最北の単独峰へ | Nature | Photography | Music | Art

Nature | Photography | Music | Art

日々好奇心の趣くまま

サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。

このところいつにも増して旅行づいています。

半年毎に配給される株主優待券目当てにANA株を購入したのは随分昔です。
その頃はLCCなど存在していなかったため、かなり重宝していた優待券…まあ、ほとんどは沖縄便に消えていたわけですが。

しかしながら、近頃では那覇や北海道・九州の主要都市あたりはLCCを使えば株主優待割引より安く行けるようになり、折角配給された優待券を使う機会も減ってきました。

今回、優待券消化旅行(?)として、LCCでは間違っても行けない場所、最北の地・稚内に飛び、更にそのままフェリーに乗り換えて、以前から是非訪れて見たかった利尻島+利尻岳を旅してきました。

利尻岳と言えば2000mに満たないとは言え、暖流と寒流がぶつかる最北の洋上に浮かぶ単独峰。 内地の山にも増して下界の天気予報などはアテにならず、風や雲や天候の状況など侭ならないのは十分承知の上でほとんどダメモトのつもりで登って見ました。

登山拠点となる利尻北麓野営場にて前泊。
先日の大雨の傷跡が所々にあるが、施設は驚くほど整っているし綺麗。 ただし森に囲まれているため展望は全くない。



さて、夜明け前からいつもの如く重い撮影機材を背負って登り始める。
しかしながら天候は段々悪化してついには雨が。 晴れればサハリンまで見渡せるはずが、完全に周囲は真っ白で何も見えず、雨具をつけてひたすら苔の多い単調な登山道を登る作業。

その上、合目の間隔がすこぶるイビツなため、調子が狂ってくるし、すでにここでかなり滅入っています。
雲の間にたまに見える下界は晴れているようなので、山間部のみが悪天のようです。

その後も天候はそのままで夕日も撮れず、翌日が好天予報なのに望みを繋いで8.5合目あたりにある避難小屋で待機。

日が暮れてからは風も強くなってきて、更に滅入ってきます。

負けずに待っていると、日が変わる頃から状況が徐々に好転してきます。風は強いものの段々空が晴れて、スーパームーンより少し欠けた明るい月が今まで隠していた最北の広大な山稜と雲海を照らし出す。



薄雲は若干残っているので見事な月暈が。今までに見た最大級かも。利尻岳頂上と共に。待った努力が報われて感無量。



そのまま黎明へ。この頃には風も消えてきてベストな状態へ。





利尻岳頂上より本土を臨む。豊穣の海に反射する陽光が眩しい。



影利尻



谷は険しく深い。北アルプスに負けないほど急峻に感じる。



もうひとつ快晴の山頂に立てた者だけが味わえる感覚がある。
360度すべて海に囲まれるため、地球が水の惑星であることを生で感じられる。
とても映像では表現しきれませんが、無理やりパノラマってみました。望遠を持参しなかったので写せませんでしたが、樺太やロシア本土がはっきり見えていました。



ひょんなきっかけでいろいろお世話になった現地のオヤジさん曰く、こんな良いコンディションの利尻岳は月に一回もないとのこと。
普段の行いがよいのかどうかは分かりませんが、悪天転じて最高のピークハントとなりました。




そういえば今年は悪天が多かったために山に行きそびれ、これが今年初のピークハントだったことを後から思い出しました。