<blockquote><strong>2号機 水位が半分にまで回復</strong>
3月14日 22時21分 NHK
東京電力福島第一原子力発電所2号機では、原子炉の水位が急激に下がって、一時、燃料棒がすべて露出した状態になりましたが、東京電力によりますと、海水を入れた結果、原子炉を冷やす水の高さは午後9時34分に燃料棒の上から2メートルの位置まで回復し、燃料棒の半分が水につかった状態になったということです。
福島第一原発2号機では、原子炉を冷却するすべての機能が失われて、原子炉の水位が急激に下がり、14日午後5時すぎ、核燃料の上の部分が露出し始めました。
このため、東京電力では午後6時20分から原子炉に海水を入れる作業を始めましたが、燃料が切れてポンプが停止して海水が入らなくなり、原子炉の中にある燃料棒が、一時、すべて露出したということです。
その後、燃料をポンプに入れ直した結果、海水が徐々に入り始め、午後9時34分、原子炉を冷やす水の高
さが、燃料棒の上から2メートルの位置まで回復し、燃料棒の半分が水につかった状態になったということです。東京電力によりますと、海水を入れるポンプが停止したのは、職員が監視のためにその場を離れていた間にポンプの燃料が切れたためだということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110314/t10014675031000.html</blockquote >
東北地方太平洋地震では多数の犠牲者、負傷者が出て非常に胸が痛みます。
そんな中でもいちばん気がかりなのは福島第一発電所の危機でしょう。
事故発生時から東京電力のプレスリリースに注目しています。
Twitterなどでもここ数日チェーンメールに対する注意喚起がなされていますし、原子力のトラブルは情報を持つ方が隠したがる一方、不安を煽るようなことを言う人もいて不安感からややもすると扇動されてしまいそうですが、とりあえず東京電力のプレスリリースがいちばん確かなものと見て、注目しています。
テレビの報道は福島第一原発の危機を伝えていますが、もうひとつの福島第二原発の情報はなかなか伝えていません。
しかし東京電力のプレスリリースが出ています(http://www.tepco.co.jp/nu/f2-np/press_f2/2010/2010-j.html
)
それによれば、地震直後に正常に停止できた3号機以外の1,2,4号機は冷却系の処置を終え、1,2号機は今日夕方までに原子炉冷温停止、4号機も停止に向けて冷却作業中だそうです。
ですから福島第二原発はほぼ危機を乗り切ったと言っていいでしょう。
その一方、未だ深刻な状態にあるのが福島第一原発の1~3号機。
こちらもプレスリリースは出ています(http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/2010-j.html
)
しかし、第2発電所に比べリリースが少ないのが現状で、それだけ深刻だと言うことかもしれません。
それにしても二重三重にバックアップがありフェイルセーフが追求されている原発のプラントが制御不能に近い状態になるのは、日航ジャンボ機墜落事故の際、油圧系統がオールロスしコントロールできないまま迷走飛行を続けた際のことを思い出します。
ボーイング747も安全性には定評があったのですが、構造的に後部で4つの油圧系統が集中してしまっている点は事故前から専門家の間では指摘されていたといいます。
原発についてもシステムがコントロールできなくなるブラックアウトの危険性を指摘する専門家もいたようですが、電力会社側は「何重にもバックアップがあるから大丈夫」と言い張って指摘を真摯に受け止めなかったようです。
そんな状態で今回おこった重大トラブル。
「想定外のことが起こった」と電力会社は主張しているようですが、問題点を指摘した専門家の意見に耳を貸さず、問題が起こった場合に「想定外」では少し都合が良すぎる気もします。
特にここ静岡は東海地震の発生が懸念されており、その想定震源域の真上に建つ浜岡原子力発電所の存在があります。
<blockquote><strong>「浜岡に発電車両」 中電が地元4市に配備を約束</strong>
2011年3月14日 中日新聞
東京電力福島第一原発の放射能物質漏れや爆発事故を受け、中部電力と経済産業省原子力安全・保安院は13日、浜岡原発地元の御前崎、牧之原、掛川、菊川の4市に、福島の事故原因や東海地震の津波に対する浜岡原発の安全対策などを説明した。また、中電は浜岡原発に発電機車両を配備することを約束した。
各市での説明によると、浜岡原発に到達すると想定する津波は最大8メートル。原発海側に高さ10~15メートル、幅60~80メートルの砂丘があり、防波堤の役割を担うとみられることから、安全性を確保していると強調した。
福島では、非常用ディーゼル発電機が津波につかって使えなくなったため炉心などへの給水が滞り事故を招いたとされる。
同様のケースを想定し、浜岡には発電機車両2台を配備することや、各原子炉建屋などに118カ所ある防水構造の防護扉の健全性を確認することを報告した。
御前崎市では石原茂雄市長や市議らが説明を受けた。市議からは「より市民が安心できる情報を提供してほしい」「想定外の地震でも大丈夫なのか」などの意見があった。石原市長は「次はわが身という認識を持ち、避難訓練の方法の変更などを検討したい」と話した。
掛川市の松井三郎市長は「あらためて(東海地震の規模など)想定自体を変えるべきだ。原発は100%安全だという信頼が崩れた」と指摘した。菊川市の太田順一市長は「津波の影響を分析してほしい」と要望。牧之原市の西原茂樹市長は「原発を一度止めて検証するぐらいの覚悟を示してほしい」と語気を強めた。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110314/CK2011031402000120.html</blockquote >
個人的にはテーブルクロスの上にコンロを載せてお湯を沸かしながら、テーブルクロスを引っこ抜かれるかもしれないのに「安全だ」と言っているのと同じような気がして成りません。
上の記事の安全対策もどうなんでしょう。
今回の地震では津波で大型の車両もさらわれてしまっていましたし、鉄筋コンクリートの建物といえども相当なダメージを受けていましたから有効な対策か疑問ですし、高さ10mの防潮堤を設置していた宮古市の旧田老町でも津波が防潮堤を越えてきたと言いますから、10mの砂丘が防潮堤の役割を果たすのか疑問も残ります。
それともこれ以上のものが来れば「想定外」として電力会社は責任を逃れられるから別に良いと考えているのかもしれません。
ともかく、今回世界最大級の地震があったわけですから、"想定外"があること自体「怠慢」とされるかもしれません。
福島第一原発も果たして危機を乗り越えられるでしょうか。今日の状態からすると、中長期的視点から老朽化が進んだ第一原発の3機は廃炉覚悟で危機を乗り越えることを選択し、それよりやや新しい第二原発は営業運転復帰を考えて修理を優先しているように思います。
ともかく何とか乗り切って欲しいものです。