そのあたり手っ取り早く撮ろうと思うと、ThetaやSP360などの専用カメラも発売されているのでそれらを使えば簡単にできるのだが、天の邪鬼な性分ゆえ普通のDSLRを複数使ってその裏にある原理や理屈をきちんと理解しながら遠回りで目的地に行こうと考えました。
そのことによって、専用機ではできない表現も可能になる(かもしれない)し、逆に途中で挫折して上の簡単な方法に逃避するかもしれません。
このあたり、とにかく様々な理屈や技術の集大成なので道は遠いのだが、今回は取っ掛かりとして前提・必須となる「複数カメラの同期インターバル撮影」から。
市販ソフトとかもあるのだが、どうせなら後から応用やカスタマイズができるようにlibgphoto2を利用して複数のEOSをLinuxマシンからUSBハブ経由でコントロールするプログラムを自作してみました。
https://github.com/delphinus1024/gp_multi_sync
以下参考にされる方は自己責任・No Question・No Supportでお願いします。扱い方を誤るとカメラにダメージを与える可能性もあります。
ビルド方法・使い方は同梱のreadmeに(githubゆえ英文)書いてあるので割愛しますが、例えばカメラを複数個USB接続して5秒毎に同期撮影したいのであれば、
$ ./gp_multi_sync 5
でカメラの個数を自動的に検出して撮影開始。 ESCで終了します
指定する秒数はシャッタースピードの最長+1~2秒が最低値となります。それ以上短くすると破綻します。
また、libgphoto2ではカメラのストレージに格納されるファイル名は弄れなさそうなので、苦肉の策として各カメラの時間的な横並びが分かるように以下のようなCVSログファイルを指定されたディレクトリに書き出します。
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1467.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3825.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1468.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3826.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1469.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3827.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1470.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3828.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1471.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3829.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1472.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3830.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1473.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3831.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1474.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3832.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1475.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3833.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1476.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3834.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1477.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3835.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1478.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3836.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1479.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3837.CR2,
/store_00010001/DCIM/100EOS5D,7S4A1480.CR2,/store_00010001/DCIM/100EOS5D,IMG_3838.CR2,
以上はEOS2台の例で、カメラが増えるとCVS列が増えていく。(ウチにあるのは2台なので、3台以上は未確認)
基本的に屋外でバッテリー駆動のBeagle BoneやRaspberry Pi等にインストールして使うことを想定しています。
個人的には重いキーボードやマウスを持ち歩きたくないので、Beagle Bone Green+タッチLCDにインストール、簡単なGUIをかぶせてLCDのタップ動作で開始するようにしています。こんな感じ。

カメラはこんな風にお互いなるべく近づけて別々の角度を狙う。

この一式を持ち出して近所の荒川土手で試し撮りをしてみました。(つまらない被写体ですみませんが。)
2台のEOSにFishEyeと広角をつけ隣同士に並べ、オーバーラップする領域を残しつつそれぞれで空と地上を同時に撮影すると、


それをOpenCVのStitcherを使っていろいろな投影法(Map Projection)で合成してみると、
spherical

panini

cylindrical

stereogram

rectilinear

投影法にもいろいろなつなげ方があるのがお分かりいただけるかと思います。これはこれで奥深い世界で勉強しだすと面白くて仕方がない領域。
https://en.wikipedia.org/wiki/Image_stitching#Projective_layouts
これらを形よくトリミングすると、いわゆる「パノラマ写真」というものになり、その特殊なケースで円周魚眼(持ってない…)を2つ背中合わせにして撮影・合成すると全天球画像になります。
更にそれを時系列で繋げていくとパノラマTime Lapseになる(はず)。
今後続けられるかもしくは挫折するかどうかは進展次第となります。
(緩募: 不要なEFマウントのFisheyeを格安で譲っていただける方)