑みを浮かべていた。
叶うなら、また会えればいいな・・・・
そういう夢のようなことを思い巡らせていた。
トバリ>翌日・・・
僕は戦闘訓練場で相変わらず
すぶりの稽古に励んでいた。
規定回数は末に経過しているのだが
自分の思う通りの振りができなくて、
僕は稽古を続けていた
他の同期達はさっさと修練を終わらせ、
雑談をしている者までいる
みんな甘すぎやしないか!?
訓練場に飼われているモンスターだって
野生のものだったら、迷わず人間の命を狙ってくる。
ましてや彼らはいつもお腹を空かせている。
そこに飛び込んでくる人間は、はっきり言ってご馳走だ。
みんな、しきりに演習中であるにも関わらず「待った」
をかけるが、果たして実戦だったら
「待った」が効くとでも思っているのか?
思わず苛立つ心を刀身に向けてしまう。
アヤメ>・・・ご乱心だな。
刀に雑念が混じっているぞ
トバリ>!? きみは・・・
アヤメ>失礼だな・・・
せっかくここまで来てやったというのに・・・
トバリ>おまえ・・・
どうしてボクがここにいることが分かったんだ!?
アヤメ>あのな・・私は「おまえ」ではない。失礼な
アヤメという由緒ある名前があるんだ。
トバリ>す・・すまん・・・アヤメ・・・
アヤメ>それに・・来ない!というのは
それはこっちのセリフだ!
ほかの皆は修練を終わってきているというのに、
どうしておまえだけ終わって来なかったんだ!?
トバリ>自分を高める必要があると思ったからだ
アヤメ>自分を高める・・・?必要なのか?それは?
すでに平和となった世の中で、
どうしてそういうことを思う
トバリ>平和すぎるからだ。俺たちは戦士だ。
平時だからといって、さぼるのはおかしい。
それに魔物だって、野生のものだったら
訓練用のモノみたいに弱いはずはない
アヤメ>ふむ
トバリ>俺達が弱くなっていたら
誰がこの国を守るって言うんだ
アヤメ>そうするとお前はもっと強くなっていたい
ということか?
トバリ>その通りだ
アヤメ>ははははは・・・あっはっはっは!!
トバリ>何がおかしい!?俺は本気なんだ!
アヤメ>分かってるさ!だからこそ笑ったんだ
トバリ>え?
アヤメ>いいだろう。付いてくるか?
そして見てみるか?本当の世界を
トバリ>ああ!!!

アヤメ>次回予告
トバリ>ついに決意をあらわにしたトバリ
アヤメ>その決意を信じてアヤメは
自分の知る裏を見せることにした
トバリ>その裏を知った時トバリは驚きの声を漏らす
アヤメ>次回、第2話 ご期待ください