モンスター達の目眩く一夜 | Nature | Photography | Music | Art

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この映像を撮りたいがためにここ何年もの間に何度足を運んだか知れない、その度に悪天候で断念。
しかしながら今回、完全に思い通りの絵を撮ることはできなかったものの、ようやくなんとかそれらしい映像を収めることができました。

それは「蔵王の樹氷原」に鎮座するスノーモンスターの大群。

天候の良好な時にここで一夜を過ごして月光浴するモンスター達を撮影するのが念願だったのだが、とりわけ他地方の人間にとってそれはなかなか敷居が高い。

今まで何回か行って分かったのだが、ここは生半可な晴天予報程度では晴れてくれず、加えて湿気を伴った冬型の西風が弱くなって初めて晴れてくれる。

現地の人曰く、樹氷原が冬季に晴れるのは2週間に一度あるかないかとのこと。

従って、自分の都合と好天が合致することを待っていてはいつまでたっても撮影が叶わないわけで、今回はつかの間の好天+弱風の予報を見計らってスケジュールを無理やり合わせて登ってしまうことにしました。

ここに登るには山形側・宮城側のいずれかからのコースがあるが、ルートは長くなるものの完全自力で登れて、壮大な南蔵王の樹氷原を間近で一望できる宮城側から登ることに。

機材が重いので樹氷原までの時間はゆっくり歩いて4時間ほど。

2時間ほど歩いて展望が開ける大黒天バス停あたりで蔵王連峰を臨む。夏は車で来ることができるが、冬季の景色は全く別物。



更に高度を上げると段々神々しい景色になってくる。
ただし、モンスター達は暖冬と先日の猛暑のため若干痩せ気味で形の良いものが少ないが。





樹氷原に到着、モンスターの間の風が避けられそうな場所を雪を均して幕営、夕暮れを待つ。



日が暮れると月が樹氷原を照らしだす。 撮影用途だと本当はもう少し月が痩せている方が星がよく写るので理想なのだが贅沢は言えない。






気温はおそらく-10度を下回るくらい。 完全防寒装備なので寒くはなく、月夜に茫洋と浮かび上がるモンスター達を眺めながら別世界の風景を楽しむ。



比較的穏やかな天候とはいえ、風の通り道ゆえ雪や氷の飛沫がひっきりなしに飛んできてレンズに着いてしまうため撮影できる方角がかなり限定されてしまう。

まあ、そのおかげでモンスターが出来るわけなので仕方がない。
電動ドリーも持参したが、飛沫がすぐについて動作しなくなるので視点移動撮影は諦めた。

夜半からは(予報通りだが)更に風が強まり、撮影はとりあえず終了して夜明けを待つ。



夜明け、強風ながらも天候が持ち堪えているのでなんとか撮影。



この後に天候は更に悪化、飛ばされないようにテントを畳み、吹雪の中を下山。
いや、あれこれ大変でした。。

下界に下りてみると何事もないように晴天だったりして…昨夜の出来事が一夜の夢のようです。