当時アジア諸国を長期貧乏旅行をしていた際、ふと立ち寄った食堂にたまたま古びたアイスランドの写真集が置いてあり、ぱらぱらと覗いてみてその内容に衝撃を受けました。
空撮も含めた写真の数々はおおよそ地球上の光景とは思えず、樹木の全くない異型の山々や、色とりどりの苔に覆われた大地、無秩序に枝分かれする河川、オーロラをバックにした氷に埋め尽くされたラグーンなどなど、日常では目にしない風景ばかり。



その後ずっと行きたい国No.1でありながら、べらぼうな物価やヨーロッパが苦手なこともあって長年踏ん切りがつかずにいました。
しかしながら、おそらくこのまま彼の地に行かないまま死んでしまったら多大な後悔をするだろう。
そう考えて、今回(金銭的にも精神的にも)思い切って訪問することにしました。


一般的なこの国の初級向け観光コースはおそらくゴールデンサークル+有名滝+リングロード一周(つまり海沿いに国を一周)+ブルーラグーン入浴あたりなのだが、それだと人間の営みがある場所を廻るだけで旅が終わってしまう。
よりアイスランドらしい人間を拒絶するような自然に近づけるように、リングロード一周は諦めて、その代わりに(効率は悪いが)なるべくリングロードより外れて人のあまりいない土地で自分だけの風景を見つけることにより多くの時間を費やしました。(まあ有名観光コースもとりあえず足早に廻った上に、最終日にはブルーラグーンで一風呂浴びて帰りましたが…)

そのため、町で数日分の食料を仕入れて風呂(なんと各町に温泉プールがある)を浴びた後、風景のよい場所を模索・自炊しながら車中泊…の繰り返し。

それに応えるように、どうルートをとっても超絶風景の連続。 撮影容量は持参した1TBのポータブルHDDを埋め尽くす勢いでした。



旅行時期に関してはいろいろ迷ったのだが、オーロラの最盛期である上に、雪による道路閉鎖がまだ少ないであろう10月の新月前後としました。

一方10月はアイスランドで最も降水量の多い季節、日程のうちの何日かは大雨+暴風で車に閉じ込められることもあり、または人のいない僻地の悪路でスタックしたり、天国と地獄を同時に味わいました。

帰国後の今でもまだ頭がファンタジーの世界から戻っていませんが、以降撮影データの整理を兼ねて何回かに分けて今回の氷国旅について書いていければと思います。
