日付替わって昨夜(9日)夜に、静岡AOIで開かれた「静岡にみどりを増やす会 公開フォーラム」に行ってきました。
現在静岡市では都市部において一人あたりの2.9本しか樹木がないのだそうです。
その2.9に因んで2月9日に開催されました。
ゲストとして俳優の赤井英和氏が招かれたほか、静岡県の川勝知事、静岡市の田辺市長、静岡県立大学の木苗学長など、蒼々たるメンバーが招かれていました。
冒頭、川勝知事がハイテンションにスピーチ。昼間もパネルディスカッションで熱く語っていたのを観ましたから、その熱気たるや大したものです。
基調講演はみどりを増やす会の田中代表と、赤井英和氏によって行われました。
来週月曜13日に安倍川堤防にある56本も松の木が伐採されるとのことでした。
静岡大橋や東名の安倍川橋をわたっていますと富士山をバックに安倍川の松並木が観られましたが、これからは観られなくなってしまいます。いずれも樹齢200年を超えるものだそうで、会場からも反発の声が聞かれました。
後半はパネルディスカッションが行われましたが、パネラーの皆様はいずれも緑化に対して非常に熱心で、様々な事例が紹介されました。
中でも、韓国・大邱市の街路樹のプラタナスは延び延びと枝を広げているのに対し、静岡市・森下小学校前の街路樹のプラタナスは電柱や電線に頭を押さえつけられて肩身が狭く見える様子が紹介されたのには、非常に衝撃的でした。
一方、批判の矢面に立たされた格好だったのが静岡市の田辺市長。
「道路が狭い」と苦しい胸の内を話すものの、「それはいいわけに過ぎない」と厳しい批判の言葉が投げかけられました。
とはいえ、問題点は行政にはあるものの、市民の側にもあります。
街路樹が敬遠されている理由に、市に対する住民の苦情が大きいと考えられます。
街路樹が多い広島市などに比べると静岡市では一本あたりの維持費が非常に高額になっています。
これは、市民の苦情に対して市役所が逐一対応しているからであるようです。「落ち葉で雨樋が詰まったので除去して欲しい」「落ち葉のないように早めに剪定して欲しい」などの要望が多数寄せられるため、手のかかる街路樹に二の足を踏むのは当然の選択でしょう。
何故、広島市などが低い維持管理費で多くの樹木を維持出来ているのかというと、住民が積極的に維持管理に拘わっていることが要因とのこと。落ち葉の処理などは住民自らが行うため、市役所に苦情が行くこともなく低コストで維持管理が出来ているわけです。
静岡でもこうした体制を整えることが必要でしょう。
今回のフォーラムは大盛況で臨時に席も設けられるほどでしたが、さてそれが市民全体に広がるかは未知数です。
「おまかせ民主主義」になれてしまった人は面倒臭いと感じることでしょう。
個人的には静岡市全体にみどりを広げることも重要かも知れませんが、地域間で競争させることも必要ではないかと思います。
地域の緑化や環境整備に住民全体が熱心な地区には積極的に街路樹を設ける反面、おまかせ的志向が強い自治会はある程度後回しにされても仕方ないでしょう。住民が積極的に動く地域は環境もよくなり、地域の価値が向上する反面、そうでない地区は沈下していく。汗を流さないなら資産価値の目減りも甘受していただくのが自然だと思います。
また、街路樹にこだわるのもいいですが、下町によくあるような家の前に植木鉢が所狭しと置かれている人情味のある緑化も評価していいのではないかと私は感じました。