試験に出るミサイルの基本「 Fox! ( SRM編 )」
お久しぶりです。XACMはただいま絶賛開発中断中。
COMBAT MANEUVERの裏側のお話なので、COMBAT MANEUVERが出来上がらないことにはどうにもならないと言うことなのです。
さてさて、前回はMRM、中距離空対空ミサイルを撃ちました。
現代の航空戦は何度も念を押すとおり、格好いいドッグファイトとはあんまり縁がありません。
みんな死にたくはないので、先手を打って撃ち落とさねばなりません。
「撃ち落とされても、イジェクト( ベイルアウト )すればいいじゃない」
そうは問屋が卸しません。もう一度言うけど、誰も死にたくはありません。いきなり出てくるピンクの人です。
そのあたりは後ほど、あるいは「それいけ宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」をご覧になってください。
さて、MRMが外れると皆さんお待ちかね、ドッグファイトのお時間です。
MRMは基本的にBVR、視程外での戦闘であったわけですが、視程内戦闘がドッグファイトになります。
今回はSRMの基本を、次回は戦闘機の主なACMについてをつらつらと、XACMの3面から10面ぐらいまでは戦闘機のACMの練習ばっかりです。
さて、Weapon Select SwitchをSRMに切り替えてください。
表示が9Mとなり、サイドワインダーAIM-9Mミサイルに切り替わります。
ボアサイトモード、というやつです。
HUDにFOV ircleが表示されます。視程範囲という円です。
唸るようなシーカーの音が聞こえます。
このままでミサイルが撃てます。おそらく敵はFOV Circle内にあるでしょうから、そのままWeapon Release Switchを押して「FOX Two!」
このモードでも当たるかも知れませんが、レーダーを使わないもう一つのモードを使いましょう。
スキャンモードに切り替えます。
これはさっきのがボアサイト、指定された軸上のみをシーカーで探索するのに対し、こっちはもっと広範囲を探索できます。
スキャンモードに切り替えることで、ミサイルシーカをUnCageできました。これでミサイルシーカは自由に首振り探索が出来ます。
この状態で目標を捉えていることを確認したら、Weapon Release Switchを押してミサイルを発射します。
でも、ドッグファイトの最中に敵がお尻を見せてくれることなどあまりありません。
今までのは全て非・レーダーモードでした。
ここからはレーダーを使います。サイドワインダーの急旋回を見るのはこれからです。
さて、MRM同様、レーダーを使うというわけですが、このときお膝元にあるディスプレイを見てボタンを押してレーダーのエコーをとばす余裕などありません。首を動かすのだって辛いのに。
というわけで、そこら辺を全てコンピュータでやります。
ACMモードです。
レーダーは機首方向の限られた範囲( 上下15度くらい? )をスキャンして、敵味方のべつまくなしにロックします。
味方のケツにミサイルをぶち込まない様に注意してください。
このときのスキャンの方法には
・ボアサイト
見える範囲
・バーティカルスキャン
縦軸に真ん中から大体左右6度くらいをスキャン。素早くスキャンできる。
・前後軸スキャン
予備
・ヘルメット搭載型目標照準
スキャン範囲が広い
などがあります。説明は手抜きで( 苦笑 )。
さて、SRMを発射します。いよいよ今回の最大のテーマ「比例航法」のお話です。
「Fox two !」
現在の空対空ミサイルは「比例航法」で目標を追尾します。
この比例航法、というのは
「ミサイルから目標機への目視線が双方の移動に伴って回転する、その角速度に比例して旋回する」というものです。
さて、今回もピジョンシーカーのたとえで説明しましょう。
前回のピジョンシーカーのたとえはわかりにくかったので、もう一度説明を。
ピジョンシーカーとは「ピュア・パーシュート」、馬鹿正直に追いかける方法です。
ミサイルの先端に鳩を入れておくと、鳩というものは動くものに反応するので、動く目標に気をとられます。
鳩というのはなぜだか頭を突き出してツンツンつつくのが好きなので、目標を向いてつん、目標へつん、目標へつん。
するとミサイルはその瞬間、その瞬間の速度ベクトルを目標へまっすぐ向けます。
もちろん目標機が動かなければまっすぐ当たります。ですが、目標機が動くので、なかなか当たらずに、目標機の後ろを大回りに追いかける格好になる、というわけです。
さて、賢い鳩は目標をそのまま追いかけるようなことはしません。
なぜかと言えば、もちろん。目標も自分も動くからです。
さて、敵の未来位置を予測して、そこへ向かって進めばいいわけですが、それをどうやって割り出すか。
敵が大きく旋回すればするほど自分も大きく旋回すれば、先回りになる、ということを利用します。
今のところもっとも効率の良い誘導則とされています。
さて、比例航法の説明はこれでおしまいなのですが、やっぱり色々問題はあるもので。
目視線の角速度をどうやって出すのか。
単に目視線の角速度を微小時間で区切って、変化率を見るというのでも、でます。
が、普通はベクトルの微分方程式を解きます。物理なんかでもよく使うやつですね。
この方程式を解くには、相手の速度情報が要ります。目標の速度ベクトルが必要です。
これをどうやって割り出すかというと、はい、手元にありますパルス・ドップラー・レーダーです。
こいつを使えば目標の速度情報が手に入ります。
こいつの弱点は、ビーム機動、すなわち垂直面内の移動に対応していないこと。
ドップラーですから、反射波の位相の変化を見るわけです。
ですが、垂直面内の運動だと、自機からの距離が変わらないので、ドップラーシフトが検知できません。
しかし、これはひとえにドップラーシフトをシフト量でフィルタリングしているために起こるものであり、フィルタリングを切れば良いんです。
最近の戦闘機ではこのあたりを自動で制御してくれるそうです。
もちろんフィルタリングを切れば速度情報は手に入りません。
…どうやって撃つんだろう? わかりません。
ピュアパーシュートで撃つのかも。
ビーム機動なんて長いこと取れないので…。ううん。
というわけで、ミサイルはこの一番短くて効率の良いコースを通って敵のケツに激突します。
Kill, splash!!
次回は戦闘機のACMの話に…、もうミサイルの話じゃなくなってますね。
