と言われているとかいないとか。
もしくは「越後の上高地」とも。
目も眩むような断崖に囲まれた渓谷を遡っていくと、突然広大で緩やかな川が流れる天上の平原が現れる。
しかしマイナーな地域である上に渡渉の危険や登山道の崩落があり、そこに立ち入る人は多くない。
糸魚川の山深い場所にある「海谷渓谷」そしてその上流にある「海谷高地」。
人気の百名山・雨飾山の裏手でもある。
この場所の存在を知ったのは実はつい最近で、糸魚川ジオパークの一つとして紹介されていたのがきっかけ。
他人の山行記録を見るたびに、その無名度とは裏腹な壮大な景色に惹き付けられ是非散策してみたいと思っていた場所。
ということで今回、白山の帰りに若干遠回りしてここを散策してみた。
写真の多くは断崖の岩肌を強調すべくHDR風味に仕上げています。
起点は「海谷三峡パーク」という無料ながら素晴らしすぎるキャンプ場。
ここにある展望台からの光景が既に異世界。
雪融け時なので水量は多く水深が目視では分からない。とりあえず突っ込んでみる。
結果、水深は最大で膝上ほど。転ばない限り流されることはないが当然ながら痛くなるほど冷たい。
対岸に渡ると大岩と流木をやり過ごし、あとはひたすら渓谷沿いに登るだけ。
薮に見えるが登山道。やはり渡渉箇所以降はあまり人が来ないのだろう。
薮に隠れているが実は非常に狭い崖っぷちを歩いている。慎重に。
足元は頼りないが、見上げるとずっとこんな壮絶な光景。
途中、足裏+αほどの幅を残して崩壊している場所があり、そこが道中で一番危険を感じた。
踏み外すと谷底。岩の出っ張りがなく掴む場所もあまりない。
ついたようだ。ゆっくり撮影しながらで出発から2時間ほど。
今までの鬱蒼とした悪路とは裏腹な別天地が現れる。
確かに上高地にそっくり。帝国ホテルも河童橋も人ごみも喧騒もない分こちらの方が居心地がよい。
唯一の人工物であるこじんまりとした発電所施設があるが(どうやって通っているんだろう…)、周りの風景が雄大すぎてあまり気にならない。
河原沿いに先に進んでみる。
山の様相も渓谷内と比べて幾分優しげになる。おそらく紅葉の時期などは天国だろうと思う。
この先に登山道などはないが、その気になればどこまででも奥に行けそう。
だが、時間も限られているので今回はここまでとした。