
話によると取り巻く暖流のおかげでアイスランドは世界一暖かくオーロラ鑑賞ができる場所だそうで、その通り0℃前後で快適に鑑賞・撮影することができ、完全に雨や曇りの日以外は出現時間や程度は異なるものの基本的に毎日出現してくれた。
カナダとかのオーロラスポットだと(行ったことはなく、話に聞くだけだが)オーロラ以外にやることもなく、外に出て活動するにしてもあまりにも寒すぎる。
一方アイスランドだと日中のアクティビティにも事欠かず、絶景とオーロラのコラボレーションを暖かな環境で追求できる。
ただし天候が侭ならないという弱点もあるが…
出現時間に関してはまちまちで、夕暮れ後すぐに出てくれる時もあれば、12時を越さないと出ない日とかもあり、なかなか気を揉ませてくれます。
ずっと上を向いているわけにもいかないので随分逃したものも多いかと。
天気の変化が激しい国なので、たとえ夕方まで大雨でも夜には満天のオーロラということもあり気が抜けません。天気予報もあまり約に立たない。
従って、連日オーロラに似合う地上の風景を見つけてはそこで車中泊という感じで過ごしていました。

今回ネットでの前勉強だけでは気づくことのないであろう、オーロラ素人が実地で感じたオーロラ撮影の傾向と対策を羅列しておきます。
ただし、限られた場所・日数での状況なので、汎用性があるかどうかは分かりません。
ネットのオーロラ予報サイトなどについては他所で詳しく書いてあり、ググれば多く出てくるので割愛します。
・オーロラ予報でオーロラベルトから外れていてもかなり派手に出現したりするので、予報はあくまでも目安程度だと思う。
・北寄りの東西に大きくアーチがかかるのが基本形みたい。従って、北方向の地上にフォトジェニックな前景が広がっている場所を選定するのがよさそう。20mmレンズ程度では一部しか写らず、全体を入れるにはFisheyeが必要。
・もしくは東西いずれかの方向の被写体と一緒に撮ればオーロラが湧き上がってくるような絵になる。
・東西より北に出現することが多いが、激しいときには南方向にも出ることもある。
・星景撮影の知識はあまり約に立たない。オーロラは星よりずっと明るくて、激しく形状が変化する。 従って、星景のようにン十秒単位で撮影したら白トビを起こすし形がぼやける。月面の模様を撮る程度の露光設定くらいが丁度よさそう。 フォーカスは星であわせていた。
・オーロラの形状変化はかなり早い。TimeLapse撮影をするのであれば、強風時の雲を撮るくらいもしくはそれ以上の気持ちでなければ追いつけない。
・Timelapse撮影をするのであれば、極力明るいレンズを使用してISOを思い切り上げてなるべくシャッタースピードを短くする。今回はISO3200で1~2秒間隔で撮影していました。この時間設定が正解かどうかは今後編集してみなければ分かりませんが。
・出現時間はまちまち。23時くらいまで待っても出ないので諦めて寝て夜中起きたら出ていたとかいう時もあり。全天球の緑色光を検出するオーロラ検知アラームみたいなのが欲しいと思った。
・出現直後が一番激しく、段々緩くなってくる。しかし何時間か後に再度激しくなることもあるのでなかなか傾向がつかめない。
・見た目は基本白色だが、撮影すると緑になる。激しいときには紫も混ざってくる。撮影すると見た目よりもかなり多くのオーロラが映るので、目で検知できない波長の光も多く来ている(?)
・当初ドリーによる移動撮影を考えていたが、そんな余裕はとてもなかった。どこに出るか分からない上に、次々に移動しては消えていくのでセッティングしている暇がない。
・フェードアウトするオーロラは比較的簡単に撮れるが、フェードインしてくるものを撮るのはとても難しい。 ある種の予感や予知みたいな能力が必要と感じた。
以下は撮影初日の逸話ですが。
空港に到着したのが夕方だったので、レンタカー手続きや食料品調達などを終えるとレイキャビク近郊の公共パーキングにて時差ぼけ抜きのため仮眠。
翌日早朝にネットで好天が多いオーロラ観察適地との情報があった内陸のレイクホルトという村に向かう。
さて、実際にレイクホルトに着いてみると確かに閑静であまり光害などの心配がなさそうな小さい集落だったが、あまりオーロラの前景になりそうな自然物(形のよい山とか湖とか)があまりない。 北欧らしいお洒落な建物はあるが、個人の趣味として人工物はあまり撮る気にはならない。
その先にフロインフォッサルという観光名所の滝があり、オーロラと似合いそうな風光明媚な滝だが、目線より下にしか滝がなくオーロラ出現の方角がかなり制限されそうだったのでここも却下。
そこで、同じくオーロラ観測適地で更に内陸にあるフッサフェルという村(というよりホテル+αがあるだけ)に向かう。レイクホルトよりは若干フォトジェニックだがまだちょっと物足りない。
仕方がないので、これ以上奥は人の住まない高地になってくるが、更に進んでみる。道もダートで凹凸だらけの悪路に変わってくるが「いかにもアイスランド」というような荒々しい荒野と山塊の間に緩やかな川が流れる非常にフォトジェニックな雰囲気になってくる。
そこで、広々とした河原を一夜の宿とすることとして、カメラのセッティングをしてオーロラの出現を待ちました。

すると夕暮れ直後からオーロラがじわじわ出始めて、見る見るうちに炸裂状態となったのです。
いきなりの初体験だったのでなかなか上手く撮れず、なんとか撮影できたのがこんな感じ。


緑だけでなく、紫も多量に出ており、いわゆる「オーロラ爆発」と言われるものだと思います。
帰国してから知ったのですが、同日は世界的にオーロラが大爆発した日だったらしく、そんな日にオーロラデビューできたのは嬉しいようなちょっと慣れる時間を与えて欲しかったような複雑な気持ち…
最初は全くオーロラ撮影の勝手がわからずに通常の星景設定にしていたので、激しく白トビとブレを起こしていて適正露出と適正露光時間を掴むまでかなり手間取りました。その間に逃した獲物が悔やまれます。
結局悪天以外はほぼ連日移動先の各地でオーロラが撮れたものの、この初日のオーロラが滞在中最も派手に炸裂してくれました。
最後にレンズについて。
今回、どう考えても絶対的に明るいレンズが必要であることは明白だったので、思い切って事前に購入したのがこれ。

純正はあまりに高価すぎて手が出ないが、これならなんとか。開放近くになるとフォーカスが気難しいが、オーロラの繊細な移り変わりを期待以上に捕らえてくれた…かな? 結果はこれからの編集段階で明らかになってくるはず。
ほとんどの場合、このレンズで大きく切り取り、FishEyeで天空の全体像を撮るという二本立てで撮影していました。