週間予報の悪化のため山行を諦め、プランを練りなおしてみた。
予報を見ると、風は全域でずっと強いものの岩手の海側に限っては当面晴れが続くということ。
そこで、プランを山から海に切り替えることに。
過去に三陸を旅行したことはあるものの、今まで訪れた北限はスーパー堤防で有名な震災前の田老町だった(最近、より北にあるあまちゃん海岸はスポット的に行ったが。)。
一方、いかにも三陸海岸というイメージの連続する断崖はむしろ田老町より北側で顕著に見られるため、未体験のこの地域を今回重点的に攻めてみた。
この辺の三陸の断崖地帯はずっと時間をかけて旅してみたかったのだが、いまだに津波の被害が色濃く復興途上の地域ゆえ遊びで訪れるのはどうも気が引けて二の足を踏んでいた。
しかしながら今回折角近くまできており、邪魔にならない場所で遊んでいる限りは復興作業の迷惑もかからず、更には本当に些少ながらも現地にお金を落として援助させてもらうことにもなる。
勝手かもしれないがそう解釈して、この地域を北から南に向かって撮り歩きすることにした。ただし復興作業の邪魔になりそうな所はスキップして問題のなさそうな場所のみ。食事やガソリン補給や買い物はなるべく地元の小さな個人商店でするように心がけた。
いつもであれば入念にWeb情報を事前調査していくのだが、今回は急遽予定変更のため準備が乏しいままの見切り発車となる。
三陸探索の始まりは普代村の巨大な水門がある普代浜から。ここを起点にしたのはあまり深い意味は無く、内陸にある盛岡から海沿いに出られる場所ということと、地図上の地形でリアス断崖の北限っぽかったというのみ。
この浜、津波の影響でほぼ更地で公園として整備していくようだが、一方こんな三陸海岸らしい風景を残している。
ここはまだ断崖という感じはしない。
ここから南下しつつ、もしくは行きつ戻りつしつつ三陸リアスの全貌を掴んでいこうという計画。
まずは最初のスポットである黒崎という所。宿やキャンプ場もあり綺麗に整備されている。
ここの一番の見所はアンモ浦という断崖とそこに流れる滝が見られる場所。いきなり絶景。
もっと別角度から眺める手段はないかと探索、その手前にあるネダリ浜はこの辺で唯一海に下りられる場所だが、工事で立ち入り禁止だったのでここまでとした。
黒崎の次のメジャーな断崖スポットは3kmほど南にある北山崎という場所で、宿やらレストランやらレストハウスなどある非常に整備されたi一大観光スポット。南方向にあるめがね岩(正式名称不詳)が有名。
撮影に少々勇気がいるが、その反対の北方向もイカしている。
100m以上の標高差を厭わなければ海岸に下りられる。折からの強風と荒波ですごい迫力。
ちなみにこのあたり一帯はこれが出るそう。海辺なのに…
あまり夜中や早朝に辺鄙な場所での撮影はできなさそうです。
さて、メジャーな観光スポットばかり歩いていても物足りない。
黒崎と北山崎という2つの断崖スポットの間は3kmほどあるのだが、ではその間の海岸線はどうなっているのか? という疑問がわいてきた。
そこでこまかく探索してみると道路から海側に逸れるダート道を発見したので車を入り口に停めて徒歩でちょっと攻めてみた。
するとこんな看板を発見。どうやら黒崎から北山崎、更にその先まで遊歩道があるみたい。(後日正体が分かるのだが…)
さすがに全行程を歩くわけにはいかないが、興味があったのでちょっと歩いてみた。
震災の影響だろうが所々でこんな風に崩落をしている。が、歩けないほどではない。
朽ちた橋があったり。海岸線というよりもちょっとした山を散策している気分。確かにクマが出るのも納得。
途中海が見えることはなくずっとこんな感じ。海岸線との標高差は100m以上なので下りるのはほぼ不可能と思われる。
さて、気を取り直して車に戻って北山崎から先に進む。
しばらくは車道から海岸にアクセスできるルートはなく、次に海岸に下りれるのは北山浜というこじんまりとした海岸。
風光明媚だが、流されてしまったのか人工物は皆無だし、まだ片付けきれていない瓦礫や流木などがあって少々物悲しい。この辺の海岸はどこもそのような雰囲気。ここから南側も遊歩道が更に続いているようだが先を急ぐのでとりあえず車で先に進む。(帰宅後、この先の遊歩道がすこぶるエキサイティングであることを知った。突撃しておけばよかったと少々後悔。)
その後はしばらく車が停めにくかったり、復興作業のお邪魔になりそうな雰囲気だったのでスキップして、いよいよ岩手が誇るジオスポット鵜の巣断崖…なのだが、この周辺に関してはいろいろあって長くなりそうなので別記事にします。
さて、鵜の巣断崖からしばらくは海岸線にアクセスするすべはマル秘の一箇所を除いては見つからず、更には復興作業真っ只中の場所が多かったのでスキップ。
その後、久しぶりの展望台が熊の鼻と呼ばれる場所。よい場所だが、これまでと比べるとだいぶ崖の高低差が減ってきた。
更に工事中の場所をスキップして、いよいよフォトジェニックな海岸地形・田老に到着。
特に有名なのが三王岩。車道から見るとこんな感じ。
遊歩道を下ってみると更に迫力がある。
少々の歩きと高低差を厭わなければ更に奥にある浪打崎も負けずに素晴らしい。
この辺、先ほどまでの100m以上の断崖と比べると迫力に欠けるが、地形の面白さは勝っている。
さて、田老から宮古までの海岸線は以前に旅したことがあったので、足早に見ていったが、とりわけ美しかったのが姉ヶ崎展望台。
少々樹木が邪魔だが、海の色と岩礁がいい感じ。
宮古に入ると有名な浄土ヶ浜があるが、有名すぎてここで書くまでもないので割愛。とりあえず夕景だけ一枚。
宮古の南に月山を擁する半島(名称不詳)があり、地形を見る限り面白そうだが道も狭く復興作業のお邪魔になりそうだったためざっと通り過ぎて、半島付け根にある姉吉キャンプ場という浜で今回の三陸旅を終了とした。
浜の堤防から撮った絵。 平穏この上ない風景。
この浜から遊歩道を一時間ほど北に歩くとトド(漢字が出てこない)ヶ埼という本州最東端・最果ての岬があるのだが、すでに夕暮れ間近ということで断念。
今回の三陸海岸の探索ですが、おそらく通算標高差1500m以上は上り下りしています。しかも遊歩道とはいえ最大級の急登ばかり。
普段の山行程度では筋肉痛にならない人ですが、今回はしばらく足腰が立たなくなりました。